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緻密な設定や濃密な世界観をそのままに、よりとっつきやすいファンタジー小説になっている。
細かいエピソードを重ねて行く手法は東京創元社から出ている既刊とも共通しているが、本作の方が身近に感じられるエピソードが多いせいだろうか。
イマイチ未消化の部分があるのだが、続編は出るんだろうか? 出たら嬉しいな〜。
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面白いんだけど、ちょっとお話が走りすぎかなぁ。もう少しじっくり書き込んで、倍ぐらいの分量になっていれば傑作になったのに。惜しい。
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舞台となる国がとにかく寒いところで、その凍えた空気感が伝わるような雰囲気、語り口。
一方で、生き物の気配や収穫の喜びも生き生きと描かれていて、メリハリとスピード感のある文章で一気に読んでしまうのは他作と変わらないすごいところだと思う。
他者の目を借りて物を見、経験するという形はこの物語にも登場する。十八番なんだろうか。。。
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美しい表現と太いテーマ。赤い龍と白いサルビィの象徴する人間の在り方をディアスが知り、選択する物語。幼なじみの少女アンローザの成長の物語でもあり、今は亡き賢き親友イェイルとの友情の物語でもある。全てを支配し続け全てを手に入れる力とと孤高の永遠か、何度も傷つき死にまた生まれ変わる大自然との調和の永遠か、その答えをディアスが訪ねる旅にでる。王位継承争いを軸に新しい国の在り方を問う。
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初乾石作品。
とても現実的で真摯。
自然とその中で生きるもののあり方についての描写が神秘的で美しい。
読み込みたいところに限って薄く感じられたのが残念だけど、その世界観は素敵。
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終わり方が少し物足りなかった感じもするけれど、『夜の写本師』より、こちらの方が好みかも。
ファンタジーと一言で言っても、ジャンルが様々あり、乾石さんの世界観、空気感がつかめた1冊だった。
友だちからあと2冊お借りしているので、のんびり読んでいこうと思う。
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ディアスが国を離れてからの展開が
早すぎる気もしたが、この物語で
最も心惹かれたのは ファンズと
共に生きる北の民の限りない誠実さと
その暮らしの掛け値ない正しさ。
アラスカの原住民族から着想したのだと
思われるが それ以上の生命力と誠実さに
本当に心が洗われた。
ディアスとイェイルの交感の中で
このファンタジーを貫く生と死の思想が
幻想的に語られる。
…そんなこんなよりも気になったことを
やはりどうしても書きたくなった。
この物語に出てくる架空の食事たちが
やたらに美味しそうに見えるのですよ。
それからディアスが南に向かう時
イショーイが寄こしてくれた護衛の名は
タンダというのですよ。
なんか大好きな上橋菜穂子さんの
守人シリーズにいろんなところが
重なるのですよ。この物語。
作者にも作品にも失礼だとは思いながら
上橋作品に心奪われ 来る日も来る日も
上橋作品を読み続けていた日々を
あたたかく懐かしく思い出しました。
乾石作品はもっと心に痛く 悲しみから
逃れられない人の性のようなものを
いつも感じながら読んできたので
とても意外な作品との出会いでした。
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寒い土地に暮らす人々のために月をおろし、緑豊かな土地に変えようとひとりの人間が、月を守るサルヴィを殺したことで、その土地は繁栄と共に呪いを受け継ぐことになった。そして、人間の血筋であるディアスが、延々と続く呪いに終止符を打つために、半ば強制的にですが、役目を負うことになり、南へ旅立ちます。
とても話は魅力的なのですが、淡々としていたような感があります。最後はこれから新たな呪いを背負った子達が生まれるのでしょうが、170年分どれだけの人数で分け合ったのか、一回で終わればいいですが、なかなか平和は遠いですね。
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とてもよくできています。
いつものごとく。
四つあった月を人が引きずり降ろして、その力で凍土を人が住める街にする。
宝石で着飾った豪奢な暮らしをしたい、というのが望み。
ファンズの王サルヴィが赤と金の髪の魔法使いに警告するが、魔法使いは聞き入れずサルヴィを殺す。
サルヴィはその角をもってして災いを妨げられると忠告を残すが、その角が滅びるとかならず疫病が流行った。
その偉業をなしとげた王の息子の一人、ディアスは夢を見る。サルヴィが首を切られる夢。
彼は家臣のマイハイのもとで育てられ、権力抗争から<降りて>いる状態。
しかし陰謀に巻き込まれ、角を破壊した罪に問われ国外追放とされてしまう。
サルヴィの角に代わる解決策を見つけてこいと言われたディアスは旅に出て、赤い海で竜と出会う。
竜は強い力で隆盛を誇っていたが、その力を永遠に持ちたいと望み、ディアスを乗っ取ろうとする。
サルヴィはディアスに問う。
永遠か、滅び繰り返す命か。
ディアスは答える。繰り返す命と。
サルヴィは彼に呪いを終わらせる方法を伝え、ディアスの、幼いころに亡くなった乳兄弟イェイルと死者たちがそれを贖って物語は終わる。
ディアスという青年が何を考えているのか、短い物語のなかで視点が変わるせいか、いまいちつかめなかった。
とても賢くて何か特別なものを感じさせる青年だというのはわかるんだけど、その彼の<核>になるものというか、突き動かすものが何なのか、感情の流れが伝わってこなかったなぁ。
写本師とは違って、だれかを憎んだりしているわけじゃないし。
なので王の後継者になってもさもありなんというか、予定調和的なエンディングに見えてしまうのが少しもったいない。
ただ相変わらず絢爛豪華な文章で、比喩に次ぐ比喩、
そのためにところどころつまり何が起こってるんだと思うこともありましたけど(笑)
読み応えがあって、没入感があって、私は好きです。
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いやー、ほんとこの作者さんは素晴らしい。極上でした。
真っ当で真っ直ぐなジュブナイル、久しぶりに読んだ気がします。
ただの冒険活劇ではなく、生きることの辛さや重さが詰め込まれています。
少年少女の成長譚は、そのような裏付けがあってこそ、説得力を増すのです。
もう、間違いないですね。
これからも、注目していくべき作家さんです。
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オーリエラントのシリーズがだいすきな乾石さんのノンシリーズ。魔法が絶えたのちの、王国の物語であった。どうしても上記シリーズを頭から消すことはできず、さらにはそのカバー絵との親和性の高さなども考えてしまうのだが、そうはいってもこちらもすてきな作品だった。想像力の賜物としてもよくまとまっている。魔法の杖を振らなくてもファンタジーはそれとして確たる芯を持つのだと改めておもい、ワクワクしつつ読んだ。主人公が世界の広さを体感して逞しさを増すというのは王道だが、この著者ならではの導きかた、やはりそれが好きだと感じた。
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ファンタジーだけど、その世界にしっかりと根をおろして生活している人たちの息づかいが聞こえそう。守り人シリーズを連想させる世界観。
アンローサとナナニが北の国で生活している描写が好き。
ナナニが戻ってくるといい。
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大人になって初めて読んだファンタジー作品。
場面場面の描写が細かくて想像しやすく、本当にこんな国があるかのように読み進めることが出来ました。面白かったです。