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本当は著者のトラクターの世界史を読みたかったのだが、なかったのでこちらへ。
(おそらく重なる部分が多いと思われ)
いつも思うのだが、技術の進歩をた無意識的に受け入れているマジョリティがいる日本、つくり手の側に立つ人とが随分と減ってきている日本の実態こそが問題じゃなかろうか。より便利に、速く、手軽にを求めているのはそういった消費者だ。僕もそうだけどね。
述べていることに納得する部分も多かったけど、最後のまとめについては悶々としたものが残っている。
サピエンスのほうが読んでいて人間と技術の進歩についての考察が(比較すること自体があれだが)よっぽどぐっと来た。
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食と農業と技術、これからの事について。
害虫の誕生と併せて読みたい本。
薬剤の歴史は戦争と深い繋がりがありますが、現業と過去の趣味が今交わるのが不思議なもんを感じます。
しかし藤原彰『餓死した英霊たち』は色んな参考文献に名前がでますなぁ
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トラクターなどの発展と戦車への転用など、タイトル通りの興味深い内容もあるが、ところどころ筆者の個人的な世界観が散りばめられており、しかも本筋と関係ないことが多いため白ける。たとえば20世紀の戦争は簡単に人が殺せて、罪悪感が薄いらしい。19世紀以前の戦争はちがっていたという根拠は?知識人とは思えない認知バイアス。後半になると民主主義のありようや、食糧廃棄問題など、タイトルと関係のない筆者の語りがメインになって、挫折して読了。タイトルの着眼点は面白く、論点をずらさずにまとめれば良書になった可能性もあるのに非常に残念。
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第一講 農業の技術から見た二十世紀
第二講 暴力の技術から見た二十世紀
第三講 飢餓から二十世紀の政治を問う
第四講 食の終焉
第五講 食と農業の再定義に向けて
第六講 講義のまとめと展望
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戦争と農業というタイトルから選んだので、後半の話は蛇足だと感じた。
前半はなかなか面白い。
食に特化して書けば良いのでは?と感じた。
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トラクターは戦車、農薬は毒ガス、肥料は火薬、人間の考えることは恐ろしい。窒素肥料と水俣病とか、悲しい。
「人間は食べて出すものである」それもたくさんの微生物の力を借りて。私たちは環境とつながっている管みたいなもんなんだ、と意識すると普段の生活から国の政治や経済を考えざるを得なくなる。
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『#農業と戦争』
ほぼ日書評 Day398
20世紀の人口増加を支えた4つの技術、すなわち農業機械、化学肥料、農薬、そして品種改良。
にたようなことが家庭内のタスクにも当てはまるのだが、家電の発達により、以前は毎日しなくてよかった家事を毎日するようになった結果、「お母さん」は逆に忙しくなった…という逆説は興味深い。
農業の機械化、トラクターの普及が進んだため、農業用の家畜が減り、資料となる糞尿が減った。それが化学肥料を発達させる要因となった。
水俣病を引き起こしたチッソ社も元は化学肥料の生産を創業とする会社。効率や利便性と引き換えに、環境破壊が進む。その最たるものが農薬。
品種改良に遺伝子操作が加わったことが未来に与える影響は如何ほどのものになるのか。
第一次大戦からは、トラクターに使用された「キャタピラー」の技術が戦車に転用され、化学肥料に不可欠なアンモニア生産技術は火薬製造に応用され、これまでにない大量殺戮兵器と総力戦の時代となった。
一方、同時期に開発された「毒ガス」はプランテーションにおける害虫駆除に用いられるようになり、「農薬」へと名前を変えた。
第3講以降は、かなり著者自身の主張が前面に出るので、読者の好き好きかと思うが、サラッとチェックしておいて損はなかろう。
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民主主義について考えさせられました。
国が「民」を選ぶ -個人が選んでいるように思うけれど、社会が学校が国が個人、民を選んでいる
黒田喜夫『死にいたる飢餓』
農本主義 -農の営みは国の基礎であるというイデオロギー
誰もが食べられるという当たり前を基盤とする世界はいまだ実現していない
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ボッシュ・ハーバー法によって空気からアンモニアを作成し化学肥料が進展し、それが毒ガスに転用された。トラクターのキャタピラーは、塹壕への攻撃に転用された。
自分にはなかった視点で刺激的だった。
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戦争と農業は切っても切り離せない。
トラクターが戦車に、化学肥料が火薬に、毒ガスが農薬に転用される経緯は非常に興味深かった。
また、戦時中の「食糧」というものの立ち位置も重要なものであるが故に、兵糧攻めができた。
兵糧攻めというものを詳しく学べたのは非常に大きかった。
食糧を管理下に置きたがる権力者の生々しさも学べた。
なぜそんな酷いことができるのか。読むのが辛い部分もあった。
非人道的であるが、それをおかしいと思えなかったのは、結局は民主主義の欠点でもある。
大衆の意見が正義とされる。
今自分が何不自由なく食事にありつけるありがたさを痛感する一冊でした。
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NDC分類 611.3
「農作業を効率的にしたい。その思いが二十世紀の農業技術を飛躍的に発展させ、同時に、その技術が戦争のあり方をも変えた。トラクターは戦車に、化学肥料は火薬になった。逆に毒ガスは平和利用の名のもと、農薬に転用される。本来人間の食を豊かにするはずのテクノロジーの発展が、現実には人々の争いを加速させ、飽食と飢餓が共存する世界をつくった。この不条理な状況を変えるために、わたしたちにできることを考える。」
目次
第1講 農業の技術から見た二十世紀
第2講 暴力の技術から見た二十世紀
第3講 飢餓から二十世紀の政治を問う
第4講 食の終焉
第5講 食と農業の再定義に向けて
第6講 講義のまとめと展望
著者等紹介
藤原辰史[フジハラタツシ]
京都大学人文科学研究所准教授。1976年、北海道生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中途退学。京都大学人文科学研究所助手、東京大学大学院農学生命科学研究科講師を経て現職。専門は農業技術史、食の思想史、環境史、ドイツ現代史