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最後が特に良かった。小説なのかエッセイなのか分からない、不思議な短編集でした(作者もそこは明らかにしていない)。
「勝手にふるえてろ」に収載されている「仲良くしようか」に少し近い、スピリチュアルな夢を見ているようなふわふわした不思議な感覚になれる本だなと思いました。
表題作の「意識のリボン」は生から死、天国から地獄までまるっと全て体験した気になってしまうお話で、家族とか生きる意味とか色々考えて、図書館で泣いてしまいそうに……
そして「怒りの漂白剤」は本当にあればいいのになぁって思う。自分含めて各自洗濯するべきだろう。
図書館で借りた本だけど、いつか手元に持っておきたい、そんな1冊になりました。
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建前と欺瞞渦巻く世の中にあって提示されたものをそのまま鵜呑みにするのはあまりに愚か。大人であれば、これまで歩んできた経験を活かして裏道を行くのもあり。他方、見えない分からない出来事まで邪推していると、選択肢を狭めることにもなる。色々と疑いたいのを一旦こらえて細かい文句をつけずに勇気をもって受け入れてみるのも大人だからこそできる素直さ。肩の力をすっと抜いて、世の中の身近な平和を喜びながら、色んな物を見て聞いて、できる限りたくさんの経験をする。すいすいと歩いていく。これが大人の賢明な生き方。
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普段とりとめもなく
ぐじゅぐじゅ頭の中駆け巡る考えや思いを
こんなにしっくりとくる文章にしてくれて
ありがとう!と言いたい。
どの短編も、分かる、分かるぅ~の連発。
いやぁ、かゆいところに手が届くって感じ。
表題作の「意識のリボン」の
『ひかり』という表現には
なんだかすっごく救われた。
この一冊は、また読み返したい。
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【こたつのUFO】
『永遠の若さよ、我が手に! どうしたらいいの、どうしたら手に入るの、京都民らしくお膝元のわかさ生活の作るブルブルブルブルアイアイブルーベリーアイのサプリでも飲んめばいいの。』
「人間トハ、ドウイウ生キ物デスカ」
「男と女がいますね。ちなみに私は女です」
「オンナトハ、ドウイウ生キ物デスカ」
「女は…他人の噂話が好きですね」
「ウワサバナシ」
「というのも、女は同調意識が発達してるんです。不幸も、周りの人たちがほとんど不幸だったら、大体受け入れられます。逆に周りが不幸で自分だけ飛び抜けて幸福なら、きまりが悪くなって幸福の質を落としてしまうくらい、周りをうかがう性質なのです。女は一生、自分にとっての本当の幸福なんか分からずに生きていく生き物です」
『宇宙人に、人間についての偏見を叩き込むのは、なんて楽しい作業だろう。人間を知らない宇宙人は「一概には言えないでしょ」とか「極端すぎるでしょ」「あなたの偏見でしょ」などと反論してこない。黙って空中に私の言葉を書き連ねている。細長い銀色の三本の指で、見たことのない指揮棒ような筆記用具を操りながら。』
「オトコトハ、ドウイウ生キ物デスカ」
「男は…、おっぱいが好きですね」
「オッパイ」
『知らないふりを決め込めば、簡単にやり過ごせる他人の心の機微や傷つきに、立ち止まる勇気がなくなってから、もうずいぶん経つけど、走った距離の分だけ心の空白は大きい。』
『今は炬燵がmy基地だけど、いつかUFOが迎えに来たら、迷いなく乗り込めるほど身軽に生きたい。何十年生きても、老いた証拠は身体にだけ残して、心は颯爽と、つぎの宇宙へ、べつの銀河へ。可能性はいつだって、外ではなく自分の内側に埋まっている。』
【履歴の無い妹】
「"本物の" "生の"写真なんて、私はいらない。嘘っぱちでもいいから、笑顔でピースしてる写真さえあればいい。人生で残しておく思い出は、安心で、たいくつな方がいい」
【怒りの漂白剤】
『『自虐の詩』という漫画は、生まれた時から苦労続きの主人公、幸江さんが色々あって心の成長を経て、「幸や不幸はもういい どうらにも等しく価値がある 人生は明らかに 意味がある」と感じる場面で終わるのだが、なんだかすごく感動した。』
【意識のリボン】
『私はかつて、月の香りをかいだ。ゆこうと思えば、いつでも、彼方へ。私は呼び続ける、愛しい人の名前を。身体が滅びても、時を超えて、いつの時代へも。』
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最後の2つがとくに心に残った。
かきたてられる恐怖の意識が引き起こす事件。集団心理の持つ恐ろしさを感じた。震災の時も似たようなことがあったなと思い出した。
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初出 2014〜17年の「新潮」、「文學界」、「すばる」、「小説トリッパー」
8作の短編集だが、その半ばは「こたつのUFO」の冒頭の文章がなければエッセイあるいは私小説かと思う作品。
「怒りの漂白剤」は私自身が怒りをエネルギーにして生きていた時期があったので、怒りの心理を掘り下げている描写に「そうそう」と思わず苦笑いしてしまう。
作者独特の、外へより自分の内側へ深く鋭く向けられる視線から生まれる物語は、共感する人が多いのだろうが、心を揺さぶられたい私には今ひとつ物足りない。
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芥川賞受賞時からずっと読んでる作家さんだが、表現の仕方とか、すごく変わったし、うまい文章書くな~と思いながら読んだ。
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時間は有限だ。体力も気力も野望も十分にあってこそ挑戦できる、意識のない時間はもっと贅沢だ。寝るのも大切。
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久しぶりの小説。
育ちの良さと感性の鋭さ、
若くから売れっ子作家をされているのに
劣化していないのがスゴい。
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綿矢りさ初読み。
迷いながら、揺れながら、不器用に生きる女性たちへ贈る8編の物語・・・とあるけれど、途中まで「ん?これは小説?エッセイ?」というような内容。
30歳くらいの女の子の頭の中をあ~だこ~だとつらつら書き連ねたような小編は、エッセイ嫌いで年齢層もかなり違う私にとっては、面倒くさかったり、退屈だったり。
それでも最後までがんばって読んだら、8編目の標題作にやられたので、綿矢作品、少なくともあと1作、今度は長編を読んでみようかなという気にはなったかな~。
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老いた証拠は身体にだけ残して、
心は颯爽と、次の宇宙へ、べつの銀河へ。
可能性はいつだって、
外ではなく自分の内側に埋まっている。
_________【こたつのUFO】__________________
それぞれの 女性 の 短編集。
その頭ん中の表現力といったら。
乙女な装丁に騙されるべからず。
短編集だけど、エッセイのような、
エッセイではないような不思議さ。
【こたつのUFO】は特におもしろい表現で、
吹き出しながら読了 ◯
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岩盤浴での受動的人間観察、ささやかな願いのつもりの相談要望の副流煙的ストレスな一文、出生前記憶と臨死体験等、八編。自分が体験したかのような滑らかな寄り添いで、ありふれたことを丁寧に取り出して、特別には磨かず、でもふっと息を吹き掛けるよう。ふわふわさらさらした、のどかな柔らかさ。全く負担なく読める。
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短編集。
各作品の自分の面白かった、つまらなかったの振れ幅が大きい。物語性の少ない独白が長く続くモノは苦手でした。
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比喩表現が多彩で読んでいてとても楽しく、でもそこで描かれるのは30代前後のちょうど悩みの深い世代の女性たちで、くすっと笑ったり、ちょっと昔の自分を思い出して胸が痛くなったりしながら読んだ。
家族も含めた他人とどう交わりながら生きるか、はっきりとした正解はない中で、自分なりの答えを探さないといけない。
それって実はかなり大変なことだよなぁと改めて思った。
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綿矢さんの本読むの蹴りたい背中以来。私小説の中でスマホ、とかSNS、とか出てくるのがあまり得意じゃない(現実に戻される気がして)なと改めて思った。あと社会に対する怒りとか描かれてるのも苦手。現代への風刺が垣間見得る作家さんは苦手なんだなあとしみじみ。