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「お年寄りが戦後と言ったら、それは太平洋戦争ではなく戊辰戦争の後という意味」
そんな冗談があるほど、戊辰戦争の傷あとは福島県民の精神に根深く残っている。
松平春嶽は会津藩が京都守護職に就くよう藩主・松平容保を説得した人物だ。そして戊辰戦争の際は、官軍側として会津に藩兵を差し向けた人物でもある。
明治維新の敗者側から見て、決して心象の良い人物ではない。
けれど、春嶽には徳川御三家に生まれた故の系譜と立場があり、理想があった。
そしてなぜ春嶽は勝者にも敗者にも「なれなかった」のだろう?
明治維新を新たな視点で見なおす時、日本の向かう未来が見える。官軍でも賊軍でもない。春嶽だからこその視点で、幕末史を読み解く歴史小説。
KADOKAWAさんの文芸情報サイト『カドブン(https://kadobun.jp/)』にて、書評を書かせていただきました。
https://kadobun.jp/reviews/254/534b347d
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初出2017年「小説野性時代」
初版発行は著者逝去3日後の12月26日。
もう葉室さんの作品が読めないのがとても残念。
幕末の福井藩主松平慶永伝。作品の中では号の春嶽と記されている。
近世史を学んだ者としては、橋本左内や横井小楠を働かせた人物としてもっと評価されていいとは思っていたので、こういう文芸作品で描かれて大変面白く読んだ。
外様大名ではなく徳川一門という立場で、外圧の危機に際して幕府専制から大名連合政権構想を唱え、大政奉還のレールを敷いたことはかなり大変なことであったと思われる。小御所会議のメンバーの中では数少ない幕府側の人物であったが、注目度は高くない。
新政府の民部卿、大蔵卿に就くが版籍奉還前の明治3年に辞任し、明治23年になくなるまで公職に就いていない。
憲法発布、国会創設をどう見たのかまで描いて欲しかった。
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松平春嶽の国を思う心情行動を,幕末の難しい政治の駆け引きの舞台で描いている.少し徳川慶喜に厳しすぎるとも思うが,龍馬暗殺が彼の指示によるのだとしたら,それも有りかと思う.勝てば官軍ではないが,やはり腹黒いやり手が生き残るのだと思った.安倍正弘が生きていればとも思うし,会津藩が京都守護を引き受けなければとも思う.今も長州のいやらしい小狡さが政権に生き続けているのかもしれない.
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幕末の激動期、日本の舵取りに奔走した松平春嶽と、彼を取り巻く英雄達。
春嶽を支える横井小楠、水戸斉昭、島津斉彬、坂本龍馬、西郷隆盛。
最後の将軍となった一橋慶喜の人物像が、この本によって180度覆ってしまった。
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松平春嶽って、幕末の話に出てくるけど、どんな生い立ちで、どんな生き様をした人か、知りませんでした。だから、面白かった。先進の人だったんだな。
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幕末もの。松平春嶽?名前は聞いたことある。さて。前知識なしで読んでみる。時々wiki見つつ。読了。まず、幕末の魑魅魍魎な流れがなかなかにわかりやすい。時々ドラマや他の小説で見たあの場面、そういういきさつだったのね、と、わかる。幕末はみんな言うことがコロコロ変わって、やってることとが辻褄合わないからややのしい。それがある程度わかった気になれるのがいい。幕末大河が後半つまんなくなるのは、状況説明がドラマじゃしきれなくて、すべてを主人公に収束しようとして無理が出るからだと思うな、福山竜馬伝とか、ま、それは今関係ない、と。しかし、主人公の松平春嶽にまったく思い入れられない。幕末のお勉強にはよかったな、そんな得も損もしていない気分です。
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幕末の越前藩主 松平春嶽を描く歴史小説。
作者の幕末物は「大獄」に続いて読みました。
主人公の清廉さが清々しくも、時代に翻弄される様は歯がゆく感じました。
特に頼りとしていた橋本左内、坂本龍馬、横井小楠を大事なタイミングで亡くしていく空しさがうまく描かれていたと思います。
せっかく幕末という新しい境地を開いた作者の急逝は惜しまれます。
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越前福井藩主松平春嶽。名前しか知らなかったが、幕末において、これほど重要な役割をしていたとは。徳川一門にもかかわらず大政奉還を訴え、徳川一門として徳川の行く末を見守る。こういう繊細な面が印象深かった。「私」よりも「公」。必要とあれば、自分のポストにも拘らない。今の政治家にこんな公正な人はどのくらいいるのだろうか。今まで新撰組とか高杉晋作とか、表舞台を飾った人物にしか目を向けていなかった事に反省しつつ読み終えた。とても良い本に出会えた。
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幕末から明治にかけて賢侯と言われた松平春嶽の若き日から末年まで。徳川一門・タ保家に生まれある意味で慶喜のライバル。将軍になり得たかもしれないし、大老の候補者でもあった人。そして維新後も役職に就いた数少ない要人。島津斉彬、龍馬、隆盛らが魅力的に描かれる一方で、毀誉変貌を繰り返す小さい才人・慶喜、そして素直ながら兄に及ばない凡庸という久光らには厳しい。春嶽の鳳雛に例える橋本左内、横井小楠の存在感はあまり感じたことがなかった。
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幕末モノの小説を読んでいると、ちょいちょいその名が登場する、松平春嶽が主人公。
徳川一門で、福井藩主である彼は、“私政”ではなく“公の政”を行うべき。と、明確なビジョンを持って激動の時代を奔走します。
なかなか理想通りに事が進まず、苦悩も多かったようですが、彼が明治維新の礎になった事は確かだと思いました。
因みに、育ちの良さがポジティブな方向に出た春嶽と対比して、徳川慶喜はネガティブに描かれています。慶喜は本当に描く人によってキャラが変わるな・・。と思った次第。
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伏龍と鳳雛を手に入れれば天下を握れる。越前福井藩の松平春嶽は、横井小楠を伏龍、三岡八郎を鳳雛として、激動の時代を駆け抜けていく。
薩長史観などと呼ばれるが、松平春嶽の視点から維新を見ることで、正当な評価が出来る優れた小説です。改めて、明治維新とはなんだったのか。もう一度よく勉強したくなります。
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この世があると言う事は、正しいが言えでございましょう。俗世はいかに誤ったことが行われようとも、世の成り立ちが正しいことには変わりありません
春嶽侯はともかく、一橋侯こも名だたる猛獣ですよ。それがひとつの檻に入るんだ。ただではすまんぜよ
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春嶽の視点での小説は初めてで、かつ葉室麟著と言うことで期待した。読みやすくはあったが、深みが期待した程ではなかったのが残念。 ただ天翔けるが、春嶽の辞世の句にあったことを知る。
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松平春嶽本人というより、春嶽から見た橋本左内、横井小楠、三岡八郎、坂本龍馬といった志士像を描いた作品。思想の変遷が分かりづらかったかな。
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職場の人の紹介で読んだ本
本格的な歴史小説は初めてで読み通せるか不安だったけど、ぶじに読み切った。
歴史のことはよく知らないけれど、続きが気になってページをめくる手が止まらなかった。
最後の勇姫と春嶽の会話が印象的だった。