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・イノベーションの三段階プロセス
① 筋のいい技術を見つける
・筋のよさとは
(ア)科学の原理に照らして原理的深さを持つ
(イ)社会のニーズの流れに照らして、人間の本質的ニーズに迫っている
(ウ)自分たちの得意技に照らして、付かず離れずの距離にある
・データもディテールもほどほどにして、原理の高みに上がって技術の俯 瞰図を描ける人が技術の目利き
・偶然は準備のある心の持ち主に微笑む。そして「準備ある心」と は、次の三つのステップへの努力と能力を備えた心
(ア)偶然が生まれる:偶然の現象が起きる確率を高める努力
A.意味のある偶然が起きやすいような活動領域・状況を設定する 努力
・本質的なことに迫るような活動領域の設定
・活動領域の多様性の設定
B.上記の設定領域・状況の中で、努力投入量を多くする努力
・頻度を上げ、失敗を罰しない
・多様な分野の人間を取り揃えて、メンバー間の相互刺激・競争 を誘発
(イ)偶然に目をつける:その現象を評価する能力
A.偶然への感受性を高める
B.現象評価力を身に付ける
(ウ)偶然を固定化する:その現象の論理を解明する能力
②市場への出口を作る
・「市場から技術へ」ではなく、「技術から市場へ」の流れ
・技術の出口を「作る」とは
(ア)穴を開ける作業
(イ)上記の穴が恒常的な出口として整備されるプロセス
・新製品がイノベーティブであればあるほど、使用法も含めた
ビジネスモデルの開発がイノベーションの市場での定着にはどうしても必要
・「顧客イン/技術アウト」の基本スタンス
顧客イン:顧客の立場に身をおき、ニーズを深く探る
技術アウト:ニーズに応える製品(=製品が機能するように仕立
上げた技術)を作り出す
・顧客ニーズの確認のためには「モノ」の提示が不可欠。更にその
フィードバックから学ぶ
・企業と市場との間の障壁を乗り越えるための条件
(ア)顧客が感じる不安不確実性を乗り越えさせるだけの魅力の具備
(イ)上記魅力を顧客が理解するよう「市場を説得」する
・市場説得にあたっての肝は、顧客の経済的負担を大幅に減らす
こと。初期の費用負担を軽減し、試し使いをさせることで市場が
使ってみて効用を認識し説得される
・肯定技術と否定技術の共存が成功すれば経済的成果は大
(ア)否定技術をの技術アウトで既存市場を活性化
(イ)肯定技術の進歩(コストダウン、製品改良)
・市場での出口での二つの試練
(ア)死の谷:組織内部での事業化の是非の判断
A. 選別
B . 警告
C. 教育
(イ)ダーウィンの海:市場での選別
③社会を動かす
(ア)コンセントドリブンイノベーション:機能性に訴える
・いいコンセプトは「聞いて驚き、使って驚き」
・コンセプトが社会の共鳴につながるかは社会の状況に依存
・コンセプトの駆動力は以下の3点セットが揃っていることに依存
A.��客にとってのベネフィットの大きさ
B.製品の供給価格が低いこと
C.社会状況との合致
(イ)ビジネスモデルドリブンイノベーション:経済性に訴える
・ビジネスモデル=ビジネスシステム+収益モデル
A.ビジネスシステム:製品やサービスを顧客の手元に届けるための仕事の
仕組み
企業内外(顧客も含む)の分業や仕事の分担のシス
テム全体
この設計が重要で、経済性もデモンストレーション効果も
規定
B.収益モデル :利益をあげるためのビジネスの仕掛け
売上げ増大+費用低減のための工夫
・コンセプトドリブンイノベーションとは双方向の関係で、同時発生もありうる
・ビジネスシステム=業務システム+学習システム
分業関係は業務のみならず、そこで必然的に起きる現場学習の分
担関係でもある。自分で仕事をすれば、その仕事について自分が
学ぶ。他人に仕事を任せれば他人がその仕事について学習する。
つまり自分のところには学習蓄積が残らない
(ウ)デザインドリブンイノベーション:感性に訴える
・脱成熟化のためのデザインドリブン
・必要となるのはハイテクではなく、どこかの産業では使われていたか
も知れない技術を応用すればよい。「枯れた技術の水平展開」で
よい
・Stay hungry, Stay foolish
・破壊的創造こそイノベーション。創造的破壊ではない
・既存の秩序の周辺部分で鳴り物入りではなく新しい秩序を作り始
め、次第に古い秩序のフェイドアウトを誘発していく人「静かな建設
者」が実際にイノベーションプロセスを担う
・「凡庸なイノベーターは「指示(Tell)」をする。
いいイノベーターは「説明(Explain)」をする。
優れたイノベーターは「範を示す(Demonstrate)」。
偉大なイノベーターは「心に火をつける(Inspire)」。
(TEDI)
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イノベーションとは技術革新の結果として新しい製品やサービスを創り出すことによって人間の社会生活を大きく改変することである。
イノベーションの3段階プロセス
1.筋のいい技術を育てる。
2.市場への出口を作る。
3.社会を動かす。
技術というものは偶然のきっかけから有意な情報を選びだす必然的なプロセスを背後に持った自己改良可能な知識体系である。
イノベーションは結局、市場と技術の間のコミュニケーションから生まれる。
多くのイノベーションの成果は、とにかく使ってみることによってはじめて市場に理解されるものが多い。市場説得のカギは、とにかく使ってもらうことである。
1.ニーズとシーズの相関構想力
2.簡潔な言語表現力
3.必要な技術を開発できる技術力
コンセプト創造がビジネスモデル革新を行う。
イノベーションが生前として進まず、不均衡にジグザグに進行していくことを嘆いてはならない。イノベーションを興したいのならむしろ、どこかで生まれる不均衡をバネに使うことを考えるべきだろう。
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東京理科大学総合科学技術研究科教授、一橋大学名誉教授である伊丹敬之氏による「イノベーションを興す」。
本書で定義されているイノベーションのプロセスは「①筋の良い技術を育てる②市場への出口を作る③社会を動かす」であり、このプロセスでイノベーションを進めていくにはどうすれば良いかということが、順序立てて説明されている。
調査結果等に基づいて論理が展開されているというよりは、著者の考えが論理的に書かれている。
メーカーでのエンジニアの経験がある私としては、大学教授という立場にも関わらず、技術開発の現場を熟知していることに何度も驚かされながら読み進めていったが、社会人大学院の教授ということで、現場のエンジニアとの交流が深いからだと納得。それだけに、膨大な調査を行って書かれたものではないが、決して著者の考えは机上の空論ではないと感じた。
イノベーションは製造業だけでなくサービス業にも必要であることであるが、どちらかと言うと本書は製造業に向けたものであろう。メーカーの経営層~中間管理職は一読の価値があると思われる。
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ウォークマン、CD、グーグルなどイノベーションの事例として挙げられている過去の技術開発は確かにマーケットインの発想などではないであろう。技術の可能性とその追究への強い思いを核として、かつ顧客の将来ニーズ・潜在ニーズへの確信があったからであろう。確かにそうだと思う。著者の言うように、顧客のニーズを満たすのは製品そのものではなく、そのニーズを満たすことを可能する技術なのである。筋のいい技術を見極めることは非常に重要であろう。
しかし、単にプロダクトアウトは論外として、顕在化しているマーケットの分析に基づいて技術開発をしても振り回されるだけ、という筆者の主張には疑問を感じずに得ない。
”顧客インの技術アウト”。確かにイノベーションを生んだ技術はこのような考え方に基づいている。しかし、このような捕らえ方で、世に出ることもなく失敗に終わった技術開発は山ほど、星の数ほどあるのではないだろうか?と疑ってしまう。
マーケットイン発想で、着実に(実際には、それでも全く着実ではないのであるが)進めた技術開発が、イノベーションとは言わずとも、メーカの事業を支えているのではないんだろうか?
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イノベーターの3つの役割り、筋のいい技術を育てるマネジメント、市場への出口を作るマネジメント、社会を動かすマネジメントの重要性を一貫して述べています。最初の1つ以外は難しくて、この稚拙が差別化に繋がっていると思います。
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・なぜ読んだのか?
コンセプトについての本を探していたところ、ものづくりの要素としてのコンセプトの役割が載ってたから。
・本の内容
コンセプトを使用者が聞き、そのものを実際に使って感動するという2つのステップを踏むことで、製品やサービスはあっという間に普及する。
・今後活かせそうか?
Kや新規事業におけるコンセプト策定にあたって、どのようなものを目指すべきかを理解できたので、そういった場面で役に立つと思う。
・その他
一橋大学名誉教授の伊丹先生の本なのでかなり面白いです。
経営工学、イノベーションに興味ある人は読んでみると良いかと。
(1年 S.A.)
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伊丹氏は一橋から東京理科大に活動の場を移し、急にMOT関連の書籍を書くようになった。
この本は技術を元にしたイノベーションについて書かれているが、一度でもMOTというものを勉強したことがある人からすれば浅い内容に感じられると思う。
ビジネスの中でMOTほど理屈で語りきれない分野はない。
やるべきことはビジネスリーダーの誰しも分かっていてそれでもマネジメントしきれないのが技術とイノベーションなのだが、この本は理屈しか語っていない。
個々の技術課題に直面したときの解決策は、この本からは読み取れないと思う。
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イノベーションという言葉の定義が良く分からず、入門書として買ってみた。ビジネスは全く分からないが、マクロなところから理解できて、初心者にちょうどよかった。
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イノベーションとは何か?
モノ・技術で社会に感動を興すとは?
ページをめくると、目次に好奇心を掻き立てられます。
●筋のよさとは?
●嗅ぎ分ける力とは?
●技術の目利きとは?
●偶然の効果的固定化をするには?
●技術の自走とは?
●市場の出口とは?
●内なる抵抗とは?
●社会動かすドライバーとは?
●破壊的創造とは?
●日本という壁とは?
●偉大なイノベーターは心に火をつける!
・・・・
理系の発想と文系の発想が融合するところにはじめてイノベーションを興せる。
技術革新だけではなく、市場分析だけではなく、
技術アウトで顧客インを融合して、
社会を感動させるイノベーションを興そう!
やりたいことがいっぱい浮かんでワクワクしてきます。
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【目的】
技術が経営のカギを握る企業で、組織としてどのように技術革新と向き合う必要があるか、自分なりの考察を得たい。
【感想】
イノベーションを興すための基本プロセスを整理し、企業としてどのように関わる必要があるかを示した本。
【気づいた点】
知識・技術は「組織は蓄積し、市場は利用する」とあり、自社が蓄積したものを市場(他社)が利用するということがよく起こるとある。
自社で技術を蓄積することはもちろん、他社が展開した製品や技術の市場での反応を見極め、自社に取り組むことが求められている。そのような幾つかの役割を組織やチームとして、対応していく必要があると感じた。
ただ、上記内容を踏まえ、本書に書かれているプロセスを、組織としてマネジメントしていくだけで、イノベーションを興せるかというと、そう簡単なことではないと思う。
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イノベーションとは、「技術革新の結果として新しい製品やサービスを作り出すことによって人間の社会生活を大きく改変すること」
イノベーションの三段階のプロセス
Ⅰ、筋のいい技術を育てる
筋の良さとは
1),科学の原理に照らして、原理的深さをもつ
▶①そのテーマの実現可能性を高めてくれてる。
②深い原理につながる技術ならば、さらなる展開のポテンシャルが大きい。その原理の横展開でそのさきの発展性がある。
2),社会のニーズの流れに照らして、人間の本質的ニーズに迫っている
▶人間の本質的な欲求にきちんと応えるようなニーズ
3)、自分たちの得意技に照らして、つかず離れずの距離にある
▶自分たちの得意技を活かし、得意技を拡大できる。
嗅ぎ分ける力
1)小さく見えることへの、「なぜ」の素早さ
2)周囲の状況全体を捉える、風景眼
3)大きな地図の中での、位置づけ
技術とは「自然が内包しているきわめて豊かな論理の全体の中から、人間の認識の中へ体系的に切り取られ、他者による再現や利用が可能なように体系化された論理的知識の総体」
偶然の必然化の構造
1、偶然が生まれる▶偶然の現象が起きる確率を高める努力
2、偶然に眼をつける▶その現象を評価する力
3、偶然を固定化する▶その現象の論理を解明する能力
Ⅱ、市場への出口を作る
意味
1、二つの世界の間の動きの方向性として、「技術から市場へ」という方向である。✕「市場から技術」
2、動く主体が技術だ。出口を出るのは、技術なのであって、製品が出ていくことが本質ではない
市場からの学習プロセス
1,最初のコンタクトになりうるものをどのように準備するか
2,そのコンタクトからの顧客の回答を、どのように技術の言葉に翻訳するか
3,その技術的翻訳をベースに、どの程度柔軟に自分たちのモノのオファーを変えていけるか
外なる障壁を乗り越えるために
1、不安や不確実性を乗り越えてみようと顧客が考えるだけの魅力を、新しい製品が備えていなければならない。顧客のニーズにあっているか
2,新しい製品が不安を乗り越えるだけの魅力を持っていることを顧客が理解してくれるようにすること
内なる抵抗
1、心理的許容
2,キャッシュ・フロー
3、技術支援
Ⅲ、社会を動かす
三つのドライバー
1,コンセプト
市場の出口を作る製品がもっている製品コンセプトのこと。それは、製品が果たす機能についてのコンセプト。
コンセプトのポイント
1)「使う側に立った」表現であること
2)「中核的なベネフィット」を表現したもの
3)「わかりやすくかつ短い言葉」という点
コンセプト創造の要件
1)ニーズとシーズの相関構想力
2)簡潔な言語表現力
3)必要な技術を開発できる技術力
2,ビジネスモデル
あらゆる製品やサービスを顧客が使えるようにするための技術が準備する仕組み(ビジネスシ��テム×収益モデル)
3,デザイン
製品の意匠や使い方の工夫の設計のこと。
Ⅳイノベーションの発生メカニズム
シュンペーターのイノベーションの定義
「不断に古きものを破壊し新しきものを創造して、たえず内部から経済構造を革命化する産業上の突然変異」「創造的破壊の過程こそ資本主義についての本質的事実である」
イノベーションの外的誘因と内的誘因
外的誘因
需要構造の変化とか、国際価格体系の変化、規制の変化
内的誘因
「イノベーションプロセスそのものの内の」
1)イノベーションの基となる技術の体系の「相互依存性」に起因するもの
2)一つのイノベーションを実現しようとする努力が社会のさまざまなニーズを人々に学習させることになり、その結果、技術的には必ずしも関連がない市場分野でのイノベーションのポテンシャルをイノベーションの実験者に気づかせるというもの
イノベーションプロセスで果たす役割
「組織は蓄積し」「市場は利用する」
知識・企業システム・イノベーションのダイナミクス
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