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奇遇にも再検査に行った病院の待合室で読み終えた。大病院は本当に「サービス業」という雰囲気で、「この先生たちもこんなハードな生活をしてるんだろうか…」と想像してしまった。
前半は読みながら、現役医師の作家が「私たちはこんなに大変なのよ!患者もわかりなさいよ!」と言いたいんかな…どこにもってくつもりなんやろう…と。だってタイトルが『ディア・ペイシェント』。病院で問題行動をしてるつもりはないけど(そもそも病院行かないし)、なんか叱られてる気分になった。
そんな前半に反して、ラストは目頭が熱くなった。母を亡くしてからの、姉妹の、そして父娘の会話が特に。謝るタイミングを逃したまま終わってしまうことの辛さを想像してグッときたり、父と母のステキなエピソードにポワンとしたり。涙目で診察を受けるところだった(笑)
しかし全編通じて最も強く思ったのは「医者に迷惑をかけない患者になろう」だった。自分が大病をした時に実行できるかはわからないけど、この本を読んだらそう思わざるを得ない…。あとは千晶や陽子のような医者に診てもらえることを祈るばかり…。
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いつからだろう。病院で患者が「様」付けで呼ばれるようになったのは。
それまでの、患者は病院に対して何も言えない、医療者の言うがまま、という状況から、きちんと質問ができる、不満があれば伝えられる対等な立場になったことは良いと思う。が、この小説にあるようなまさにモンスターペイシェントへの対応に医療従事者が疲弊しているなんて、あり得ない。なにか勘違いしているんじゃないか。過剰に下に出る必要はないけれど、けれどやはり自分の身体や心を診てくれる医者たちへ最低限の敬意は持つべきだろう。患者が傲慢になることで、最終的に自分たちへの医療の質が落ちていくのだ、となぜわからないのだろう。
医者や看護師、その他コメディカルの人たちが、一般的なサラリーマンとは違う「矜持」で働いているのは確かだ。けれど、それに対してそれを当然だと思ってしまうのは患者の身勝手以外の何ものでもない。医者だって看護師だって、人間なのだから。
医者が患者の求める医療を求める範囲できちんと対処できること、その当たり前が当たり前にできる医療で会って欲しい、そう思った。
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んーイマイチ
患者との訴訟で負ける同僚
モンスター患者
患者様
薬の出し方
院長、看護師との関係
医者で仕事一筋の父
母、妹
サイレントブレスの方がよかった
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「患者様は神様」をモットーにした病院が患者のクレームで崩壊していく様を描くヘンテコ病院小説。小説としては適度に楽しめたが、色々とヘンな小説。展開もトンデモだし、まとまりもない。
作者は出版社勤務の後に医師となった現役医師。果たしてこの小説で何を訴えたかったのか、全くよくわかりませんでした。
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病院をサービス業と捉えるやり方は、そこに勤める医師のストレスは半端ないと思った。医師の過労働と睡眠不足、医療訴訟があり、そしてクレマーにも患者様として対応していかなければならないマニュアルがあり、患者様第一主義は医者が患者さんに恐れを抱く。対等でなければ質の良い医療を提供できないのではと思う。大きな病院が抱える問題を提議してるようで胸が締め付けられた。最後、主人公の千晶先生のお父さんの助言が心に沁みた。
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病院にかかることの多い自分のことを、改めて考えた。モンスター・ペイシェントにならないよう、気をつけているが、ドクター側から見た問題患者は、また別の要素を持っているのだと思う。わからないから頼りたい、けど待ってもまっても三分診察。
ストーカーの動機づけが弱い気がした。
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内容(「BOOK」データベースより)
病院を「サービス業」と捉える佐々井記念病院の常勤内科医・千晶は、押し寄せる患者の診察に追われる日々を送っていた。そんな千晶の前に、執拗に嫌がらせを繰り返す患者・座間が現れた。病める人の気持ちに寄り添いたいと思う一方、座間をはじめ様々な患者たちのクレームに疲弊していく千晶の心の拠り所は先輩医師の陽子。しかし彼女は、大きな医療訴訟を抱えていた。失敗しようと思って医療行為をする医師はひとりもいない。なのに、患者と分かり合うことはこんなにも難しいのか―。現役医師が医療に携わる人々の苦悩と喜びを綴る、感涙長篇。
医師というと、人間が思いつく職業の中でトップクラスに尊敬され、社会的信用も高く、前途も洋々で人生の勝ち組というイメージが有ります。僕自身もそうだし世の中のほとんどの人はそう思っていると思います。でも自分自身がこんなに重大な責任を背負う陽な職に就くかと言われたら、絶対に就かない職業のダントツトップになります。人の命を左右する重大な決断を一個人が決め、相手の全幅の信頼を受けて治療する。そんな事とてもじゃないけれど考えられない。
毎回小説を読んでいて思うのは、ずさんな医療を正す小説を読んでいるときは医者に対して酷いと言い、無責任な教師に苦しめられる小説を読むと子供たちの気持ちに寄り添う。はたまたモンスターペアレントに苦しめられる教師の苦悩を描いた話では、教師の苦悩に心を寄せる。それぞれ一辺通りではなくそれぞれの事情に対して寄り添う事が出来るので、自己矛盾を見つめて、それに対して真摯に考える材料を与えてくれるのが小説の尊い所だと思っています。
この本は医者が患者の為を思って動いても、患者にはそれが伝わらず訴訟やクレームという手段で医者の心と尊厳を削り取っていく様が、医者の側の視点で切々と描かれています。読んでいて胸が苦しくなるような気がしました。この苦しい感じの原因を探そうと、心の中をぐっと覗き込んでみると、自分も医療行為で家族に何かあったら、医者を責めるのではないかという自己矛盾で、すっきり医者に肩入れ出来ない痛みだったような気がしました。
私の身の回りのお医者さんは皆親切で、一生懸命治療してくれているので感謝しかないのですが、それでも時に納得できない時に湧き上がる悲しみともあきらめとも言えないあの感情。本当にこの人を信じてよいのかという猜疑。それを無数に向けられる医者という職業の苦しみがこれでもかと描かれます。
医者でないと書けない本だと思いました。ある意味現在進行形で治療している人はどう感じるのだろうかと思わせる本でした。
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著者第2作
第1作の「サイレント・ブレス」がすごく良かったので、期待して読み過ぎた感があります。
今作は、今の医療現場のお医者さんの過重労働や、患者のモンスター化などの問題を、自分の理想の医療をなんとか目指そうと頑張っている、女性医師真野千晶とその同僚の医師達や、地域医療で頑張っている、千晶の父の姿を通して訴えています。
実際36時間労働がざら、という現実は大変過ぎて重かった。
お医者さんが忙しすぎたら、現実的に良い医療なんて出来ない。
でも、治して欲しい患者さんも一杯いる。
そして、待ち時間が長いと特に自分の体が辛い時は、辛いのも本音。
いろいろ考えさせられた一冊でした。
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大学病院から、民間の総合病院へ転職した女医千晶。高い志を持って職務に当たるも、心無い患者と、日々の過剰な激務に悩まされる日々。
ある日、謎の患者座間が千晶のもとを訪れる。
リアルな医療現場に複雑な思いを持ちながら読みました。
総合病院にかかることも多くはなくとも、病院の対応に不満を持ったことは無くもなく、お医者様の立場では、こんな風にも思っているのだと改めて思い知りました。
医師にも患者にも常識的な心があれば防げることが多いはず。
患者に寄り添える医師、医師に尊敬の念を持って訪れることの出来る患者、そんな人ばかりであれば、医療の現場は健全なものになるのだろうなと、漠然と思いました。
座間の存在が不気味。その存在も含め、先の気になるストーリーで、最後まで夢中になりました。
いい出合いでした。
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2018.5.23.読了サービス業として認知された感のある医師。患者さまという名のもとに様々なクレームを持ってくるモンスターペイジェントに悩まされる医師たち。
昔に比べたら物腰の柔らかい医師が増えたと思うが、こんな現実なのかとあらためて驚いた。
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暑くて他することないからクーラー効いた部屋で一気に読んだ
医者にはならないでおこうと思える内容だけど、最後はちょっぴり医者になってよかったねって締めくくられる
クレーマー患者の中にミステリーを加えてくるところがなかなか面白く、最後の顛末が気になってしまういい引きだった
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少し前に読んだ『サイレント・ブレス』が良かったので同じ作家さんの本を借りてくる。
こちらも別の意味で心苦しい話だった。
自分の気持ちが相手(患者さん)に伝わらない、別の意味で捉えられているって気持ち悪そう。最初から、100%伝わるってことはないと思って、伝える努力をしないといけないということね。医師と患者という関係だけでなく、友人や家族間でも。
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初めて読む作家さん。ノンフィクションなんじゃないかと思うほどのリアリティ。
父が約1年の間、4つの病院に入退院したが、どの病院の医師も忙しさのあまり疲弊していたように思う。
次々と運ばれてくる急患の処置に追われ、手術をこなすだけで精一杯、いつ医療ミスが起こっても不思議ではない、といった具合だ。特に中央の大病院で顕著だった。
志の高い医師ほど、現実とのギャップに苦しむのではないだろうか。
こうなったのは誰のせいなのか?
では、どうすればよいのか?
医療を受ける多くの人に考えてもらいたいテーマだった。
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読みごたえがあった。
初めて読む女性作家 南杏子氏の本である。
病院へのクレーム対処方法。患者さんでなく、患者様!
佐々井記念病院の内科医で、主人公の記空が、毎日の勤務の過剰時間、睡眠不足、食事もままならない日々を送るのだが、、、、医療訴訟で、自ら命を絶った友人医師、、、には、感涙。
両親の気持ちにになってしまった。
今、私の通っている病院も、9時前に診察券を出しても、2時間待ちなんか、当たりまえ、、、、そして診察時間は、5分もかからず、いつも道理の薬の処方箋・・・・
患者としては、納得いかない事もあるけど、、、、
私が、最初に手術をするときに、先生へ「手術怖いのですが、、、」の答えが、「あなたは、麻酔で眠っている間に過ぎますが、メスを持つ私は、もっと怖いですよ!」と・・・・
なるほど、それもそうだ!(?)と、納得して、手術を受けました。(笑)
未だに、通院しないといけない身になりましたが、、、、
医師も、精神的に、色んな事があるのだと、、、、この本でも学べました。
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女医さんが病院で奮闘する物語。病院内でさまざまな人間模様があり、ひとりの患者から理由もわからないまま、執拗な嫌がらせを受けながら、患者、病院関係者と向き合っていく。医療の過酷な実情と、現実にもあり得る訴訟問題、病院内の運営問題等に焦点を当てたもので、医者の視点ならではの展開が真に迫ってくる。今後、医療がどうあるべきか考えさせられるものだった。