紙の本
テーマとしては面白いが、参考にした底本への敬意をお忘れなく
2023/10/22 11:56
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投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
英語を習いたての頃から謎と感じることは多い。本書では例えば、「英語の名前はなぜ姓が後にくるのか?」「動詞はなぜ主語の後なのか?」「疑問文ではなぜ主語の前にdoやisをつけるのか?」「comeの発音はなぜコメではないのか?」「英語にはどうして規則動詞と不規則動詞があるのか?」など79の疑問について答えていく。
一つ一つは短く簡潔にまとめられているため読みやすい。
そして答えは大体決まっていて、「10世紀頃の古い英語では・・・、そして11世紀のノルマンディ公の英国征服でフランス語が入ってきて・・・というように変わり、15世紀のルネサンス期にはギリシア語ラテン語の影響を受けて・・・と変化、18世紀から徐々に今日の言い回しに近い形に変わってきた」の如くだ。しかしこういう隔靴掻痒のような答えでは冒頭の素朴な疑問が解決されているとは言えない。少し深掘りして、結論はすべて「古い英語では違ったけど、今はそう言うことになっている」と反復して回答しているだけである。要するに内容が薄すぎるため、殆ど腑に落ちない。読む前に目次を見て面白そうだと思ったが、残念ながら読後は「で何だっけ?」程度の感想である。
ある研究雑誌で「英語のなぜ?を歴史的に説明しようとする書物は、英語教員向けに書かれたものは学生や一般の読者には専門的で敷居が高く、一方、学生や一般向けに書かれたものは英語トリビアの読み物としては面白いが、個々の疑問に単発的に答えることが多く、説明も十分に深められていない(寺澤盾氏、英文学研究、2019年96巻)」との指摘を読んだが、本書についてはまさにこのトリビアの領域である。中学生高校生に中途半端にラテン語やロマンス諸語における格変化の説明をしても「へー」で終わってしまうだけではないかと危惧するものである。
読みながら感心したのは古い時代における文献中の英語が随所に引用されていることだ。普段目にすることもない古英語が身近に読めたことは評価したい。しかし、この手の本には珍しく参考文献・出典の記載が一切ない。オックスフォード英語辞典OEDが出典元なのだろう。中学生高校生向きの本かも知れないが、著者陣自身の研究成果でない限り、単なる底本の抄訳ならば礼儀として出典は記載すべきであろう。研究者ないし学者が書いた本としては原典に対して無礼千万であるし、あるまじき行為だと残念に思う
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英語史を紐解いていき、「youはなぜ複数形もyouなのか」「goodはなぜbetter, bestと不規則に変化するのか」といった疑問に答えられるような「納得の理由や法則がみえてくる。イギリス英語とアメリカ英語のちがいがうまれた歴史から、フランス語由来の単語が英語に多い意外な理由まで。考えてみると不思議なきまりや長年の疑問に答えがみつかる79のQ&A。」(裏表紙)
雑誌「英語教育」の新刊案内で紹介されていたので、Amazonで即買いした。確かに、この3人の著者の並びをどっかで見たことあるなあ、と思いながらも、とりあえず読み始めた。特に新鮮味もなく読んでいき、半分くらい読んでちょっと飽きたのでペラペラっとめくっていって、最後の質問が「ケーシー高峰はなぜ高峰なのか。」という質問で、あっ!!と思ってしまう。最後に「本書は、2002年8月に教育出版より刊行された『歴史から読み解く英語の謎』に加筆・修正し、改題のうえ文庫化したものです」ということで、2回目に読んだ本だった。そして、半分まで全然気づかなかった。さらに、今これを書こうとして『歴史から読み解く~』のおれのレビューを読んだら、まったく今回書こうとした内容と同じことを既におれはちょうど1年前に書いたことが分かった。ほんと、おれ自身の記憶力のなさというか、定着の悪さというか、そういうのを思い知った1冊。
そこのレビューでも書いたけど、やっぱり個別の単語や表現の歴史を説明されて、「昔こうだったから今こうなってるんです」とあるけど、そもそもじゃあ「なんで昔そうだったのか」というところまでは説明できない。結局英語史と英語教育の接点を探す限界がこの辺に来るんだと思う。個別の変化の話は難しい。とりあえず興味を持って、しかも英語史を勉強したおれですら、1年前に読んだ個別の変化の話は忘れてしまってるんだから。 「英語の仲間のゲルマン語(ドイツ語、北欧語など)のほかは、リトアニア語ぐらいにしか英語とおなじ11, 12の作り方はみられないとされます」(p.107)とか、「歴史的にみればlikeは形容詞なのです」(p.185)とか、「had betterのbetterは目的補語」とか、今回もチェックしたけど前のレビューに同じことが書いてあって、ショック。前に書いてないところでは、oftenの発音の話で、子音が連続すると真ん中が落ちちゃう単語、として、高校生くらいなら色んな単語を挙げるのはアリかなと思った。soften, castle, nestle, listen, Christmas, Wednesday, handsome (p.93)。あとはもう『歴史から~』と同じ感想。(18/04/01)
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小さな疑問に隠された英語の秘密。
確かに歴史的な意味があるんだけど、消化不良。どうしてこんな変化をするんだろう、どうして例外があるんだろう、と思った英語学習者は、やはり覚えるしかないのか、となりそうだ。英語の歴史を年代順に追ったことがある身としては、そしてそれがすんなり受け入れられた身としては、ちょっと戸惑ってしまった。
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少しは英語の勉強の足しになるかと読んでみた。
実際の英会話の習得にはあまり役に立ちそうもない。
何しろ英語という言葉の歴史なので。
では、雑学風コラムとして楽しめばいいのかというと、そうするにはあまりに学術的で、何度か睡魔に襲われる。
つまり私は、日本語や漢字ほどには英語という言葉に興味がないのだった。
この本は、言語としての英語の成り立ちを真剣に学ぼうとしている人や、中学校や高校の英語の先生が読むべき本だと思った。
文庫じゃなく、新書的な内容。
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読んだことが記憶に残るほど単純でもないが,今まで不思議だった英語の発音,変化パターンなどが理解できてすっきり.
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中学生レベルの英語について、なぜそうなっているのかについて書かれた本。
各サブタイトルは、「○○はなぜ××なのか」という形式をとっていて一つ一つ説明してあったのだけど、半分ぐらいは「なぜ」というよりも「いつからそうなったのか」について書かれてあったような気もする(実際、原因は分からないと書いてある項目も多かった)。
なかには全く意識してなかったけど、そういわれてみれば不思議だよなと思うこともあって、着眼点が面白かった。「whyはなぜ「ウヒー」と読まないのか。」というサブタイトルには少し笑った。
ただ全体としては、自分は英語が苦手だからかそこまで面白いと思わなかった。英語が得意だったり好きだったりする人には面白いのではないかと思う。
一つすごい気になったのが、「enjoyの後はいつも -ingなのか」の章が、「-ing形と不定詞をたいした意味のちがいともなわずに目的語とする動詞もありますが、remember、forget、stopでは明らかな意味の差があります。」で終わってたのだけど、「どう違うんだよ!」と思わずにいられなかった。
後、世界史も苦手な自分は初めて知ったのだけど、イングランドは300年間ぐらい、フランス語を公用語としていた時期があったらしい。だから、今の英語はフランス語由来のものも多かったそうなのだけど、よく300年間もフランス語が公用語なのに、英語が廃れなかったなと思った。どうやら、貴族社会ではフランス語がつかわれてたけど、中下層の人たちは英語を使い続けたらしい。方言みたいな形で残ったということなのだろうか。
これ以外にも、英語の歴史的経緯からして、中には昔の田舎の方言が今ある英語としてとりいれられたというものもあって、面白いなと思った。