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帯が銀杏BOYZの峯田くんなのがよくわかる! 読み終わる頃に銀杏BOYZのあの曲とクリープハイプのあの曲が鳴り響いた。どうしようもない僕たちの救いようがなくて愛しかった日々が浮かび上がってくる。大事な人がいなくなっても日々は続くし、生きてる。やさしくて残酷、それでも、まあ、なんとかやっていく。
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母親に捨てられ、借金を抱えた父親からは鉄拳で育てられ、クラスで一番の美少女からは笑顔が虫の裏側みたいだと言われる。童貞を出会い系サイトで知り合った車いすの女性にささげたあとは次々と女性との関係を結んだり恋したり捨てられたり…どう考えても不幸でしょ。まったくもって不幸な人生だ、と思うのだけど、ここには全く暗くじめじめした不幸がない。なぜだろう。最低で最悪な人生を歩き続けているはずなのに、彼の人生には笑顔が見える。
7年間同棲していた彼女から別れを切り出され、独りぼっちの生活に戻ってしまう、その日でさえ笑顔の彼がいる。うつ病で浮気性の彼女との7年間で何度も裏切られたり傷つけられたりしてるのに、なぜ笑顔で見送れるんだろう。あぁそうか、最低で最悪な人生の中でも小さな幸せを見つける術を彼は知っていたからか。その術を教えてくれたのが彼を通り過ぎて行った女たちなのね。なるほどね。彼と彼に関わったたくさんの女たちの幸せを祈りたくなる私も、なんだか笑顔になってしまう。不思議だ。何だか知らないけど元気が、笑顔がじわじわと生まれて来る。不思議だ。
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ひっそり追いかけていた爪切男さんの新刊。ずーっと楽しみにしていたので本当におめでたい!6年間共に暮らした元カノを中心に進む、関わった色んな女性にまつわるお話。折角なので最後は中野のスタバで読んだが、本からふと目を外すと、本当にいろんな人がいる。もしかしたら、それはアスカさんであり、南さんであり、赤毛ちゃんであるかもしれない。出会って別れたら忘れてしまうからこそ、本に残すのはとても素敵なことだよなぁと思う。最後はうるっときて「なんでうるうるしてるんだ、私は」と思ったりした。面白おかしい、どんな人にでも寄り添う優しい1冊でした。
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著者のことを知るきっかけは、
「ボクたちはみんな大人になれなかった」の燃え殻さんが本書について言及していたこと。
その呟きと、タイトル、表紙の装丁だけで、良書に違いないと確信した。
1/25発売の本書を手に入れたのがなんやかんや1/29。
流通の壁を感じて悲しくなりましたが、このことについて綴ると無限に止まらなくなってしまいそうなので割愛。
帰宅してamazon様からの荷物を開封し、一気読み。
やはり、予感は的中した。
書いてある内容・エピソードはお上品ではないが、
著者の爪さんの生き様を感じることができ、熱が伝わってくる。
薬師や渋谷の風景が浮かんでくる。
登場する女性たちも、みんな魅力的に浮き上がる。
序盤こそ、時折出てくる、「このフレーズとか文、おもしろいでしょ?」的な雰囲気にちょっと醒めるところもあった。
が、途中からは爪さんとアスカさんとの物語にぐぐぐっと引き込まれて、それどころじゃなくなった。
もちろん、万人向けではないと思う。
というか、一部の(女性の)方々からは、
「これだから男ってクソだわー」とか批判されると思う。
いいんじゃないすかね、人それぞれで。と思う。
ただ、僕は本書を いい!と思える人と友達になりたいし、
飲みに行って、くそくだらねー話をし続けていきたい。
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濃い!濃い!恋!
うっすい人生の自分には味わえなかった他人の人生をつまみ食いさせてくれる本です。
読み終わってから全ての登場人物の幸せを願いたくなるような愛情に充ちている。
「男はやせ我慢」とインタビューでおっしゃっていた気がするがやせ我慢でけっこうではないか、と思った。
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本書は著者の半生記である。
ひととひとが関わることそのものの本質が描かれていて、出会った分だけ別れもあり、死にたくなる夜もある。
それでもひとに関わることをやめないで、誰かと一緒にいたくなる、そんな本だった。
出会った女性はみな、個性的で、奇抜で、エピソードの宝庫だけれど、誰のことも傷つけない、というか、なんだろ、書きようによっては嫌な女にならざるえない方もいたのでは、と思うのだが、そうならないのが、著者の優しさの致すところ。
車椅子の女性との初体験話はブログ本でも上位に好きな話だった。臨場感がエグい。エメラルドフロウジョンのYouTube再生回数が上がるのは必至だ。
初恋の自転車泥棒の話は、これだけで良質なドラマが一本撮れてしまいそう。初恋が自転車泥棒というフレーズはなんかもうスピッツあたりの昔の曲にありそうだ。
赤毛ちゃんも新聞配達の子もいい子だった。
喫茶店の南さん、とてもいい。
最強の親父の話は、脳内で松本大洋の絵柄に変換させて読んだ。
実話の演出が絶妙なのだ。
たぶん笑えないやつなのに、笑ってしまう。
深刻にしんみりと書くこともできるし体験した段階でのそれはきっと歯を食いしばることの羅列もあっただろう、けれど、それを苦労話のままにするのではなく、作品にしてしまっている。アスカさんがすごい、とおもったのはそういうところなんだろうなぁ。苦しいことに鈍感、幸せなことにも。
最愛の女性アスカさんについては、あとがきまで読むと、好きにならずにいられなくなる。シウマイ弁当のくだりは、涙なしでは読めない。
爪さんの作品をもっともっと、読みたい。
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軽やかかつヘビー。あまりにも滑稽で、あまりにもハードで、あまりにも愛おしい日々。
映画化したいほど好き。
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これは、作られた物語なんでしょうか。それとも実際に起きた事なんでしょうか。と迷う位色々起きています。
筆者の(おそらく)女性関係の事を書いているのですが、至る所にプロレスネタをしこんでいるのでそういう意味でも楽しい本でした。
筆者と同棲していたアスカとの事件や、その前やその間合った女生徒のあれこれをサクサクと読ませてくれます。中々ヘビーな人生を送っています。
虫の裏側に似ている顔ってどんな顔なんでしょう。
でも、「何事も楽しむ」という筆者の姿勢は自分も見習いたいものです。借金があっても「働く理由が出来た」とか、彼女に首絞められても「一回首絞められたらポイントが一つ堪る」とか、突き抜けた考え方です。
でも、そこはかとなく筆者の闇も垣間見えているのがとても良かったです。
サルビアではないですが、自分も幼い頃花の蜜を吸って「あまーい」と言っていました。流石に筆者の友人のように中毒起こすまでは吸いませんでしたけど。
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ペアルックが恥ずかしいなら、
おそろいの診察カード。
ペットはアサリ。
新聞配達員との
毎朝一分間だけの恋。
大切な日こそ、
質素な食事で済ます。
死にたい夜に限って
星が綺麗。
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久々に面白い本に出会いました。
著者と同じ世代で昔を懐かしむような感じです。
とにかくおススメです。
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ヒンドゥー教の苦行僧はサドゥーと呼ばれる
サドゥーは苦行により人々のカルマを打ち払うとも
「死にたい夜にかぎって」はまさに文学のサドゥーだ
赤裸々に性遍歴を抉り出しながら、綴り、そして祓う。
吐き出した伏線をすべて回収し最後に解脱し昇華する
とてもここには書けない自らの深いカルマを思いおこし
少しイビツなサドゥーに託す
どうしようもなく情けなくって、
あきれるほど正直で綺麗な文章
焦がれるジリジリした気持ちが背中を炙る
読んでいる途中で竹原ピストルが歌う
「野狐禅/自殺志願者が線路に飛び込むスピードで」
が聞きたくなった
♪ナメクジみたいに 君の体を這う毎日
ゴキブリみたいに 夜を這う毎日
ただ、生きていくだけ
シンプルなことを教えてくれる1冊
「モグラは穴を掘って太陽を探している
ときに地へたどり着くが
太陽を見た途端、眼は光を失う」
※エルトポより
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あとがきを読んで「これいわれたらどうしようもないなぁ」って何というか弱いゆえの強さ。自分の心情をつらつらと書き連ねられるたくましさ。
面白いと言っていいのかどうか迷うけど、面白かった。
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関わってきた女性を中心に
愛が欲しくて愛に振り回された
筆者の実話小説。
登場人物は、
ワケありの曲者ばかり。
不器用で、メンヘラ、ろくでなし、
だらしなくて、どうしようもなくて、
足りないモノが多すぎて。
だからこそ、
綺麗なだけの恋愛小説なんかより、
よっぽど純粋で美しい。
破壊的なエロス、精神病のカオス、
いろんな闇が詰まってるけれど、
ただただ愛しかない。
読後、筆者が聴くたびに
ボロ泣きしてしまうという
フジファブリックの
「茜色の夕日」を聴いてみた。
綴られた夕暮れ時の抒情的な心象模様が、
この本を読んだ感情に重なって、
まるで、エンディング曲の様で
自然と胸と目頭が熱くなった。。
もし、
僕に"死にたい夜"がやってきたら
今日の事を思い出そう。
いいのか悪いのかわからない、
最高で最悪な人生でも愛せるように。
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優しすぎる切なすぎる。
「どんなに辛いことがあっても、その中に一つでも楽しさを見つけて笑え」の実践。
●「君の笑った顔、虫の裏側に似てるよね。カナブンとかの裏側みたい」
●「最後に信じられるのは己のチンコしかない」
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芸人の光浦靖子さんが、人の人生まで知りたいと思う余裕がないから、エッセイは読まない。小説がすきだ。と、どっかで語っていた。
わたしは気づくとエッセイばっかり読んでいる。手元にエッセイがないと落ち着かないほどである。
エッセイの魅力は、自分に重ね合わせて読んでいると、なんだか自分まで変われる気がしてしまうところだと私は思う。私は単純な人間だから、いろんなことに影響を受けまくって生きていて、そのなかでも活字で描写された人間の絵姿には特に弱い。リアルよりも映像よりも想像力を要する本というフォーマットは、自分にめちゃくちゃ重ねやすいのだ。
この本も、自分と重ねながら読んだ。
爪さんも、その彼女も、私とは全く違う人生の歩み方をしているのだけど、なかなか心にくる部分があって、長く余韻が続く一冊になりそうだ。
破壊的なエロスとか、精神病のカオスとか、いろんな闇が詰まってるけれど、ただただ愛しかない。帯の通りですが。
「女は花で、男は花瓶だと思う」このフレーズが、彼女に対する爪さんの愛とか優しさの根源なのだろう。
女同士で話していると、普段はどうってことなくても、いざというとき優しい人がいいよね~~って話になるんだけど、実は爪さんのような包容力を私たちはものすごく求めているような気がする。それは27歳になった今だから感じるのかもしれない。
最後の話を、実家から帰る特急電車の中で読んでいた。学芸大学駅あたりで別れのシーンを読み終えて、窓を見やると1年半前に暮らしていた駅を通過するところだった。
きっと一生、わたしはこの駅を通るたびに、私を捨てた彼のことを思い出す。それが呪いのようでつらかったんだけど、この本はそれでもいいんじゃない?って言ってくれるような本だった。
もし、この本をまだ読んでなくて買おうとしている人がいたら、ぜひ帯を味わってから読んでほしい。
この最高にかわいくてチープな本は、予想以上の破壊力と愛の込められた一冊だった。