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消極的な主人公・田端楓が大学で出会った秋好と一緒に「モアイ」と言うサークルを立ち上げる。楓は秘密結社のようなつもりでいたが、月日が流れ、楓との意思とは裏腹に「モアイ」は巨大なサークルになってしまう。楓自身も2年生の時に「モアイ」から離れるが、卒業を前に自分を裏切った「モアイ」と秋好に復讐を図ろうとする…
「君のすい臓が食べたい」の印象が強いからか、楓の復讐心を駆り立てる裏には何か温かいエピソードがあるのではないかと、つい期待してしまい、特に何も裏がない楓の行動だけを綴った中盤は、読み続けるのが結構つらい。
ラストに向けては、離れてしまった2年半の想いをぶつける楓と秋好の様子などが描かれ、やっと作者の良さが出て来る。
主人公が大学生と言うことで、大人になり切れないが故の「青さ」「痛さ」「脆さ」ラストまで読んで、やっとタイトルの意味が理解出来る。
でも、中盤の楓の気持ちは理解しがたいので、評価は低めで…
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今回、主人公が大学生男子ということで少しオトナになった青春の痛みやもやもやがどんな風に描かれているのかとても楽しみだった。今までの住野作品だと、読み始めてすぐから主人公に感情移入してどっぷり浸る感じだったけれど今回は主人公に同化するのに少し時間がかかった感じ。
タイトル通り、主人公の4年間は青くて痛くて脆い日々で、もう、本当に読んでる方も「痛くて脆」くて辛かったね。
住野さんらしいひっかけも健在で、あぁ、なるほどそういうことね、とにやにやしながら読んだけど、なんとなくちょっとイタ過ぎて読んだ後のカタルシスが足りなかったかな、という気も。
それでもそのイタさが今回は読者層を広げる形になるのかな。
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タイトル通り、青春というか思春期の青さや痛々しさが読んでてこちらにも痛い。
入り口は君の膵臓をたべたいと似ていて大丈夫かなって感じだったけど、後半の展開を観るとむしろ設定を似せておいてむしろ展開で壊したいっていう作者の気持ちも感じられてよかったかも。でも前半の組織に潜入していく感じが面白いね。
肝となるトリックは改めて考えるとわかりやすいものだけど、読んでいる間は没入できたから良い意味で気づかず騙されることができたかなあ。
映画まだ観てないけど、キャスト的に杉咲花はイメージにすごく合うけど吉沢亮はちょっとイケメンすぎない?
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彼らは本当に、悪者だったのか?
主人公の主観だけを頼りに読み進めると、真実を見失う。
言葉のメモ
就活とは、凡庸な人間が就活で生き残るための、「自分じゃない」、を徹底すること
媚び方と、自らに膨らし粉を混ぜる方法。
理想の自分を目指すのもは正反対の方向
心の奥底からすくってきた、汚泥のような本心
誰かを傷つけたという後悔が、今でも自分のなかに根付いていて、できる範囲で、人に対して誠実であろうという自分を作ってくれている
もう二度とあんな事をしたくない、大切な人を傷つけたくないと思った事が、仕事においても日常においても、僕に大きな影響を与えた学生生活のなかの出来事
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う~ん。さっぱり…。というのが感想。
もうちょっと私が若かったら感情移入もできたのかも。
人に不用意に近づきすぎないことを信条にしていた大学1年の春、僕は秋好寿乃に出会った。
空気の読めない発言を連発し、周囲から浮いていて、けれど誰よりも純粋だった彼女。秋好の理想と情熱に感化され、僕たちは二人で「モアイ」という秘密結社を結成した。
それから3年。あのとき将来の夢を語り合った秋好はもういない。僕の心には、彼女がついた嘘が棘のように刺さっていた。
「僕が、秋好が残した嘘を、本当に変える」
それは僕にとって、世間への叛逆を意味していた――。
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住野よるさんの最新刊!
ええ、そうですとも!真っ先に買いましたよ&読みましたよ!
今までとは違って、なんと舞台が大学生活です。ちょっと進化した(笑)
モラトリアムな一匹狼の男子、楓(かえで)が、大学生活で初めてであったちょっと痛い女子、秋好(あきよし)と、「モアイ」というサークルをつくる。
でも、モアイはどんどん変節し、秋好は失われ、楓はモアイを離れる。
そして、大学4年生になり、楓はモアイの理想を取り戻すための復讐をはじめる!
以下、お笑い芸人の山里亮太さんのレビューがとっても良かったのでそちらでどうぞ。▽
「そこからは胸が苦しくなって、自分に重なるものを見つけては辛くなるし、走り続ける楓と同じ方向の苦悩をする。僕たちが一番戦っている相手は、こんな自分をどう処理したらいいんだろうってことなんじゃないか。自分にレッテルを貼って相手を敵とみなし、戦うことで逃げていたんじゃないか。人を傷つけていたことにも周りが手を差し伸べてくれていたことにも無自覚だった自分にじんわりと気づいて、シンクロ率がとんでもないことになっていく。これはただの青春モノじゃない。大学生の話として読んでいるはずなのに、あの頃を振り返るようにじゃなく、自分の今の状況や周りの人をうっすら重ねて読んでしまう。こんなに本の中に入って、感情を動かされ続けたのは初めてだった。」
理想を掲げた集団が変節する。リーダーが変わってしまったような気がする。
でも、本当は何も変わっていない。
変わったのは、自分の自意識だけ。
そう、実はひとりで、戦っていたのは、自分自身なんだ。
そんな姿を、住野よるさんはみせてくれます。
痛い小説です。でも、救いはあります。
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2018.3.14
今までと系統が違いすぎてびっくり。
こういう話って、創作で書けるもんなの?
男の子が、傷つきまくる話
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今回の住野さん新作は、大学生、青春小説。自分の価値観から抜け出せず相手を受け入れられず、そして傷つけてしまう。名簿売りとかSNSでの拡散とか行き過ぎな分も感じたけれど、痛々しさがみずみずしく書かれていた。最後の方の二人の会話は、よく書けていた、心を震わせ読んだ。こういったことは誰にもある。そうやって人ができてゆくのだな。青春過ぎた方が読むといいのでは。
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本に慣れてない人にはなかなかオススメ出来ない。
だが、慣れてる人にとってはとても面白い本だと思う。
まさか少しのすれ違いがここまで人を変えてしまうとは思わなかった。
人の大切さ、友情の脆さ、感情の痛さ、若さなど色々詰まってて面白い本だった。
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主人公は、誰かを傷つけたり、自分が傷つかないために、人に近づきすぎない事をモットーに、人生を歩んできた。
そこへ、空気の読めない「イタイ女子」が話しかけてくる。
「戦争がない世の中になればいい」と理想を掲げる彼女と、何故か「モアイ」と言う秘密結社を作ることになる。
2人は色んな事を話して、友情をはぐくんでいくけど、いつしか、気持ちや行動にずれが生じて・・・
主人公は、変わってしまったモアイと言う組織にダメージを与えて、変革しようとする。
理想と現実、建前と本音。
誰もが、気づかずに、自分のために人を傷つけている。
大人になると、社会の汚さは慣れてしまうけど、若いときは、気持ちがついて行かないんだと思う。
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心をおろし金で擦られているようだった。
生きづらくて
ちゃんと歩けない、
あの時こうしていれば
何か1つでも違えば
なんて
自分のことばかりだけど
その後悔の外にも
傷つけてしまった人がいるんだろう。
空っぽで
完璧なんかには程遠い自分に
絶望がつきまとう。
でも
まだまだ青くて
いたるところが痛くて
ぼろぼろに崩れてしまうほど脆い自分を
誰でもなんでもないって言葉が
支えてくれた。
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伊丹空港→福岡空港機内で読了。
中盤までは読み進めるの苦痛ながらも、後半は収まるとこに収まる。
大学時代のフワフワした感じを思いだしながら、少し憂鬱な感じにも。なる。
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あまり感情移入もできなかったし、同じ立場だったらと考えることもできなかった。ただ、思い込みやすれ違い、嫉妬や憐憫や痛さや脆さというのは誰もがいつかどこかで感じるものだから、いつ誰が読んでもいいと、逆に言えるのかな。
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デビュー以来、発表後すぐに読んでいる住野よるさんの小説。今回の舞台は大学。これまでの作品の純愛や胸キュンな話とは少し違った切り口で、次の行が目に入らないように指で隠しながら読み進めた。
主人公の楓は、これまでの人生で人との距離感を大切にし、人に意見することもなく、影を薄くすることをモットーに生きてきた。
そんな楓が大学に入学し、平和に関する授業に出ていると、一段後ろの席に座っていた秋吉寿乃が、講義中に張り切って手を挙げ理想論でしかないような意見を言い放ち、呆れ顔であしらわれるという場面に遭遇、絶対関わりたくないと決めたが、昼食でその寿乃から声をかけられたことをきっかけに、講義中に突拍子もない意見を言うこと以外は、自分の理想を追い求める姿に共感するようになり、二人で『モアイ』という理想の自分になるためのサークルを作ろうという話に発展していく。
『モアイ』は当初、二人だけで講演を聞きに行ったり、大学のOBの話を聞いたり、社会問題になっている映画を観たりと、他愛もない活動だった。
しかし時が経ち、秋吉寿乃がある理由から居なくなり、理想を追い求めて結成したはずの『モアイ』は、寿乃や楓が理想とした『モアイ』ではなくなってしまう。大学内で幅をきかせる大所帯のサークルへと姿を変えてしまった『モアイ』は、就職活動のために社会人に媚を売るような活動や、むやみやたらに人脈を広げようとする活動が目に余るようになる。
結成当初の『モアイ』を取り戻すことを大学生活の総決算にしようと考えた楓は、『モアイ』の不正やイメージダウンになるようなことを調査し、ネットやTwitterで拡散、炎上させることを企む。
『モアイ』を乗っ取ったヒーローと呼ばれるリーダーから、『モアイ』を取り返すことができるのか。
人はそう思っていなくても、ついつい心の奥底では常に自分の考えこそが正義で、自分こそが正しいと考えていることが多い。思うようにいかなくなった人に対しては、あの人は変わってしまったと嘆き、その人が成長した結果が昔と違うというだけのこともある。また、取り返しのつかない間違いをしてしまったり、後悔してもしきれないようなことがあったとしても、その後の人生でいくらでも取り返せるし、その失敗を糧にすることもできる。ネットやSNSの怖さ、自分の手を離れてしまった情報が一人歩きする怖さも垣間見える一冊でした。
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今までの住野さんの本とはまったく別のタイプの物。しかし相変わらず登場人物に容赦のないストーリー構成はそのままです。ただし、文自体はなかなか上級者向けのものではないかと思います。今までの住野さんの本のようにさくさくとテンポよく読めるようなものではありません。時間をかけてじっくり読むことをお勧めします。
作品自体の感想としては、隙のない緻密な文章構成、全ての伏線の回収、登場人物の個性などどれをとっても非常に考え抜かれたものでした。読み進めていくうちに胸のうちを抉られていくかのような感覚を覚えます。しかし最後にはきちんと物語をよい方向で完結させています。また、人間の特徴をよく捉えて書いているので多くのことを学ぶことができる一冊でした。