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23.3.25〜4.10
この作品の語り手は、後のウエルベック作品の主人公とはちょっと饒舌さの趣向が違うように感じた。
自分の中で死にゆくものへの愛が溢れ出てくる最後で感動した。
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初ウエルベックなので読み方が手探りだった。
主人公の「僕」と醜男ティスランが主流になり、恋愛という自由主義を求めて彼らの世界が「拡大」していく。
そう信じていたにも関わらず、その拡大の仕方が頑張れば頑張る程に良くない方向へと転落してしまう。
ウエルベックを読むにあたり、登場人物に同情(共感)する事によって読み手の世界も拡大していくとあとがきで分かった。
仕事、恋愛、性生活とテーマが3つあるけど、登場人物全てが日常に潜む人間ばかりでよりリアリティを帯びる。
主人公は観察者であり、観察する事により自分の内部で噛み砕いて分析をするけれど、取り込むことはせず、だけど敏感に感じやすい体質なのかマイナス面ではかなり感化されて苦しそうに感じた。
最初はうっすらとだけど進めていくと、その感情や分析が重く苦しいものに様変わりしてしまう。
哲学的描写なのでもっと色々考えたりしたいけど、あと何冊かウエルベックを読まないとそこら辺はなんとも言えない。
確かに面白かったけど、その先にまだまだ何か色んなものが隠されている感じがした。
時には含みを持っていた書き方だったりしたから、作品をもっと読んでそれが何かを加味していきたい一冊だった。
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闘争領域で闘う同僚など、身の回りの人物を、主人公のシニカルでありつつも同情に満ちた目線で描く。最後、主人公は鬱になって闘争領域を完全に脱落するのだけれど、何故か清々しい。現代人に向けた、いい小説だ。