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講談社ノベルズ版を買っているので再読。
『あとあとさん』『ドールハウスの怪』『湯治場の客』、何度読んでも好きだ。
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三津田さんの小説の冒頭が好き過ぎる……。それがこの1冊で6回も読める幸せ。永遠に読んでいたい、なんて思ってしまいます。
『つれていくもの』がオチを含めて一番怖くて面白かったです。次は『赫眼』を読んでみたいです。
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表題作で心臓ドキドキ慄いたものの、全体的に謎めいた不思議色が濃く男性願望が入ったエロい状況が多かった印象。まあこれはこれで…w
余韻で不意に恐怖に駆られるのはお約束。『あとあとさん』の語り手の母親の立場から話を反芻してみるとおぞましさにブルッとなるし、読んでる最中はコントのようだった『湯治場の客』は一見普通と思ってた人の普通じゃなさを目の当たりにする現場を実際に想像すると怖気立つ。マイルドに終息と思いきや、やはり後を引くなぁ。
タオルを頭からすっぽり被って追いかけてくる2歳の息子。連想しちゃうからやめて~。
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拭えども魍魎は肌に滑り憑く。ホラー短篇小説集
再会した友人は、奇妙な話を語り出した。幽霊屋敷と噂の奇っ怪な邸宅。無人でも廃墟でもなく、時折人影や窓の明かりが目撃されるという。彼は館に独り忍び込むが……(表題作)。怪談の姿を借りて迫り来る恐怖譚6篇。
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三津田信三の連作ホラー短編集。
いずれも作者が体験した、もしくは友人知人から聞いた話という体裁をとって綴られており、虚虚実実錯綜する臨場感と酩酊感を潜ませている。
個人的には「ドールハウスの怪」が出色の怖さ。
奈良の小学校に転校してきた金貸しの息子が、蔵の二階でドールハウスを発見するが、中に配置された人形の家族構成は何故か彼の一家とそっくりで……
ドールハウス自体が発端となるのではなく、そのドールハウスで遊んだ行為がのちの元凶となって、怪異が現実を浸蝕し惨劇が連鎖していく入れ子構造がなんとも不気味でおそろしい。
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表題作である「誰かの家」は文句無しで面白い。怪奇小説として短いながら上質。また、「ドールハウスの怪」も面白かった。設定的にはよくあるものだが、得体の知れなさからくる恐怖はさすが三津田氏といったところ。
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この作者の作品には手放しで楽しめるし怖がらせてくれる安心感をもう持っている。
どの作品からも漂うしっとり、じっとりした恐怖感がたまらない。
この時期に読むにはぴったりな「つれていくもの」。
「あとあとさん」では怖さプラス嫌な感じの後味をあじわい。家シリーズに通じる感じの「ドールハウスの怪」。雰囲気最高で一番好みな「湯治場の客」。湿度の高さが一番な「御塚様参り」。息苦しさを十分味わった「誰かの家」。
作中でもいろんな作品に触れられてガイドとしても活用できそう。その上に日下氏の解説でより多くの関連した作品をあげてくれてるのが嬉しい。
本編、解説共に大満足。
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作中著者が挙げているように、「オチの無い訳が分からない話」達からなる6編の短編集
理屈がつきそうでつかない、あれこれと考えてみても訳が分からない、起こり得ないことや不可解な整合等が背後からじわじわくる不気味な感じ
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雑誌に連載した短編ホラー6編を収録。個人的には鄙びた湯治場で筆者が遭遇する不思議な体験を描いた「湯治場の客」が、ほんのりと色っぽさもあってお気に入り。ほかの作品も少しずつ読後感が異なり、満足感のある一冊に仕上がっている。
また、日下三蔵の解説も、ホラー小説のガイド的な読み方もできる充実したものになっていて、しっかりと本の価値を高めているのもよい。
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どの短編も怖くて非常に楽しめたが、「ドールハウスの怪」が一番のお気に入り。映画、『アナベル 死霊人形の誕生』でもドールハウスが出てきたのを思い出した。もしかしてドールハウスは恐怖のメタファーとして、ホラー業界では有名なのだろうか?
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再読。湯治の話以外はど」も怖くて楽しかった。
著者は家に関するホラーが得意分野の一つであるが、表題作は異色の設定で怖がらせる感じ。主要な登場人物以外は病者が無機質で、問題の家の無音の不気味さを暗示する。他の家関係の賑やかな怖さと異なるのが一風変わって魅力的。
ドールハウスの話はホラーというよりは不気味という感じ、呪いの話は奇妙な味わいの怖めな幻想小説という感じ。どれも読んで損はないと思う。
最初の短編はこれもあまり派手な立ち回りのない静かな怖さで、男の下心がエンジンになって話が回り始めるのが興味深い。怖い存在の見た目や立ち居振る舞いが全然怖くないのが怖い。あとあとさんは著者の得意な古い家と老人の不気味さを合わせたイレギュラーな味わい、リンゴジュースやオレンジジュースでなくグァバジュースみたいな。
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作者が自分の体験や他人から聞いた怪談話を小説に直して読者に提供しているという構成の小説。最初の話はそうでもないな?とも思ったが、順を追うごとに、三津田信三ワールドが炸裂した。すぐ後ろに恐ろしいものが立っている。得体の知れない何かが家の中にいる。この作者が書くそういう類いの話はとにかく怖い。怖くて読むのを躊躇うが、何が待ち受けているのか分からないとなお怖い。そういう感情が、作中に出てくる人物の「振り返りたくないが、正体が分からないのは嫌」という心理とリンクして、よりリアルな恐怖を味わった。
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表題作がすごくすき!臨場感とドキドキが半端じゃないです。三津田作品まだまだ初心者だけど怖い家の話はぜんぶ素晴らしいです。
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修学旅行の夜は、恋愛の話をする部屋と怖い話をする部屋があった。どちらの部屋のほうが人数が多かったのかは定かではないが、わたしは怪談部屋のほうに参加した記憶がある。
世の中の大抵の人は怪談好きだから、わたしの頭の中にある『話に詰まったときの話題収納タンス』には、上から2番目くらいに【怖い話】というラベルが貼られた抽斗があり、中にはほどよく脚色されたいくつかの体験談が保管されている。
夜中に目が覚めて思い出して怖くなったり、お風呂で髪を洗っているときにぞっとしたり、ふと鏡を見たとき肩越しに何か映っていたらどうしようと怯えたり、絶対に後悔すると分かっていながらも怖い話に惹かれていく。
それは辛いものを食べたくなる衝動と少し似ているのかもしれないとわたしは思う。痛みを和らげるために出る幸せホルモンのエンドルフィンが、恐怖を感じる精神的辛さのときも出てくるに違いない。
さて。
この『誰かの家』という話は6つの短編から成っている。
個人的に一番面白かったのは『御塚様参り』で、それはなぜかというと藁人形を使った呪い方について詳しく書かれていたからだ。これが結構準備が大変なのだ。白装束は上下白い服で勘弁してもらい、ろうそくはアロマを焚くのに使うキャンドルで代用する。わら人形は余った毛糸で心を込めて作り、その後五寸釘をホームセンターへ買いに行かなければならない。あっ、一本歯の下駄はどうするのだ!
なんて感じで、用意するだけでヘトヘトになってしまい、毎晩夜中の2時に誰にも見られることなく神社の木に人形を打ち付けるなんて(しかも7日間連続で)絶対無理。
最後の『誰かの家』まで読み終えたのだが、わたしにはどの話も怖いとは思えなかった。あえて言うなら、一番最初の話かなあと思う。
でも怖くなかった=面白くなかった、というわけでは決してない。
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三津田信三の怪談の短編集。
怪談は本来短いもの(背景やその後が不明なことが怖さにつながる)であると思うので、こういう形の短編集と相性が良いように思う。
解説では本作について「幽霊屋敷」を強調しているが、私はそう思わない。これまでの三津田の作品の印象に引きずられすぎだと思う。
確かに建物の中の話は多いが、怪談の構造的に「閉鎖空間」で事が起こるというものが多くなるだけでは無いか、と思う。
自由な空間で逃げても追いかけてくるという話も怖いが、すぐには逃げられない場所での怪異や、「逃げ出せた」とホッとした後に追いかけてくる方が心理的な効果が高いように思える。”枠”のなかで起きていた(と思っていた)現象が外に溢れてくるのは、現象の質に変化が生じたことになり、恐怖が引き立つ。
短編集などでは、各話の配置、順番が大事(ソコに編者の腕が光る)だと読んだことがあるが、本作は最初の2つの話でそれを感じたように思う。
最初の話は登場人物の語りであったが、2つ目の話は著者が自分で語っているテイストになっている。
1つ目と2つ目で文章がガラリと変わるのだ。
自分の印象に強く残っていることもあるが、この変化で「首無しの如き〜」の入れ替わりトリックを思い出しながら、作者の物書きとしての力量を見せつけられたように思う。
刀城言耶シリーズとは別の作品を読んで、三津田作品の評価をしたいと思ったが、これも大当たりで、今後は迷うこと無く買い続けて良いと思った。
作中に「怖いもの」について、「合理的なミステリーも不条理なホラーも」という言葉が出てくるが、三津田はそのどちらに軸足を持って行ってもしっかりと書ける(ホラー風味のミステリーでも、ミステリーもどきのホラーでもない)真の意味でのハイブリッドであろうと思う。
そして、私はその文中の言葉にハッとさせられた感じがする。ホラーにおいても無理のない合理的な思考をすることで、事の不条理さが浮き彫りとなり、ホラーを際立たせているのでは無いかと感じた。
そして、私が三津田作品が好きなこの理由が明確にわかった気がした。
ホラー作品で嫌いなのは理性的な行動をせずに状況を悪化させるバカなキャラクターの存在だ。バカな行動も、その心理に共感できるならば許容できるのだが、イライラさせられる作品ではその描写がたいしたことが無い。言ってしまえば作者の力量不足だ。
作者の力量がたいしたことが無いので、無理矢理な行動でホラー的な展開に持って行こうとする。
三津田作品ではこうしたイライラを感じない。そして怖い、気味が悪い。それが良いのだ。