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海斗が好きすぎる。窪美澄さんの作品はいつも心を揺さぶられる。他の人たちはどうなってもいいけど、海斗と日奈と裕紀だけは幸せになってほしい。
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20180314リクエスト
介護業界の大変さが伝わってくる。
なんとも言えず、はっきりしない人がたくさん登場。
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なんでこの人はこんなにもさびしい話をかけるのだろう。窪さんの作品のなかでも1位2位を争うくらい好きです。
みんなが誰かにちょっとずつ依存していて、女性はそのなかでも切り替えは早いが結局よりどころをみつけ、男性はしがみつきながらも前に進んでいくというのが印象深かった(最後の俊太郎さんはちょっと違うけど)
日奈も海斗も宮澤さんもすごく根が真面目でいいひとで、海斗が付き合った畑中がいちばん人間らしかった。
さびしくてむなしくて、けど希望が少しある連作短編集。
読後、日奈にずるいなーと、でもやっぱそこだよねーっていうのでちょっと悶々。でも、すごく自然な終わりがまた、好感もてた。
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富士山を望む町で介護福祉士として働く日奈と海斗を中心に、どこかちょっとずつダメな人間模様を描く。
物語の始まりは24歳。そのせいか、冒頭は年上の男に溺れていく日奈の性描写から始まる。そして、章ごとに日奈、海斗、海斗の同僚でシングルマザーの畑中、日奈が人生で初めて恋をした宮澤の視点で物語は紡がれる。
それぞれがみんな上手く生きられない。そんな人生にどこか投げやりで、年を重ねるごとに疲弊していく様子の描写が実に上手い。
この作品を読んで、「ふがいない僕は空を見た」を思い出した。この作家さんを好きになったきっかけの作品で、その頃の良さも維持しつつ、高齢化社会だったり、介護職の仕事のきつさだったり、社会問題にもきちんと触れており、すごく感銘するわけでもないけれど、じわじわ心に残る良作だと思う。
いっぱい遠回りをした後のラスト。希望が見えた気がする。
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女も男も、なんでこんな幸せになるのが下手なんだろう。第三者から見ると、こっちの方がきっと幸せになれると思うよ、ってわかるのに、幸せになれなくてもそっちの方にいっちゃう。
もう、読みながらもどかしいやら、イライラするやら。登場人物、だいたいみんなアホ!でもそれがリアル!それが現実!
探り探り、行きたい方に進んだり、流されたり。幸せ一直線な人なんて、そんなにいるはずもなく。でもいつか、日奈や海斗のように、しっくりくる場所が見つかるといい。
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恋愛小説だけれど、つねに暗く沈鬱な空気感で深い。
誰もが悩み迷い、傷ついたり傷つけられたり、前に進んだと思えば後退もしてしまう。いろんな人生がある。
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自分の居場所を見つけること。その場所に誰といるのか。一人なのか、二人なのか。同じ場所にいられるのか。住む場所、隣にいる人。場所も人もそれぞれ。ここにいたい、この人といたいと思えること、それらを探すこと。そんななかで様々な人と出会い、別れ、自分を見つけていく。人と人との交わりがとても濃厚に描かれ、傷つき傷つけの関係、なんとなく一緒にいる人、終わりが来るのがわかっている人と色々。何が正しいのかもわからない日々の中で見つけた人、場所。今はそれを大事にしよう。
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東京のギラギラした町で生きるより、田舎町の娯楽もなく、限られた環境の中で生活することを良しとする。人によって人生の選択肢は様々だと思う。
いろんな経験をして、環境に流されながら大人になって、老いていって、最後は生まれたところに還っていくのかなと思った。
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富士山の見える町で介護士と働く日奈。日奈の元恋人海斗。海斗の仕事場の後輩、畑中。日奈が想いを寄せる東京からやってきた宮澤。みんな自分勝手だったり、さみしかったり、抱えるものあり、そして、その場に流され生きている。不器用でどこか欠けた所がありそれで人を傷つけてゆく。誰もがそうであるけれど、登場人物たちもどこにもいそうな人たちである。その点でよく描かれているが、私の中では特に、宮澤の章「柘榴のメルクマール」は宮澤のもがき、心の中身がよく書かれていて読み応えがあった。全体的に、舞台が地方で職業が介護士ということで、介護の辛さや死に直面しているということで、未来が明るくなく、寂しさはより一層だ。振られたり、孤独を感じたり、でも、最後の日奈の言葉、人は永遠じゃないから愛おしい…そうなんだろうな。わずかな温もりで物語を終えた。
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自然豊かな地方独特の空気や介護という仕事の閉塞感、東京の人や物に体する憧れ、家族や家に対する気持ち、同じような地方の出身者としては、とても共感でき、当たり前のようなものだった。宮澤さんの東京から逃げたい気持ち、やっぱり戻りたくなる気持ちも今はわかる。
登場人物もみな、周りに居るような普通の人で地方のではよくある恋愛。それでも、それぞれには大きな出来事で。それぞれそれなりに生きていく姿が、所々の死によって際立っていた。じっと手を見る、といタイトルもそうだけど。
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孤独が孤独ではないような感覚。
人を好きになることへの恐怖。
必要とされる喜び。
本を閉じた後、1人になりたい。
そんな素晴らしい本。
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働けど働けど将来に希望が見えない3Kの職業に就いている地方に住む日南と海斗。彼らの世界はとても狭く目の前にはいつも「死」がある。彼らの住む町にも「死」のにおいが濃く漂う樹海がある。
「そんな中で何が楽しくて生きているんだ」と問う都会から来た女。その夫との恋によって外へ外へと向かう日南の心と身体。残される海斗。
いくつも繰り返される対比。生と死。妻と愛人。老人と子供。幸と不幸。都会と地方。未来と過去。やるせない関係性の中で自分の気持ちを見失う日南と海斗。どこまで行っても平行線なのか。
窪美澄の小説にはどうしようもない人間ではなく、人間のどうしようもなさ、が描かれている。こうなるしかなかったんだ、と最後の最後に思う。彼らがもう一度人生をやり直せることがあったとして。やはりおなじ人生を選ぶんじゃないか、と思う。男と女が出会い、どうしようもない渦に巻き込まれていくその様に強く共感した。
誰かにそばにいてほしいと思うこと、そばにいてほしい誰かに手を伸ばすこと、伸ばした手を握り返してもらえること。今の私は何に、誰に手を伸ばすのか。誰の手を握るのか。
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2021.06.12.読了
なかなか良い作品だった。
登場人物がかわるがわる語り手となって4〜5年の歳月を進む。
ひとりひとりの語り手の気持ちが知りたくてページを捲る手が止まらない。
本当の悪人なんていない。本当に強い人なんていない。みんな、弱くて強くて優しくて冷めてる。
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「はたらけどはたらけど、、」、タイトルから啄木の歌を思い浮かべながら読み始めた。
都会と地方、光と影の関係での対比。
地方の閉塞感を表現するのに、ワーキングプア、シングルマザー、大型ショッピングセンター(のフードコート)、ユニクロ(で買った服)、介護職などが田舎くささとして描かれているようで、ひっかかる。主人公たちが働く介護の現場もリアルにみえてリアルでないような。
期待はずれというわけではないし、ストーリーを楽しめなかったわけでもないけど、そんなところがなんとなくこの作品と距離ができしまった理由なのかなと思う。
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大切な人を、帰るべき場所を、私たちはいつも見失う――。
富士山を望む町で介護士として働く日奈と海斗。
恋人同士の二人だけど、その関係は危うい。
老人の世話をし、ショッピングモールだけが息抜きの日奈だったが、ある時知り合った、東京に住む宮澤との不倫関係に溺れるようになり、生まれ育った町以外に思いを馳せるようになる。
一方、海斗は、日奈への思いを断ち切れぬまま、年上のシングルマザーである同僚の畑中との関係を深め、家族を支えるためにこの町に縛りつけられるが……。
主体性があるような、ないような、日奈みたいな女性は、同姓には嫌われそうな気がするけど、男性はこういう女性を好んで、執着したりするのか―もねー?