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20180430読了。
経済的な話を数多くの引用や、比喩をもとにとてもわかり易く書いてあった。大きな話としては以下のような話。
デジタル化が進み、音楽など価格の低下が起こり、顧客が支払っても良いと思う金額よりも大きく安価な金額で購入できるようになった。
それにより、顧客満足度は上がったが、企業からすると余剰は少なくなってくる。
今後、中長期的に経済が先細りしないように、顧客の支払意思額を上げるとともに価格をあげる必要もある。
そのための付加価値として、パーソナライズなど顧客の主観的情報のインプットをうまく活用していくことが求められる。
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・昨今のDXにより生産者余剰より消費者余剰が増えているという議論は、無意識に感じはしていたものの、言葉で聞くと目からうろこであった。
・未来の考え方でいくつかのフレームを提示してくれたのは、自らが将来を思い描くことの一助となった。
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シンクタンクであるNRIの整理・分析・考察だからか、とてもスムーズに論旨が沁み込みました。先ずは、商業資本主義→産業資本主義→デジタル資本主義という超大雑把な時代区分がめちゃくちゃわかりやすいこと、「消費者余剰」を生み出す各種サービスのデジタルトランスフォーメーションが「生産者余剰」の指標であるGDPじゃ捉えきれなくなってきていること(お恥ずかしながら「消費者余剰」という言葉、本書で初めて知りました…)、ハンナ・アレント「人間の条件」の「労働」「仕事」「活動」という概念から援用した「労働社会から活動社会へ」という移行が行われること、その時「労働生産性から知識生産性へ」というキーワードによって情報の付加価値転換率がビッグデータ時代の競争優位性になるということ、そして、その「知識生産性」とは消費者と生産者の恊働活動なのであるということ…「フムフム、なんかわかる気がする…」の連続でした。あまりに「わかる気になる」感じが凄すぎて一日で読んじゃったので、もう一度落ち着いてページ捲り直します。ハンナ・アレントのみならずジャン=ジャック・ルソーの一般意志も登場し、我が同胞からも岩井克人、柄谷公人も大活躍の論なので繋がり読書もがんばらねば…
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会社から貰ったので読んでみた。「日本の GDP が伸び悩む一方で、我々は(インターネットを中心とした様々なサービスの発展によって)ますます豊かになっているようにしか感じられない」という素朴な疑問から出発し、現代社会の経済発展を計るには GDP は不適切な指標であると説く。
どちらかと言うと、GDP の成長 = 経済発展と定義した上で、我々の豊かさや幸せは "経済発展" では計れない何かに変貌していると言われた方が納得がいくが、いずれにしても Google Map 一つとってみても、Google が生み出している価値が広告だけではないことは明らかで、それを消費者余剰と生産者余剰として説明した部分は非常に良く書けている。
未来予想の部分は、さすがに水晶玉の域を出ないので、可もなく不可もなく。個人的には、ユートピア的世界だろうがディストピア的世界だろうが、縮小均衡していくことは間違いないと思うけれど。
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OECDのレポートによると、日本の賃金水準は1995年以降の20年間全くがあがっていない。それどころか下がっている。フランスは約1.3倍、米国も約1.2倍、ドイツでも約1.1倍にはなっているなかこれは非常に稀な国だ。
ところが、NRIの1万人アンケートによると、人々の生活レベルの満足度は2006年以降、年々高まりを見せているらしい。賃金が据え置きなのに生活の満足度レベルが高まっている?これってどういうことなのだろう。
我々の生活は常にデジタル化の恩恵を受けている。無料のネットサーチで冷蔵庫の最低価格を知れるし、好みの音楽だって、映画だって月1,000円で楽しみ放題だ。電話もメッセージも無料。いらないものがあればフリマアプリで売って、お小遣いも稼げる。シェアードサービスのお陰で、部屋だってシェアできる。これって、うまくやればお金をかけなくても生活を楽しめる手段が増えてきたってことなのだろう。
でも新しい疑問がある。今後、僕たちはいったい何にお金を払うのだろうか?
今後、僕たちがお金を払うのは1.時間 2.こだわり 3.信頼だって言われてる。(どこかで読んだ本によると、時間を買うことにお金を払うのは最も満足度が高いらしい。)通信やエネルギー、物流にお金を払っていた時代は終わってしまった。限界費用ゼロの時代万歳!
だったら、今後の新しいビジネスは、顧客の主観に焦点をあてるべきだ。そのためには、顧客がどのような製品を望んでいるか正確に知る必要がある??そんなのやめて、顧客自らが製品を設計・開発できるツールを顧客に与えるのはどうだろうか。
自分で配合を調節して作る香水、自分だけのオリジナルのスマホ、数あるなかから金融商品を組み合わせて自分だけのオリジナルの投資商品を作る。
顧客をイノベータにしてしまうことで、顧客体験の向上とコストの低減を同時に実現できるのだ。すばらしい!
でも、このスペシャルなアイデアは簡単には実現しないだろう。だって商品開発はどの会社だって花形。そんな機能を簡単に手放したりしないはずだからだ。
でも今後は間違いなく、個人の主観がより主人公になる。個人の主観を掘り起こすことこそが、次のデジタルビジネスの鍵になるに違いないって話。
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デジタル時代における企業のビジネスモデルは
1)エコシステムの駆動者・・プラットフォーマ
2)モジュールの製造者・・プラットフォーマ上で特定機能を提供
3)オムニチャネルビジネス
4)サプライヤー
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センター試験にの評論問題に採用されるような,非常に読みやすい文章。
現代において,人は「モノ」に執着するのではなく,「コト」に価値を置き始めている。
本書でも取り上げているが,例えば音楽業界では,CDなどの媒体からiTunesから直接ダウンロードする形にニーズがシフトしていった。これは単純に物理的な領域排除と,特定の曲のみを購入したい場合に重宝する事が考えられる。そして今,iTunesから,スポティファイなどのサブスクリプション型で視聴する割合が増えてきた。これは正に「コト」体験のニーズを明らかに示しているが,実は曲のデータを「仮想的物理領域」と人々が捉え始め,最早デジタルデータに関しても仮想的に,物理的な「モノ」として扱い始めてしまっているのではないかと考えてしまった。
確かに今,iPhoneのデータ容量を常に気にしている。
デジタル革新が飽和した後次は一体何が来るのか非常に興味深い。
学ぶことは怠らないようにしたい。
本書も繰り返し読み,書評についても随時更新していく。
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面白かったけど人に譲ってしまったので今手元にはない。デジタル化の進んだ世の中は既存のしくみを変えながら発展していくのだなあその中で私はどうしていくんだろうかと考えながら読みました。
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消費者余剰、生産者余剰、懐かしい。中小企業診断士受験の際にも再度とらえ直した事を思い出した。GDPの指標の理屈は知っていたが、最後に足し合わせることに疑問を感じていたが納得した。消費者余剰がデジタル化により増加したことは、人類にとって喜ばしいことである。生産者余剰の減少が回り回って消費者の所得に反映されるのはその通りだが、デジタル化により眠っていた資産が有効活用されるシェアリングやP2Pサービスが確立されたいま、老後も案外安価に楽しめるのかもしれない。しかしそれは資本財においてのこと。人間の本質的欲求はそれでは満足出来ないはずであり、その点は別の書籍に譲るべきだろう。なかなかの示唆に富んだ書籍である。
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デジタル化が生産者余剰の縮小・消費者余剰の増大を進め、それがGDPに反映されていないなど、統計データを駆使してデジタル化と資本主義の関係性が非常にわかりやすく整理されている。
後半はシェアリングエコノミーや資本主義の今後のシナリオが展開され、思考実験にもつながる。
3冊シリーズ化されるようなので続編が楽しみ。
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野村総研の報告書の簡易版である。卒論の参考図書としては使えないが、退職間際のサラリーマンが、通勤電車の車内で暇つぶしに読むにはいいであろう。
シンクタンクが様々な意見を取り上げたので、焦点がぼけているのが残念である。
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デジタル革命による資本主義の常識の変化について描いた一冊。デジタルを技術面ではなく、経済社会歴史の側面から分析し、将来について論じている。
シンクタンクの本だけあり、データ豊富で示唆も豊富である。
構造的な分析もありおもしろい。
メモ
・シェアエコ は投資抑制、雇用抑制的な部分がある。
・日本、直近は人口減だが一人当たりGDPは増えている。
・海外と比較し、日本のみ労働生産性上昇に対して賃金が上昇していない。非正規雇用などの雇用シフトや自動化投資への偏重などが原因か。
・デジタルによって引き起こされた経済のピンボケ。
・資本主義とは差異の発見活用創出を通じて利潤を獲得し、資本の永続的な蓄積を追求するシステム。
・デジタルにおいても、時間、こだわり、信頼のようなものはコピーできず希少性を持ち続けるはず。
・生産者余剰はGDPに換算されるが、消費者余剰は換算されないのがGDPが伸びない大きな理由。
・従来のイノベーションは需要が伸びることで限界費用が小さくなっていたが、デジタルディスラプションでは限界費用のみが劇的に下がり、消費者余剰のみが増大する構造になっている。
・シェアエコ と相性がいいのは資産の価値が高い✖️使用頻度低いもの。
・シェアエコ の価値算定にあたっては、プラットフォーマーの生産者余剰と利用企業の生産者余剰とユーザーの消費者余剰の三要素から構成される。
・デジタル時代にコピーできないもの人々がお金を払うもの
即時性、パーソナライズ、解釈、信頼性、アクセス可能性、実体化(ライブコンサート)、支援者(投げ銭、お布施)、発見可能性(Netflix)
突き詰めると時間、こだわり、信頼となる。
・信頼を構築する基盤が変わる。多対応多の個人間の関係性から信頼構築されるのでは。
・一律ではない価格設定により生産者余剰を拡大する。
・デジタル資本主義ではネットワーク効果、数が多いことが重要になる。大企業による規模の経済とは異なるエコノミクスが働く。かずも多様性も価値となる。
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デジタルがもたらす未来について、今まではディストピア的な思考しか持ち得てなかったのですが、この本を読んで、別の可能性があることを示唆してもらいました。
社会を構成する一人一人の主観、思いがデジタル社会のありようを導いていくとの主張に深く考えさせられました。
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世の中を豊かにしているデジタル技術が今の資本主義や民主主義にどんな影響を与えうるのかをまとめている。
GDP推計の限界と他の経済指標の模索。
消費者余剰(お買い得感)の向上と生産者余剰の減衰に関してシェアリングエコノミーを起点として語られている。
今デジタル技術によってどんな変化が起きているのか、また、これから起きようとしているのかがわかりやすく書かれている。
デジタル技術に対する各国の考え方は文化や宗教などにより多様であり、資本主義の奴隷として活用するか、ユートピアチックな共有財の経済を作り上げるか、間を取るかはこれからの私達次第である、
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2020/02/28:読了
何か情報は沢山あるけど、ピンとこない。
184ページの A,B,C,Dをもう少し深掘りすればいいのかな?
不平等 平等
拘束 B:国家 A:共同体
(略取と再分配: (互酬:
支配と保護) 贈与と返礼)
自由 C:資本 D:デジタル・コモンズ
(商品交換: (シェアリング)
貨幣と商品)
出所:柄谷行人「世界史の構造」のフレームを
もとにNRI作成
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最も印象に残った点
今後企業がデジタル化の中でも利益をあげていくには、労働生産性ではなく知的生産性をあげていかなければならない。デジタル化が進むにつれて多種多様なデータが手に入るビッグデータ時代が到来する。そのデータをいかにして価値に転換するかがカギであり、知的生産性の高い企業が競争優位性を高めていく。