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本能寺の変の原因に迫る学術書。
以前著者は朝廷黒幕説を主張していたが、今回それを覆し、信長の四国政策の転換に伴う織田家内での光秀の地位の低下を謀反の原因とし、その主導的役割を果たしたのが明智家の重臣であり、かつ長宗我部元親の義兄でもある斎藤利三(以前信長に別件で自刃を命じられた事もあった)とする。
さらに、新たに発見された、変の3日前に光秀が山陰の国人に宛てた書状(この発見を本書の目玉にしている)の内容から、3日前の時点では謀反は決心していなかったとも主張。
ただ、書状については、その内容だけで謀反の意思はその時点で無かったとは到底言えないし、著者が黒幕好きなのは分かるが、重臣とは言え家臣が主君を謀反に導いたというのもいきすぎだろう。
四国政策の転換云々より、それも含めて長年かけて生じた信長との亀裂が原因で、隙あらば謀反を考えていた光秀に、絶好の機会が到来し主君を討った考えるのが妥当だと思う。
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[ 内容 ]
「ときは今天が下しる五月哉」。
三日前にそう詠んだ光秀だが、いまだこのとき、謀叛を決断していなかったことが新発見の書状で明らかになった。
そんな光秀を追いつめた張本人はいったいだれ!?
足利将軍か、朝廷か、はたまたバテレンか。
黒幕説飛び交うその裏で、一人の男の影が浮上した。
斎藤利三。
他家を出奔し明智家家老にまでなった勇者には、信長を許せない複雑な事情があった。
長宗我部元親、三好康長、羽柴秀吉、織田信孝。
四国情勢をめぐって濃密に絡み合う人間関係に、翻弄される光秀、そして信長の誤算とは。
[ 目次 ]
第1章 信長と光秀の天正八年
第2章 破断への予兆
第3章 光秀を追いつめた信長の四国国分令
第4章 本能寺の変の仕掛け人、斎藤利三
第5章 「不慮謀叛」ついに決行さる
終章 本能寺の変とはなんだったのか
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[ 参考となる書評 ]
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55点。本書は決して本能寺の変を劇的なものに仕立てる内容でも、黒幕を暴くものでも、光秀が起こした本能寺の変を義戦化するようなものでもなく、極めてスタンダードな手法で史料を集め解析し書き上げられた一冊といえる。
新たに発見されたという光秀書状はちょっぴり興味深かった。
なんだかんだいっても根本は、この人黒幕とか好きで、そこから出発してんだろうなぁ、と。
昔はいろんな説をとなえてた人みたいだけど、過去の自著作を、あれは議論の枠組み自体に無理があった、とか論証の不十分な面があったとか、潔いとこがなんか好きです。
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本能寺の変関連の諸説の中で、一番説得力を感じる。陰謀論は朝廷にしても足利義昭にしてもイエズス会にしても無理がある。主犯なら変後の対応がまず過ぎる。シンプルに明智光秀単独犯。重臣斎藤利三と長宗我部氏の関係の深さと信長の四国政策の転換、明智と稲葉氏との斎藤と那波の帰属を巡る確執に原因を求める桐野氏の論はわかりやすい。一見、一回転して昔に戻った感もあるが、主な原因を怨恨とするより説得力がある。斎藤利三の遺族の多くを長宗我部氏が保護しているのも両者の関係がただの遠い親戚ではなかったことを傍証している。個人的には斎藤利三を筆頭とする家臣団の激発を明智光秀が押さえ込めなくなったのではないかと思っている。秀吉や光秀、滝川一益らと、彼らに仕えた陪臣では信長への忠誠心に差があったと思う。
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「ときは今天が下しる五月哉」。三日前にそう詠んだ光秀だが、いまだこのとき、謀叛を決断していなかったことが新発見の書状で明らかになった。そんな光秀を追いつめた張本人はいったいだれ!?足利将軍か、朝廷か、はたまたバテレンか。黒幕説飛び交うその裏で、一人の男の影が浮上した。斎藤利三。他家を出奔し明智家家老にまでなった勇者には、信長を許せない複雑な事情があった。長宗我部元親、三好康長、羽柴秀吉、織田信孝。四国情勢をめぐって濃密に絡み合う人間関係に、翻弄される光秀、そして信長の誤算とは。
真相は誰にも分からないが、このテーマは日本史上の永遠の謎である。
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(書いたのに消えた)
先の二作は未見だが、朝廷黒幕説だったのが、単独説になったようだ。
胆的に言えば不満怨恨説
・四国政策変更
・斉藤利三自害命令(取り消したが)