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好奇心のみで見に行くのは不謹慎だろうと思いつつも、事故物件公示サイト「大島てる」をたまに覗いています。そのサイトが推薦する作品だというのですから、そりゃもう読まずにはいられません。裏表紙を読んだだけではどういう物語かよくわからず、ホラー的要素が含まれているならちょっぴり怖いなぁとビビりながら。
いわゆる訳あり物件に不動産業者やオーナーからの依頼で一定期間住まう「瑕疵借り」という人がいるそうです。事故後に一旦瑕疵借りを住まわせることによって、業者が次の借り手への告知義務を失効にできる場合がある。その事実にまず、へ〜っ。
病死、失踪、自殺、不審死した住人をめぐる短編4つ。住人の知り合いや家族など、真実を知りたい関係者が部屋を訪ねると、死亡後まもないというのにすでに新しい借り主が。それが瑕疵借りの藤崎というまだ若い男。
一見冷ややかな藤崎の仕事ぶりを知るにつれ、どうしようもなく彼に惹かれます。ただの報酬目当てで事故物件に住んでいるわけではない。死者の意を汲んでこその瑕疵借り。彼があきらかにする真実はとてつもなく切ない。
シリーズ化してもいいんじゃないかと思います。惚れました。
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千里眼シリーズから水鏡推理シリーズまで、豆知識入りのミステリーが松岡氏の代名詞と思っていたところに、近年、歴史ものの重厚感あふれる作品が立て続けにでて、あれれ大胆な方向転換だなと思っていた矢先。
これまでと全く違った瑕疵物件を扱った作品。
あらすじだけでそれほど期待はしていなかったのだけど、気に入ったのは「視点」。
主役はあくまで瑕疵物件になってしまった人に関係する人々。瑕疵借りの藤崎はそれぞれの主人公目線で語られる。
短編が進むにつれて藤崎の人となりが少しずつかいま見えて、どんな人生をおくってきたのか、なぜ瑕疵借り何てしているのか凄くきになる。
最初の短編「土曜日のアパート」で一気にこの作品好きになったな。
新シリーズって書いてあったけど、是非次作が読みたい。
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本書の瑕疵とは所謂『瑕疵物件』の事!
不動産屋が何らかの問題ある賃貸物件を仲介する場合は重要事項として説明の義務が発生する。
瑕疵借りとは瑕疵物件に敢えて居住し瑕疵の告知義務を失効させるダークな職業!
主人公の『藤崎』は瑕疵借りを生業とするが、彼のやり方は普通と違う!?
瑕疵物件をテーマにしているだけあり、全編にわたり悲しい死人がいます。主人公の卓越した推理力と謎の調査力により真相が明らかにされるのですが、そこには死人とその家族の隠されたドラマがあるのでした!
シリーズ化しそう!?
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何かを始めることが怖いんじゃなくて
怖いのは何も始めないこと。
だから
始めること。
そして
変わること。
変わろうとすること。
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こんなことをしている人っているのかな? 別の小説でも読んだことあるけど。
部屋などから前の借り主のことを考えられるってある種の能力なんだろうけどね〜。賃借人の関係者の力になれているところに魅力があるような。
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賃借人が死んだり事件事故が起き
心理的欠陥が生じた物件にあえて住む
瑕疵借り。
住人の死、失踪、自殺、不審死。
なぜ、そのような状態になったのか。
関わりのある者や、家族は戸惑い、その原因を探る。
4つの話に絡んでいるのが瑕疵借りの「藤崎」
胡散臭い男と思っていたが
瑕疵借りの報酬だけで動いているわけではなさそうだ。
面白く読み終えたが
ガツンと胸に響くものが弱く感じられたのが残念。
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訳あり物件に住み込む藤崎は不動産業者やオーナーたちの最後の頼みの綱。原発関連死、賃借人失踪、謎の自殺、家族の不審死…どうすれば瑕疵を洗い流せるのか。男は類い稀なる嗅覚で賃借人の人生をあぶり出し、瑕疵の原因を突き止める。
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松岡さんといえば主人公は女性、のイメージが強かったのでこういった連作短編は意外だった。訳あり物件に住んだうえに、住人や遺族の心残りみたいなものを解決して去っていく不思議な主人公。これって、たまたま訪ねる人がいたからスピード退去であって、それなりに長期間住んでる場合もあるのよね。興味深いという意味では面白い作品だけど、不幸ばかりなので、シリーズ化してほしいようなそうでないような。
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百尺竿頭にあり、を読んで泣きそうになった。
そんな約束の果たし方があるだろうか。
生きてさえいれば、生きているからこそ、伝わることも、死をもって、死んだからこそ、わかることもある。
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連作短編4編
ただじっと何年か事故物件に住むのではなく,その原因を取り除く形での居住.その借主の何らかの事情がわかることで救われることもあるのだ.少し変わった探偵もののような感じで面白かった.
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訳あり物件に住み込む藤崎は、類い稀なる嗅覚で賃借人の人生をあぶり出し、瑕疵の原因を突き止める。
原発関連死、賃借人失踪、謎の自殺、家族の不審死といった前の住民の謎を解明する連作短編集。
予想に反して良い話系。簡単に解明できて出来過ぎ感あり。
面白くなかった。
(図書館)
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ホラーかな、と思っていたら、ミステリーだった。
確かに人は亡くなるけれど、ハートフル、なんて言い方ができるものではないけれど、琴線に触れるものがある作品だった。
本書は四編が収められている。
除染作業で、保証人の名義貸しで、息子の自殺で、病死で、遺された人々が「事故物件」と向き合う。
誰にでも死は等しく訪れる。
自分が死ねば、今まで住んでいた部屋が、「事故物件」となる。
私の親族も自宅で亡くなった。
そしてしばらく発見されなかった。
だから、葬儀では顔を見ることは叶わず、骨とだけ、対面した。
その死は一般的には不気味なものであるだろうし、もし他人だったとしたら、親族が住んでいた部屋に住もうなどとは考えられないかもしれない。
ひょっとしたら、面白おかしく怪談話にだってされてしまうかもしれない。
しかし、死とは嘲笑され、消費されるものだろうか?
そんなものであっていいはずがない。
本文に戻ろう。
訳あり物件に住む藤崎と言う男は「瑕疵かり」と呼ばれる。
瑕疵ある物件に住み、その度合いを軽減させる役割を担う。
そう聞くとゴロツキの類だと思うだろうが、藤崎はそんな男ではなかった。
この部屋に住んでいた人が亡くなった訳、それを解明することが彼の本当の「仕事」だ。
「なにかを始めるのは怖いことじゃありません。怖いのはなにも始めないことです」(163頁)
私には、何かを残すことなどできるのか。
いや、死して名を残すことを考えるより、生きている今、なにができるかを考えるべきであろう。
本書の死を通じて、生きることを考えた。
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最近の松岡さんの本は読みやすく、すぐに終わってしまうのが残念。
瑕疵物件、訳あり物件について書かれた本は初めて読んだ。
短編の中に、いろんな人生が描かれている。それぞれに人間の優しさが描かれていて、悲しいすれ違いではあるものの、感動を誘う。
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このところ多忙につき、読感を書いている時間がない。
とりあえず、読みましたということで、読了日と評価のみ記載。
2018/7/23
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瑕疵という言葉には馴染みがあり、そしてアパートを転々とした時代があったので、前の人とかは気にもなった事もあり、少し身近に感じるものがありました。ただ、瑕疵借りという職業(?)があるのは知らなかった。そして、藤崎さんはちょっと謎すぎました。悲しい設定ばかりで心が痛くなったり、感情移入が難しい人が出てきたりもして疲れる場面もありましたが、居なくなった人の真実をその後入居して突き止めていく、という過程はなかなか面白かったです。