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アン・クリーヴスのシェトランド島シリーズ4部作の続き。
ペレス警部シリーズとして通して考えると、6作目。
4部作で衝撃のラストを迎え、5作目では休職して悲しみに沈んだままのペレスが、事件が起きたため途中からやむなく参加していくという展開でした。
この作品では仕事にはいくらか意欲的になっています。
婚約者の遺した幼い娘とむつまじく暮らす日々。
シェトランド諸島でもペレスが暮らす地域よりさらに最果てのアンスト島で、事件が起こります。
テレビ番組の制作者の女性エレノアが失踪。
親友がそこに住む相手と結婚式を挙げるのと、番組の取材を兼ねた滞在でした。
島には1930年に溺死した少女の幽霊譚が残っており、失踪する前日に、白い服を着た少女を見たという噂も‥
事件と何か関わりがあるのか?
英国最北端の島の厳しくも美しい自然。
伝統ある暮らしの重さと慎ましさ。
新たに溶け込んでいこうとする人、都会の真っただ中から訪れた人と、深く絡み合う人間関係の因縁。
繊細な筆致で描き出される情景の鮮明さに目を見はり、感性を揺すぶられます。
この感覚がほかにはない。
ペレス警部が絶望したままでいるのはあまりにも悲しいけれど、そうそう元気にはなれないだろう…?
というあたりが、ちょっと複雑(苦笑)
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ペレス警部最新作。
少しフランの死から復活感がある。
またサンディが少し成長。
この辺りのせいか若干話の雰囲気が明るめ。
ただ最後の真相はお決まりになりつつある展開。
次作に期待。
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*概要のコピー
ペレス警部のもとに、アンスト島でエレノアという女性が失踪したとの知らせがはいる。彼女はテレビ番組の制作者で、親友の結婚式への出席と取材を兼ねて、夫や友人たちと島を訪れていた。現地に渡ったペレスが捜索をはじめてまもなく、エレノアは死体で発見される。島に伝わる少女の幽霊――1930年に溺死した“小さなリジー”のことを取材していた彼女は、失踪する前日に「浜辺で踊る白い服の女の子を見た」と話していたが、そのことと事件との関係は……。シェトランド諸島を舞台に、繊細かつ大胆に織りあげられた、現代英国本格ミステリの優品。
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シリーズ第6弾。
相変わらず、というか、更にうならせる出来。
や、賛否両論あるかな、やっぱ。
私は少しずつ少しずつ何かを剥がしていく感じと、シェトランドの暗い風景が作り出す作品風景が素晴らしいように感じるんだよね。
ペレスがゆっくり、でも着実に前に進もうとしている様子も加わって、どこまでも応援するよ!と言いたくもなるんだ。
それにしても、彼に新しい恋人ができたら辛いなあ……グランが大好きだったから。
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シェトランド諸島を舞台に、その自然の美しさや住む人の人情の厚さや人間関係などもうお馴染みになったしまっているはずなのに読むごとに発見する新しい、もしくは古い因縁めいた出来事に心奪われる。
そして今回もまた。
幽霊譚、過去に起きた悲しい事件をも踏まえて、今を生きるカップル、親子関係も事件に関わってゆく。
謎は深く絡み合ってそこでまた枝葉を広げるがごとくストーリーはより複雑に・・・
ぜひぜひこのぺレスシリーズまだ続いてほしい。
今後もシェトランド諸島の新しい面を発見してみたい。
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シェトランド島シリーズの六作目。
ペレス警部はだいぶ復調したようで良かった。
事情聴取ではひたすらに相手の言葉を待ち、
ふらりと単独捜査に出てしまうペレス警部に、
ウィロー警部がいらいらするのはよくわかる。
単独捜査をするならするで、
ガーっと猪突猛進してくれた方が良いかも、と。
アントス島で行われた里帰り結婚式に参加していた女性が殺される。
彼女は海岸で踊る白い服の少女を見たと言っていた。
少女は島に伝わる幽霊なのか。
それとも実在する子供なのか。
そしてサンディ。
相変わらず、捜査中にお昼の心配をしたり、
あわててパニックになりながら手にメモを書いたり、
ウィローとペレスにはさまれてあわあわしたりと、
相変わらずなところもあるが、
ペレス警部に学んで、証言の引き出し方がうまくなっていた。
地元に貌が広いのも、愛されキャラなのも、
警戒心を相手に抱かせないのも、警官の重要な資質だよね。
警部にも「指導すべき子供」から「同僚」と認められて、良かった。
事件を通じて、
昔のガールフレンドと再会したけど、うまくいくのだろうか。
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ペレス警部シリーズ6作目。アンスト島へ里帰り結婚式に参加していた女性が殺される。少女の幽霊の伝説と、参加した者たちの複雑な家族関係を絡ませ、謎に満ちた事件となるが、ペレス警部やウィロー警部、サンディ刑事たちの地道な捜査が展開される。ペレス警部の地に足ついた操作は、安心感があり、じっくり時間をかけて読みたい。
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シリーズ6作目。
今回はシェトランド最北の島、アンスト島で事件が起こる。
傷ついていたペレスも少しずつ回復している。
冒頭、部下であるサンディを「同僚」と捉えているシーンにじーんとした。
本土からやって来るウィローは相変わらずペレスの心をかき乱し、彼女自身もペレスに対し、複雑な感情があるようで。。
あんまり恋愛モードが入るのが好きじゃないわたしは
2人の関係がこれ以上進展しないことを望みます!
今作の謎の部分は、
子どもの幽霊話を軸に
二つの殺人事件の犯人を追う、というもの。
今回もかなり複雑に人間関係が絡まっていて、
それがゆるりゆるりとほどけていく感じ。
個性の強い魅力的な登場人物が多かったおかげで
前回ほどは名前がこんがらがることはなかったものの、
やはり犯人は意外な人物だった。
回を重ねるたび感じるのは、
タイトルが事件のヒントに繋がってるとかは
あんまりないかなぁ、ということ。
最後まで読み切った時に、納得のタイトル!
と思うことは稀かな。
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シェトランド諸島最北端に位置するアンスト島にて、里帰り結婚式が催された。
新婦キャロラインと新郎ロウリーは、大学時代の友人とそのパートナーの本土人4人を招いていた。
アンスト島にはその昔、島きってのお屋敷の幼い娘が水難事故に遭ってから、その子の幽霊"小さなリジー"が現れるという民間伝承がある。
新婦友人のエレノアはパーティ後、同行者3人とのクールダウンの語らいの場でその"小さなリジー"を見たとの目撃談を披露。
"小さなリジー"を見るとその後子を授かるという風説、流産によりいっとき心身喪失状態に陥っていたエレノアという組合せにより、一同は戸惑いを隠せない。
からの翌朝のエレノアの失踪、そして見つかる遺体というお決まりの流れ。
ジミー・ペレスの完全復活回。
途中ペレスの復調をサンディが喜ぶシーンがあるほど、その行動力や洞察をウィローが半ば嫉妬気味に羨み、部下の振る舞いとしては反感を買うほどに事件に積極的に入り込む。
『地の告発』で先取りしてしまったサンディの色恋沙汰の芽生えも書かれており、ああこうやって始まったのかと、逆順に読む恋の種明かし的展開も興味深い。
この一冊としての事件を巡るWHOとWHYを最終盤まで引っ張る構成力もさることながら、これまで一貫して築き上げてきた、主要登場人物達の立ち振る舞い、シェトランド諸島という閉鎖空間のもたらす場の空気感、混入されるミステリーに何とも言えない没入感を得る。
長い年月、数多の事件を経て辿り着いた現在地点のように感じるが、僅か6作目(自分は間違えて『地の告発』を先に読んでしまっているので7作目)。
決してそこまで多く巻数を重ねているわけではないのにペレス、サンディに感じるこの愛着感は何なのだろう。
何と言ってもやはり4作目に配した大きな転換点が効いている。
あの出来事を起点にすることで過去、現在、未来が広がりを見せているし、その存在感が浮き上がる。
次はいよいよグランドフィナーレ(なのか?)『炎の爪痕』。
あぁ、終わって欲しくない。