投稿元:
レビューを見る
初出 2018年「文藝」
私にとって落合恵子はセイヤングのレモンちゃん。
彼女の感性に学ぶことが多かったなあ。
72歳の冬子は、実年齢と同じで私小説っぽい。
前半は母親の介護の話で、母一人娘一人で生きてきた彼女の思いがよく伝わる。
「私の許可なしに、「わかる。」というな。そんな安易なものじゃない。」と書かれているのだが。
後半は、オーナーである子供専門書店とそのスタッフへの思い。店をチーフの路子に譲るという手紙を書くところで終わる。実際のクレヨンハウスもそうなるのかなあと気になるところ。
母や、恋人、親友たちを見送り、「もういつ死んでもいいのだ」と大きな安堵、解放の涙を流す。
落合恵子に涙は似合わない、という我々の思いからも解放されたいのかも知れない。
追記
5月30日の朝日新聞にこの作品についてのインタビュー記事が載った。介護中に書いた文章より小説の方がより真実に近いというコメントが執筆の動機を窺わせる。
https://www.asahi.com/sp/articles/DA3S13517025.html?iref=sp_ss_date
投稿元:
レビューを見る
認知症の母親の介護をいかに娘として向き合って行くのかが、赤裸々に書かれている。
親を看取るための壮絶な毎日だが、冬子自身が倒れてはならないと、決意の重さが伝わった。
後半は、仕事を通じた友人などとの別れ。
72歳になるまでに、こんな経験をしたからこそ感じるものが、淡々と書かれていて、ラストは重いテーマでありながら、読後感はとても良かった。
投稿元:
レビューを見る
読み終わってまず、著者の体調が心配になった。
だって冬子は体の異変を感じ、精密検査の結果を待つとこで終わるんだもの。
いつも若々しい落合さんも73歳なんだものね。
お母さんを自宅で10年以上介護して著者が幼い頃から強迫神経症と闘ってきていたおかあさんと一緒に落合さんも闘っていたんだね。
投稿元:
レビューを見る
なんとも気分が下がった。
今の体調の悪いときに読む本ではなかった。
元気なときに読んだほうがいいです、これから読む人は。
投稿元:
レビューを見る
小学校高学年から落合さんのエッセイが好きだった。彼女が介護の後、お母様を見送ってからの初めての小説。期待したけど、ちょっもあまりにも私小説過ぎて、生々しくて、引いた。「次」を書く気力精力はなかなか出てこないのかな。
投稿元:
レビューを見る
7年の介護を経て母を看取り、愛したひとや親しい友人たちもこの世を去った。自身にも病の影がさし、経営する絵本の書店も信頼できる部下に譲った。その時の72歳の主人公の境地が、強烈に羨ましい。
「いつでも死ねる。それは、なにより大きな安堵だった。~それは、大きな解放、自由だった。」
人間はいつ、何を納得すれば、死を了解し受け容れられるのだろう?
投稿元:
レビューを見る
図書館にて。
尊敬する落合恵子さんの自伝的小説なのだと思う。
母親を看取るということ、介護するということ…考えさせられた。
投稿元:
レビューを見る
子どもが小さかった頃、お世話になったクレヨンハウス。
最近またご縁が出来て、本を購入するようになった。
懐かしくて、若い頃夢中になって読んだ落合さんの本を
再び手に取ってみた。
この本は落合さんにとっても21年振りの小説らしい。
あの頃はわからなかったことが、20年以上たってようやくわかるようになってきた気がする。
ずっと子どもの頃から落合さんが社会に対して感じていた疑問や違和感は、
令和の世の中になっても、ちっとも解消していないんだろうなぁ。
体験者にしか書けないであろう認知症介護のリアルな姿や、人生の終い方について・・・
やっぱり私にとって落合さんの本は、いつも人生の先を行く素敵なお手本だと改めて感じた。
投稿元:
レビューを見る
冬子72歳、独身、。私小説とも思えるような物語り。文章も内容もとても優しい本だった。子ども時代から母の介護に到るまでの
50年、築き上げられた母娘の絆は一言では言い表せない、とても深い話である。短い文章であらわされた母の看取りのシーンでは、在宅医療が描かれ、その後、エンヤの「オンリータイム」という曲とが見事にマッチして、泣けてしかたなかった。子どもの頃に知った死の概念をずっともちつつ、72歳の今、知人の何人をも見送って自身の人生に区切りをつけていく。きちんと生きることを感じられる物語。
投稿元:
レビューを見る
人としてきちんと生き続けて、誰にも心配をかけないような強い生き方をしているから、人間としての感情が溢れる表現の一つもできない。生きることの大変さ、美しさ、儚く健気な世界を魅せてくれました。とてもよかったです。
投稿元:
レビューを見る
一言で言うと感動した。大学でジェンダーについて学んだ自分にとって勉強にもなったし、考え方が広がった。
死はすべての人間にとって解放を意味する。ずっと泣くのを先延ばしにして我慢していた主人公。最後は解放されたんだなぁ(死んだわけでは無いけれど)
投稿元:
レビューを見る
いつもながら潔い。
ほぼ自伝なんだろう。
濃密な母子の時。
落合さんの介護の話を書いた本はほとんど読んできたので、介護の話にはそれほどの新鮮味はなかったけれど、
彼女の子どもの頃の記憶と交互に語るので、ああ、子どもってこんなことを考えるんだなあと。
「母より先に死ぬのが何より怖かった」と。
自分がそんなにも大切な愛された存在だと思えることはやはり幸せだ。
投稿元:
レビューを見る
何十年ぶりかで落合恵子さんの本を読んだ。
さすがに凄い人。
ほぼ自伝的ストーリー。
辛い時期の中に没頭している間は、
泣きたくても泣けない。
なすべきことが終わったとき、
止めどなく涙が溢れる。
すべての悲しみを癒やすように。