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杉原千畝の本は小学生の時に漫画の伝記で読んだきりだったが、印象的な名前もあってか、覚えていた。
改めて学び直してみると、自分の頭で物事をとてもよく考えて結論を出す人なのだな、ということが分かり、大いに尊敬できる人だと思った。
そして、ただの良心によって動いた人というのではなく、どうしたら皆が助かる可能性が高いのかを冷静に検討し動いていたというのが格好いい(日本政府への連絡の取り方や、ビザの発行の仕方など)。人の良心にすがるだけでは奇跡を期待することしかできないが、世の中は不条理で様々な人間がいる、というのをふまえた上で行動することが多くのユダヤ人が生き残る上で本当に重要だったのだと思う。
冷静に考えていたのはユダヤ人たちも一緒で、ただ杉原にビザを書いてくれ!と頼むだけでなく、その後の行動の準備がきちんとできていたこと、それを杉原に説明し、仕事をする上で動きやすくしていたことが素晴らしい。ハンコをつくったり、自分たちで手伝える範囲の効率的な体制づくりもできていた。皆が考えて行動したことで繋いだ命だったのだなぁと分かると、当時の状況の壮絶さがより現実味をおびて感じられる。
今、イスラエルとハマスの紛争に注目が集まっており、イスラエルの対応に非難が集まってもいる。私自身、「自分たちが迫害されてきた歴史をもつのに、今は迫害する側にまわっているのではないか?自分たちさえよければいいのか」と感じることがあった。
だが、当時はただ仕事でビザを発行していたと思われていた(実際は政府の意に反して行なっていた)杉原千畝を戦後何年間も探し続けていたこと(それも世界各地で、何人も)を考えると、ユダヤ人は決して恩を忘れない人たちなのだ、ということが分かる。
民族の一側面だけで安易に判断して、簡単に批判意識を持たないこと。それが私たちが本当に大切にすべき教訓なのだと思う。