紙の本
教訓を生かす
2018/09/30 13:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:gon - この投稿者のレビュー一覧を見る
綿密な取材に基づいた内容で読みごたえがある。しかし、いずれも結果論である。トップが無能なことは後から分かったこと。無能なトップが入れ替わり立ち代わり就任したのなら、その選考過程に問題がある。あれだけの大企業に優秀な人材がいないはずがない。それなのに、なぜ真に優秀な人材が何代にもわたってトップにならなかったのか、そこが知りたいし、それがわかってこそ、教訓を生かして再生につながると思う。
電子書籍
サザエさんと東芝
2021/06/30 09:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年の株主総会でも揉めまくりの東芝。でもこの本読むと何故そうなるのかスーッと腑に落ちる。かつてはサザエさん一社提供していた東芝もいつかは消えて無くなりそう・・・
投稿元:
レビューを見る
当時、上場廃止かというニュースを横目で見ていた程度で、大企業なのに大変だなと漠然と思っていた。最近、ビジネス会計検定を受けて財務諸表の分析や各種指標など勉強したこともあって、きの文庫が目にとまり購入。
読み進めるうちに、愕然とし気分が悪くなるくらい当時の経営陣に嫌悪感を抱いた。
一般に仕事ができる=経営ができるというのも違うんだなと感じたし、結構前から利益重視よりキャッシュフローと言われていたけれど、当時の社長たちの利益固執の酷さ。その行き着く先が粉飾。『粉飾』という明確な意識はなくとも、「バイセル取引で乗り切るしかない」という表現をしていること自体、正常ではないと認識していたはず。著者が語るように、傍流からのトップと院政はセットで企業を崩壊させるのは納得。
うちには東芝REGZAがあって愛着があったのだけど、いつの間にかこれも中国の傘下に。。
財務の独立性の大切さが身にしみた。
利益重視に走るおかげで、法人税と配当金を不要に巨額流出。キャッシュフローを合わせて見たときの、経営の危機がよくわかる。
投稿元:
レビューを見る
まだ記憶に新しい東芝のグダグダなので、興味深く読めた。西田が文人教養深い経営者としてもてはやされていたのは、よく覚えている。
投稿元:
レビューを見る
凄い取材力。そして取材対象に媚びず徹底的に責任追及の描写。素晴らしい。西室、西田、佐々木、田中の四代でいかに物事がおかしくなったかや、傍流からのトップがなぜ成功しないのかの理由もよく分かった。
投稿元:
レビューを見る
34 19.8.8 興味のあるテーマであり何冊か見たが、その中でも最高。東芝のような巨大企業であっても上に立つリーダーの影響がいかに大きいかよくわかった。
投稿元:
レビューを見る
良本。技術力があっても、トップがダメなら全てダメを分らせてくれる。しかし、トップを育てるのも企業の役目なのだとしたら、そもそもの企業文化にも問題があったのだろうか。
大企業であるがゆえに、ここにいれば安寧だろうと、苦難を自分ごとと捉えられない人は多い。自分が、どれほど会社のことを自分ごとと捉えているのだろうか?やはり自分ごとと捉えてこそ行動に移せるのではないかと強く思う。
改めて見直すよいきっかけであり、会社である以上技術だけでなく経営面にも注意を払うべきと改めて気付かせてくれた。
しかし、最後東芝メモリに救済の手が差し伸べられていく様には、やっぱりメーカーは技術力さえあれば生き残れるのか…と強く感じた。
投稿元:
レビューを見る
東芝の粉飾決済の不祥事を中心とした経営危機について、粉飾を行った歴代社長に焦点をあてて書いてある。
歴代社長の人柄に関わる背景が書いてあることが面白い。入社後のエピソードだけでなく、幼少期や学生時代のエピソードまである。権力や競争を好む性格の人もいれば「こんな人が不正をするの!?」と言いたくなるほどの品行方正な学生時代の人もいて、人間ドラマとして面白く読めた。
東芝内部の権力闘争について書かれていることがこの本のキモだと思う。
経団連のトップのための条件である会長職・社長職のポストを巡って東芝の歴代社長で争ったり、社内での求心力を高めるために自身の出身の部署の赤字を隠すために粉飾決済を行うなど、権力を求めて倫理から外れていく様が滑稽だった。
【印象に残った場面】
・ウェスチングハウス社の買収に関して、不必要に企業の買取価格を上げた場面。
東芝は売り手側の内部と繋がって競合相手の三菱重工などの入札額の情報を手に入れていた。しかし、実はそれがブラフで売り手側は入札する各社に情報を流し、当初の予定額の3倍に価格を吊り上げたというもの。この入札額が、理屈では説明がつかない値段になったことで東芝は信用を失い、原発事業のお金の工面に苦労する。
売り手側に商売上手を感じると共に、挑戦するときには身を引くラインを考えておくのが大切だなと教訓を得た。
・東日本大震災の話。
東日本大震災で東電の原発が爆発したことで、東芝・東電の原発事業への信用が無くなり、また世界的にも原発が歓迎されにくい方向に進んだことが東芝失墜の1つの要員になった。たらればを言うと、この爆発が無ければ東芝は現状ほど悪化しなかった可能性もあるので、運命を決定づけるのは予想もできない何かなのだなと無常を感じた。
投稿元:
レビューを見る
改めて外から見る企業の印象と実際(と言っていいかはわからないけど)の違いに唖然とする。東芝の歴代の社長と言えば言うまでもなく能力の高さがあるだろうと想像するし、実際、特定の分野では優れた能力がなければ社長になんかなれないはずだけど、これが大鹿さんの手に掛かれば何故にこんな人が東芝の社長になれたんだ、というエピソードのオンパレード。改めて聖人君子なんていないんだな!との感想となった。文章自体は堅い感じがして読了まで時間も掛かったので、そこまでの評価にはならなかったけど、解説を読んでインタビューをした人に対しても厳しい表現をできる筆者のスタンスは確かにすごいと思った。メルトダウンをこのあと読むが、そのドタバタ劇も同じような筆致で書かれているのが容易に想像できる。
投稿元:
レビューを見る
アメリカ出張帰りに一気に読了
自分の会社との共通点が多く、危機感を抱いた。
自分ができることに集中すること、環境を選ぶことは肝に銘じたい。
下記は類似点
・穏健な社風。胆力のある人がいない。
・チャレンジ制度。無理な目標が粉飾を招く
・買収の失敗
傍流+院生は赤信号
投稿元:
レビューを見る
日本の産業のトップを走ってきた東芝
先日、その東芝が上場廃止した。
この本は東芝王国が崩れていく内部を描いたルポ
東芝の悲劇は「模倣の西室、無能の岡村、野望の西田、無謀の佐々木」と評された4人のトップの起こしたまさに”人災”。
「バイセル取引」と粉飾決算
名誉と権力にこだわったトップ
「おれがおれが」の手柄自慢
プライドが高く間違いを決して認めないトップ
そして時代を見ることができなかった原発推進
結局、東芝は半導体、メディカルとこれから伸びゆくものを切り売り。で、社運を賭けたのがWHの原発事業って…。(のちにWHは倒産するんだけどね…)
東日本大震災の時の原発事故で原発よりも他のクリーンな電源…とドイツは舵を切ったのに日本の政府・エネルギー庁は逆に「原発の必要性をごり押し」って…
原発なんて田中角栄時代のもんでしょ。
この本を読むと、東芝だけを笑うことは絶対にできない。日本政府のとんちんかんで時代を読めない対応はある意味、読めば読むほど怖い。
まさにタイトル通り悲劇でしかない。