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うぬっ、残念だ
この『アイアン・ゴーストの少女』も全2巻か
ただ、打ち切られた感はないな、と思った
最初から、全2巻で幕を下ろすつもりで、話を作っていたんだろうか、三家本先生は
それならそれで、見事だ、と思う
ただ、やっぱり、ショック
この作品の、肉体と心理的な残酷性は、西川秀明先生の『職業・殺し屋』に負けないほどで、好みのど真ん中だった
自分が傷付く事すら恐れず、揺るがぬ信念と高潔な覚悟を持って、あらゆる敵に挑み、危機に臨み、勝利を敵の命と一緒に掴み獲る
そんな危なさがあるゴースト・リッパーの、一線を踏み越えている戦い方は、実に勉強になった
本来なら、平穏な世界で生きられる人の命を救う為に、彼女は敵とすら手を組み、目的を果たす。そして、敵が本性を見せたのならば、一切の情けは捨て、裁きを下す
怖いなぁ、と読み手に思わせるヒロインは多いが、彼女ほど冷酷かつ冷血な女戦士もいないだろう
また、そんなゴースト・リッパーだけでなく、京も良い味を出していた
ゴースト・リッパーほど強い訳じゃないけれど、自分に出来る事、すべき事に全力で取り組まんとする姿は、中々に好感が持てた
本気を出す為に、あえて、バカのフリをして、攻撃を先に喰らうってスタンスも悪くない
一つの大きな戦いは、ゴースト・リッパー達の勝ちで終わった
だが、全てのアイアン・ゴーストを狩り尽くすまで、彼女の孤独な殺戮は終わりはしない
続編は厳しいだろうけど、心の片隅で期待してしまう自分もいる
次回作は何が読みたいか、と聞かれたら、流血と激痛表現が満載の女子プロレスが読みたい、と答えよう
三家本先生が描く、本気の女子プロレス、間違いなく、ヤバいはずだ
そんな作品を読みたい、と願ってしまう私もまた、手遅れだ
この台詞を引用に選んだのは、一理あるな、と感じたので
何かを為したいのに、自分が持つモノを差し出さないってのは、如何せん、我儘が過ぎる
憎むべき敵を全て殺すために、甘里ミオは、平穏を贄にし、「孤独」と言う制限を己に課した
彼女がべらぼうに強いのは、他者から強いられる外からの恐怖と、自分の中から湧き上がる恐怖から逃げずに、自分にとって一番以外のモノを、迷った末に切り捨て、落としてきたからかもしれない
悪魔に狙われ、生き残りたいのならば、自分も悪魔と契約するしかない
悪魔の力を得る覚悟くらいしなければ、待っているのは「死」だけだ
死にたくない、生きたい、そう思った時、人は凄い力を発揮できる
しかし、逆に、自分ではなく、他人を生かす為に、自死を選べる者もいる
つくづく、覚悟の示し方、一線の越え方ってのは、人それぞれだ