紙の本
映画好きに。
2022/12/24 09:00
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投稿者:ごんざ - この投稿者のレビュー一覧を見る
”恐怖”と言っていますが心理学的な分析の本ではなく、映画や小説などを通して恐怖を分析した本なので映画をあまり見ない人は分かりにくいと思う。映画好きには面白い。
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ホラー小説に対して抱いていた疑問や違和感のようなものの正体が、はっきりと理解できました。思い返してみると、怖くないなと思った作品は確かにその通りでしたし、逆に怖かった作品もそうでした。
思えば、初めて平山さんの作品に触れたときの、なんだこれは、という衝撃は忘れられません。以来、毒に侵されたようにして読み耽っていますが、そのエッセンスが本書には凝縮されています。所々に散りばめられている平山節に一気読みしてしまいました。
これから読むホラー小説は、きっと今までとは違った視点で読んでしまうかもしれません。表面上だけではなく、その裏側まで。それが善いか悪いかは分かりませんが、今まで以上に恐怖を楽しみたいと思います。
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他人を驚かせることが好きだ。もちろん賞賛をもらうためのものではなく、怖さを与える意味で、だけど。
じゃあ、怖さってなんだろうか?って考えたときに、すぐに思い浮かぶのが、幽霊などの非現実の怖さと、人間の心の闇みたいな、現実的怖さ。
後者の方が苦手で、だから前者の方で他人を怖がらせる。
この本によると、ホラー小説を書くときに作者が表現するのは、自分にとっての怖いもの。読んだ後どう感じるか、作者からしてみれば、”どう感じさせるか”。
それがホラー小説の醍醐味だそうだ。
なんだかシステムのバックドアを見たような、恐怖小説の核心に触れた気がした。
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面白くって一気読み!
恐怖とは何か、不安とは何か、何と怖いと思うのか、なぜ恐怖はエンタメになりうるのか…そうそうそうだよね、と思いながら読む。映画やスティーヴン・キングについての項や、春日武彦との対談も面白かった。
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昔から怖い話が好きで、最近だとネットの洒落怖や、春先に発売された「日本現代怪異事典」を読んで楽しんでいる。
なんで怖い話が面白いのか?自分でも時々考えたりしているので、本書を本屋で見かけた時に飛びついた。
本書で個々に紹介されるエピソードはどれも面白いが、恐怖の構造については、概ね次のように整理されている。
- 不安と恐怖は違う。
- 不安は漠然としていて、恐怖は具体的。
- 物語は、不安で始まり、恐怖が克服されてカタルシスを得て終わる。
本文よりも、対談部分の方が、この辺がクリアに述べられている。
この整理に、個人的にすごく疑問が残った。
どちらかというと、私はカタルシスの得られない、後味の悪い話が好きだからだ。カタルシスを得たいのであれば、怖い話である必要はないと考える。
以下、酒を飲みながら、怖い話の構造について考えてみる。
怖い話は、だいたい口承で伝えられることが多い。口伝えで伝わる話は、少しずつ元の話と変わって、形成される。文字が発生する以前の物語や神話も、こうしたプロセスで生まれる。
こうしたプロセスで生まれる物語は強いパワーを持つ(と、「クリエイティブ脚本術」に書いてあった)。
都市伝説とかの類が、妙に心に残るのは、こうした理由に起因すると思われる。
怖い話も神話も、同じプロセスで生成されているので、同じ目的、つまり世界を理解するという目的、を持っていてる可能性がある。
理解できない不安や恐怖を理解したり、未然のリスクとして認識するための物語、ネガティブな方向に振り切った神話、それが怖い話の本質ではないかと思う。
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面白かった!
なぜ恐いものをみたくなるのか、どの部分に面白さを感じてるのかなどがこちらに話しかけてるみたいな文章で書いてあったので学術書みたいな硬い感じじゃなくて読みやすかった。
私は日頃そんな些細なこと不安に思わなくてもいいのにというようなことまで不安に思って思いつめて体調ガタガタになる程度には不安と常に隣り合わせで生きているので、恐怖より不安のほうがやっかいでコワイ、というような説はすごい頷けた。
明確な恐怖はそれはもちろん嫌だし怖いんだけど、明確になった時点でどう対処しようとかどう立ち向かおうとかもしくはあぁもう無理だ諦めちゃおうなんて案外腹くくれる気がする。気持ちの上ではさっぱりするというか。もちろんめちゃめちゃ怖いんだけど。
不安はジワジワ真綿で首を絞めるような感じだし明確な対処法が思いつけないし、思いつけたとしても不安が恐怖に変わるまでは実行できなかったりして生殺し状態。しかも自分で不安をどうにか克服しないうちは永遠にまとわりつく。
本書に書いてあることと似たようなことを書いてしまったけれど、この点について書かれていたことがそれだけ嬉しかったというか気持ちがスッとしたというか…。
ホラー小説の書き方も解説してあってなるほどなぁと。
ただ怖いシーンだけバンバンだせばいいってもんでもないんだなぁ。
このへんの話は、これから小説を書いていきたいと思ってる人にはそれがホラーじゃなくても役に立つようなことが多そう。
ホラー映画、小説についてもいろいろと例に出して書かれていたのでみてみたくなった。
ホラー映画わりと苦手なのにそう思えるっていうのはやっぱり紹介や説明の仕方がうまいんだろうなぁと。
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怖いもの見たさという言葉がある。
私は怖がりで、家人が「ただいま」と帰ってきただけでもたいそう驚いて呆れさせたことがある。
そんな「ビビリ」なのに、ゲゲゲの鬼太郎は大好きだったし、Xファイル(プラナリアが怖かった!)チャッキーに、エイリアン、テキサスチェーンソー、その他J ホラー(リングなど)も見ている。
真昼間の太陽サンサンでないと見られないし、一人で見られなくて被った毛布の中にきょうだい無理やり引き入れて(毛布が襲いかかる!)嫌がられたこともある。
ホラー小説、漫画も読んでいる。
が!怖がりだ!
さて、怖さとは不安からやってくるものだそうだ。
「恐怖の場合は闘うか、腰が抜けるかの二択ですが、不安の場合は無限に選択肢があっって、おまけに答えはないときている。それを振りはらうために、人は過剰な行動に出るのです」(53頁)
確かに、魔女狩り、アカ狩り(レッドパージ)、ヘイトスピーチ、ついでに「こんな人たち」と言い切ってしまうどこかの国のお偉いさんも、ずっと害が大きいとは思わないだろうか。
チェーンソーをぶん回すならそいつを使えなくしてやればいい、ビデオから出るならビデオを見なければいい、でも、隣の人間が自分を密告しようとしている、「かも」しれなかったら?
犯罪者「かも」しれない、国を売る「かも」、不安は増大していくばかり。
もしそうなら、自分の平穏を守るために、どうする?
「生命とはなんなのか、生きるとはなんなのか」(156頁)
それがホラーからの問いかけだ。
簡単には答えは出ない、だからこそ人は「恐怖」にたまらなく惹かれるし、畏怖の念から逃れられない。
特別対談の内容が、下手なホラーよりずっと怖い。
「確認魔」「脱法ドラッグ」、その他諸々、紳士的な前半部との違いが際立って、怖かった。
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ホラー作家による恐怖考。語り口調のせいか、思っていたのより軽めな感じ。一番へぇ~っと思ったのは、映画「エクソシスト」撮影の裏話。あの恐ろしさは監督が「狂ってた」からなのか。
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僕はオバケが怖い。小さい頃から便所に行くのが異常に恐ろしかった。今は部屋の中に便所があるが、昔は部屋の外にあった。しかも、明かりは暗くてボットん便所から赤い紙くれと手が出て来るような妄想にとらわれていた。
結局はオバケなどいなかったのだ、「恐怖より不安がコワい」という分析には納得した。僕はオバケが出るかもとおい不安に慄いていただけなのだ。でも、今でも便所は怖い。
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夢さんファン以外にもオススメ。小説や映画を引き合いに説明されているので、とてもわかりやすく面白かったです。
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平山夢明初期の犯罪ノンフィクションなど、興味深く読んだものだ。
しかし、平山その人が前面に顔を出す本書となると、もういけない。言行にピカレスク・ロマン的な痛快さが感じられない。もっとも、ピカレスクな人物なら冒険小説に手を染めているのだろう。
書に親しむというのは、著者を好きになるとか、その喜びや悲しみに共感する部分があるように思う。
私が平山と面談の機会を得たとしても、ほぼ話が噛み合わず、物別れに終りそうだ。
巻末対談の春日武彦は贔屓の学者なのだが、相手に引きずられたと見え、発言が不良化している。
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「5時に夢中」に出演されている著者からは想像できないほど「恐怖」について真摯。
もっと映画や小説のお薦めが知りたかった。
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怖い怖いと言いながらお金出してお化け屋敷に行く心理とかそういうのはわかった気がする。ホラー映画じゃないけど実は怖い映画、、とかの紹介は興味深く、観てみようと思う。作者の人格がおかしいのではと思うところはドン引きして作者のことを好きになれそうにないが内容じたいはおもしろかった
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2019年2月4日読了。平山夢明による恐怖論。「恐怖」と「不安」は別物で、恐怖にはリアクションできるが不安はそれ自体が落ち着かず怖い、という分析はなかなか鋭いと思う。て言うか、笑い話のように挿入されたこの人の日本人形の話がめちゃめちゃ怖いのだが…。各論ハッピーエンド・総論で不安を残すホラーの常套ストーリー、ホラー話を「成長譚」に結びつけたスティーヴン・キングの成功や映画「ゲット・アウト」の分析など薄い新書だがなかなか読みごたえのある記事も多かった。自分は「怖がりのホラー好き」だが、自分が感じている真の恐怖の正体ってなんなのか、もっと突き詰めて考えてみたくなった。
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非常に秀逸な新書。
本書は作家である筆者が描いているため、新書の立ち位置が非常に理解されている。「面白い」「分かりやすい」「なんだったら役に立たないけど興味が湧く」この3点を完全にカバーしている。
精神科医?の春日氏との対談も非常に興味深い。春日氏は不安に取り憑かれる性分だと明かし、以下のように語っているがとても共感を覚えた。
「不安を持っていないような奴はバカだ」と開き直り、不安を抱えていることによって生じる「ある種の緊張」が、大きな不幸を防ぐバリアの役割を果たしている(略)との説も納得できる、というかそのように自分を納得させた。
対談でのドラッグに対する見識も面白い。ドラッグは視覚や聴覚に作用して嗅覚方面にはいかない。、、、など掘り下げればもう一冊新書が書けるのでは?
ヒトの妄想にもバリエーションが知れてる、「ただの人」が思いつくものに大したものはないなんて、掘り下げて欲しいなぁ。