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<目次>
はじめに
≪西洋美術を観る≫
第1章 聞いたこともない画家の作品を鑑賞する時は
~グエルチーノ「ゴリアテの首を持つダヴィデ」
第2章 フェルメールは何がすごいのか?
~フェルメール「聖プラクセディス」
第3章 作品の世界に溺れて観てみよう!
~モネ「睡蓮」
第4章 なぜセザンヌは「近代絵画の父」なのか?
~セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー=ノワール」
第5章 使う場面を想像しながら観る
~ガレ「蜻蛉文脚付杯」
第6章 これが名画?はい、そうです!
~ピカソ「花売り」
第7章 美術鑑賞は格闘技だ!
~デュシャン「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」
≪日本美術を観る≫
第8章 水墨画を味わうために
~雪舟「秋冬山水図(冬図)」
第9章 教科書に出ている狩野派の味わい方
~狩野永徳「檜図屏風」
第10章 デザインを語るなら観るべし
~尾形光琳「燕子花図屏風」
第11章 「なぜその作品を作ったか」を観る
~伊藤若冲「動植綵絵」
第12章 観られない作品ほど観たい
~「曜変天目」(静嘉堂文庫美術館蔵)」
第13章 今、話題の超絶技巧に驚く!
~並河靖之「藤花菊唐草文飾壺」
第14章 女性ならではの美の表現とは?
~上村松園「新蛍」
第15章 同時代のアーティストを応援しよう
~池永康晟「糖菓子店の娘・愛美」
<内容>
アマチュアの美術鑑賞家(そんな分類はあるか?)の「青い日記帳」さんの美術鑑賞のガイドブック。ポイントは「プロ」ではないということ。あくまでも趣味で美術館巡りをし、さまざまな作品を観てきた人なので、プロのようなテクニックやその画家、作家のプロフィールなどを濃く語るのではなく(と言っても、相当に勉強されている方ですが…)、その語り口が優しく、ポイントを絞って教えてくれる本です。私は西洋美術はあまり興味がないのですが、日本美術に関する章で、天目茶碗の章や上村松園などについては、もう少し観てみたいな、と感じました。
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美術鑑賞は苦手で何がすごいのかよくわからないのだが、こういう本を読むと楽しみ方が増えて素直に嬉しい。時代や宗教との関係などがわかればより理解が深まるだろうし「プロの解説」を読むのも勉強になるんだろうけど、もっと気軽に、「宗教画は背景をみよ」とか、「美人画は眉を比較」とか、いろいろな楽しみ方があるとわかった。現代アートも「解釈力が問われている」と思うと、その挑戦を受けて立とうといいう気で楽しめるかも。
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たとえ何千年前に人間が作りだした世界文化遺産であっても同じ人間の手により破壊されてしまう悲しい世の中です。しかし大震災によって甚大な被害を被った絵画作品の展覧会をつうじ、多くの人々に感動を与えるまさに文化的な活動をしているのも同じ人間です。この作品の前に立つと、そうした人間の善悪の「歴史」や「物語」が一斉に語りかけてくるはずです。(p.28)(グエルチーノ「ゴリアテの首を持つダヴィデ」)
日常の台所風景のひとコマが描かれているだけの「牛乳を注ぐ女」を前に、この絵のどこがそんなにすごいのか?と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、そこにあるのは引き算の美学なのです。余計な情報をそぎ落とし最少限度の事柄で最大限の美しさを発揮させる。引き算の美学、最小限の事柄で最大限の美しさを発揮するーこれってどこかで聞いたことがありませんか?そう、これは素材を生かしたシンプルな和食の美学です。フェルメールの作品は、日本的な感性の世界に通じるものがあるのです。(pp.41-42)
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これは楽しい一冊。とりあげる作品も国内で鑑賞可能な作品に設定しているので、タイミングさえ合えば直ぐ観に行ける。16の作品を例にバロックから現代まで、洋画、日本画、工芸作品までバランスもいい。
残念なのはカラー判でないこと(巻頭に8pだけ口絵があるけどさ)。コストの問題なんだろうけど4Cで出してほしかった。絵は知っていたけど池永康晟さんの作品をはじめて認識したのは大収穫。一度ホンモノを観に行かなくちゃね。
それと、三の丸尚蔵館に動植綵絵のポストカードを買いに行こうかな。
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著名な人物を紹介しながら美術鑑賞の方法について語ってくれているので美術に疎い私でも理解しやすかった。
この本を読んで作品を見れば見え方が変わっていくだろう。
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15点の作品を丁寧に解説した好著だ.西洋絵画については、様々な解説書を読んだ記憶があり、本書も大同小異だったが、日本画についての説明は秀逸.水墨画、狩野派、若冲など素晴らしい視点による解説は非常に楽しめた.
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この本では、美術のカテゴリ(和・洋、クラシック・近現代、絵画・工芸品)ごとに代表的な、しかも国内の美術館に収蔵されていて鑑賞のハードルが比較的低いものを紹介してくれています。
美術館に行って、「これはちょっと意味がよくわからない」「こういうのは好きじゃないな」「自分でも書けそう」なんていう第一印象をもつことは、まぁあります。それはそれで否定されるものではないけど、こういうところを観るともっと豊かな世界が広がっていますよ、というのが本書のメッセージです。
キャプションをよく読もう、っていうアドバイスに関しては、「あ、見てもいいんだ」という安心がありました。
だって、文章ばっかり読んで、肝心の鑑賞が疎かになったり、作品から無言のメッセージを受け取れなくなるんじゃないか(もともとそれほど受け取れてはいないけど)とか、そういう心配がありましたので。ところが、まずは第一印象でいいんだけど、作家のエピソードや作品のバックグラウンドを知ることで、第一印象と違った感想がもてるようになるというのです。うん、確かにそうですよね。その上で、第一印象と比較をしてみればいいんだなあ、と。もっと前からそうしていればよかった。
ディテールをみたり全体像をみたり、つまり近づいたり遠くから眺めたり、というのも楽しみ方の一つで、筆致(タッチ)や「抜け感」も注目ポイントだといいます。
いわゆる現代アートをみたときに、「意味不明だ」と感じてしまうのは、自分の感性が貧弱だからなんじゃないか、という後ろめたさがありました。
だから、(特に現代アートは)単に観るものではなく、「考えるもの」「解釈するもの」だ、そしてそれは「格闘だ」というのには救われる思いがしました。(芸術をその域に押し上げたのは、デュシャンだそうです)
さて、私は本書と同時に、若林恵さんの『さよなら未来』(岩波書店)を読んでいたのですが、その中で、
“写真に限らずアートというものが同時代の最もアクチュアルな批評であるという認識は、どうして日本では一向に広まらないのだろう。(略)「アートはビジネスマンの教養である」(略)とほほ。アートってそういうことじゃないと思うんだけどなあ”
という箇所があって、こと現代においてはまさにそうなのかもしれないな、と思いました。
でも必ずしもそうとは限りませんけどね。アートが批評のためだけに存在しているわけじゃないから。だって、美しいと思ったものを自分の内面で濾して、より美しいものに昇華して表現しよう、っていう芸術的志向だってあるはずだし、そのときには批評なんて狙いはどこにもないと思うので。
とにかく、この本で私にとっての一番の収穫は「分からないこと」が肯定されたような気がしたことです。
分からないことは調べればいいし、その情報を頼りに考えればいいのです。第一印象でなにもかも感じ取れる必要はないし、芸術家もそんなことを望んでるわけじゃないかもしれないのだから。
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グエルチーノ、フェルメール、モネ、セザンヌ、ガレ、ピカソ、デュシャン、雪舟、狩野永徳、尾形光琳、伊藤若冲、曜変天目、並河靖之、上村松園、池永康晟。非常に読みやすく初心者に優しい。ちょっと見に行ってみようかなとなります。
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前半の西洋美術に関する記述は、雑誌の記事のようで、他書を紐解いた方が良い。
後半の日本美術は、著者の思い入れが深いように思う。やさしくはないが、引き込まれる部分もある。最後の池永康晟は良い。
・カラーバス効果
・日本美術はわびさびだけではない
・上村松園の眉
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アートブログの草分け的存在「青い日記帳」を運営する中村さんが書いた、アート鑑賞の入門書。
後半の日本美術パートが予想以上のおもしろさだった。これ、日本の観光ガイド的に海外でも結構ウケそう。翻訳されてほしいな。
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いつも美術館鑑賞の時にお世話になっている、青い日記帳さんの著書。
普段から的確な解説をしてくれる方だけに、わかりやすい解説です。
タイトルには少し注意が必要です。
美術の基礎知識を知っている人が対象になっており、一からのビギナーにとっての「サルでもわかる」類のものではありません。
その分、美術愛好家もしっかり満足できる内容です。
美術鑑賞は好きなものの、見方が実はよくわかっていない私。
画家の技量がわかるのは手の描き方だとか。
セザンヌやピカソの作品をどう観ればよいのかわからず、途方に暮れている人に嬉しいアドバイスがされています。
フェルメール作品はどれも小さく、作品32点(真筆)を並べてもレンブラントの代表作『夜警』にすべて入ってしまうということには驚きました。
絢爛豪華な狩野派ですが、代表的な狩野永徳の作品のほとんどは、当時の戦火で焼失し、10件しか現存していないのだそう。寡作で知られるフェルメール作品の三分の一以下ということに衝撃を受けました。
専門的な観方がわからず、ビギナー目線から脱しきれない美術愛好家にピッタリの内容。
この本のおかげで、これからはずいぶん美術展鑑賞をしやすくなりそうです。
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アートファンの方ならきっと一度は訪れたことがあるだろう有名な美術ブログ「青い日記帳」。管理人の名前はTak(タケ)さん。ご本人は美術系の大学出身ではありませんが、年間300以上もの展覧会に足を運び、そのレポートを日々、活字にされています。
本書は美術鑑賞の初心者に向けて、西洋美術7章、日本美術8章として「しっかり味わう15の秘訣」が満載しています。ここで紹介されている15作品は、いずれも日本国内に所蔵先があります。年中展示されているわけではありませんが、見る機会は恵まれているでしょう。
美術鑑賞を趣味にする最初の一歩は人それぞれです。年数を重ねるうちに、好きなジャンルが幅広くなっていくこともあれば、気に入った美術分野をどんどん掘り下げていく人もいるでしょう。私自身は地方に住んでいるので、なかなか大型企画展に足を運ぶことができません。そのため狭く深くではなく、広く浅くの美術鑑賞になっています。でも、どうしても難しく考えてしまうジャンルがあって困っていました。工芸作品です。
これまで、日本伝統工芸展や柳宗理展、北大路魯山人の展覧会などに行っていますが、自分なりに楽しめているのか疑問を感じています。もっと技術的な凄さが理解できれば良いのではないかと、勝手に思ったりしています。
そんな不安定な気分のときに本書を読んでみました。本書では3つの工芸作品が紹介されています。
1、《蜻蛉文脚付杯》エミール・ガレ(サントリー美術館)
2、《曜変天目》(静嘉堂文庫美術館)
3、《藤花菊唐草文飾壺》並河靖之(清水三年坂美術館)
こまかく内容を書くとネタバレになってしまうので控えますが、なるほど工芸作品を見るポイントや楽しめるコツが書いてあります。一言だけ言うと、工芸品は絵画よりも暮らしに身近な道具であることです。壺であれ、器であれ、置き場所と設置する部分を高台と呼ぶそうですが、その高台が大好きな人もいるらしいです。車好きのタイヤマニアとか、城好きの石垣マニアみたいな感じでしょうか?無理して全体を論じようとするのではなく、まずは小さな部分、パーツを好きになってみるという方法も知りました。
もう一歩、踏み込めない美術分野があるならば、本書を読むことできっといいヒントを得られると思います。
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バラエティ番組みたいな文章の構成が読んでいてつらい。ちょいちょい出てくる喩えも微妙。もっと「情報」に特化した内容でもよかったのではないかと思う。それは決して「やさしくない」ことにはならないはず。
アート(鑑賞)解説本を色々読み比べるのが好きなのだが、大変有名な美術ブロガーさんの本ということで期待したんだけどな。。
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「いちばんやさしい美術鑑賞」というよりは"鑑賞方法"。15点を例示して丁寧に鑑賞の心構えを指南。国内で収蔵されているものを挙げているのも好感。早速、本物を直に観に行きたくなった!
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ここんとこ、美術館に通ってるが、よー分からん絵が多い。好き嫌いでいいか、とも思うが、もう少し楽しみ方を知りたくなり、本書を手に取る。
西洋画には聖書やギリシャ神話、日本画には伊勢物語などの古典。画家はモチーフを取りながら、表現をひとひねり。などなど、平易な文章で背景や画家を取り巻く時代を紐解いてくれる。