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著者の考え方や人生観には共感し、教養である世界史を学びたいのは山々であるが、正直著者の著作は私にとって難解であり、頭に入りにくい。
おそらく、イメージが湧かないからであろうと思うので、歴史が苦手な人はまず他の本で基礎知識を入れてからの方がよさそうである。
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世界史の傑作本!
歴史を本書のように語るのは、学問ではない、科学ではないと言われがち。しかし歴史の本質は「人間の営み」なのだから本書の表現もありと思う。むしろ歴史の本質を知るためには本書のような理解が不可欠!
年号とイベントを記憶することが歴史ではない。
人間の営みについて、「なぜ?」「なるほど!」と理解を深めることが、歴史を学ぶ意義と思う。
本書では世界史の大きなイベントが、
①利害・お金で説明されている
②嫉妬心対抗心といった人間臭さで描かれている
③そしてまた「理念」と言う崇高なもので動かされるのも人間
これらすべてを「ファクトで実証する」ことは難しいかもしれないが、歴史は「ヒューマン・サイエンス」として守備範囲を拡張すべき!ただ、行き過ぎると「司馬遼太郎の世界」になってしまう難しさはある。
[個別の歴史では]
第一に南北戦争
南の現在の豊かさを取るか、北の将来の発展の可能性を取るか。まさに既得権益と不確実な将来ビジョンとの戦いというのが南北戦争の本質だと
「奴隷解放」と言う大義は、北が作った「スローガン」、こういうのも大事だ
第二に国家戦略が得意な国、不得手な国
あるいは得意な時代、不得手な時代。リーダーに人材を得られたか
大英帝国は得意な時代が長かった
フランスは逆に弱く、新大陸・ヨーロッパの利権を大英帝国に持っていかれた
アメリカも北米の領地拡大は成功おさめた
対フランス対メキシコ対スペイン対英国
第三に中国、やはりアヘン戦争は大きな契機
林則徐と言う有能な人材を使いきれなかった
当人にも国家にも運命と言うものがある
第四は第一次世界大戦の愚かさそれは第二次世界大戦につながった
フランクリンルーズベルトの偉大さはもっと語られるべきだと思う
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出口治明『知略を養う 戦争と外交の世界史』(かんき出版、2018年)は戦争と外交の歴史を取り上げた書籍である。著者は立命館アジア太平洋大学学長。本書のタイトルはリアルポリティックス色を強く感じるが、戦争を止めるため、防ぐために外交という手段を駆使してきたというスタンスである。
実際、本書は都市国家が分立したイタリア半島に奇跡的な平和をつくった「ローディの和」を評価している。この時代のイタリア史では、その後に力と権謀術数での統一を志向したチェーザレ・ボルジアが注目されがちである。しかし、外交で平和を達成した「ローディの和」の方が現代に学ぶところが大きいだろう。
本書はヨーロッパ中が驚愕したマリア・テレジアの外交革命を取り上げる。ハプスブルク家のオーストリアが宿敵の関係にあったブルボン家のフランスが同盟関係になった。マリア・テレジアは、女性にハプスブルク家の継承資格はないと難癖をつけ、シレジアを奪ったプロシアのフリードリヒ大王が許せなかった。この外交革命は建前よりも本音で動いた外交の典型例と評される。
「革命」と形容されるほど驚かせた出来事であったが、本書の評価は低い。ドイツの人々にとってフランスはカトリック国でありながら、三十年戦争でプロテスタントを支援するなど、ドイツに介入する信用できない国家であった。そのフランスと同盟関係になったことは、オーストリアの求心力を下げ、プロシアをドイツ統一の主役とする結果にしたとする。
しかし、オーストリア人はドイツ人と民族や言語は同じも、別国家意識が高いことを踏まえれば、ドイツでの求心力を下げる選択は、それほど悪手ではないだろう。また、本書はマリア・テレジアの才覚をあまり評価しないが、ハンガリー人の支持を集めてオーストリア継承戦争を戦い抜いた。後の二重帝国もマリア・テレジア路線の延長線上と言える。やはりハプスブルク帝国はドイツ国民国家よりも中欧の多民族国家として輝く存在である。
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借りたもの。
古代から現代までの戦争と外交――国同士の利権争いとは何なのか――の歴史を、歴史を動かした主な国家間戦争をピックアップして考える。
外交とは、自国の国益を第一に考えるものであり、戦争はその最たるものだった。
戦争の仕方が武器・戦術などで大きく変わっても、根底にあるものは変わらない。
そして有能な人物がせっかく作った和平のための均衡も、思慮に欠けるリーダーの出現でご破算になることを繰り返す。
事実の羅列に留めず、当事者の思惑――フランス革命後は国民、民族の空気感――について、「こう思っていたのではないか?」という心情を言及しているところが、この本をドラマとして面白くしているのだと思う。
併読していた茂木誠『「戦争と平和」の世界史 日本人が学ぶべきリアリズム』( https://booklog.jp/item/1/4813284620 )と異なり、あまり軍事力について具体的な言及はしていない。
戦争も外交の一つの形ではある。
しかし、自国の非戦闘員をも巻き込んだ総力戦となり、相手憎しで多額の賠償金を搾り取ろうとした結果、さらなる大戦を引き起こした経緯……先の2つの大戦を経てするのも終わらせるのも「割に合わない」イメージを共有しつつも、それがいつ起こってもおかしくはない。外交でそれをどれだけ阻止できるか……そこに軍事力がどう関わっているのか、著者は明言を避けている気もした。
第二次世界大戦の部分は現代に通じる分、日本の内側の動きと外交音痴っぷりを照らし合わせて欲しかった気もする……それは一部の優柔不断なリーダー、事実を知らない世論の衆愚政治か。
しかし、アメリカ側の視点で見ることで追い詰められ外交も(戦術も)場当たり的になってゆく様、そもそも外交の手段を失っていた点が垣間見れる。
flier紹介。( https://www.flierinc.com/summary/1801 )
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知略が養われたかは、わからないが、戦争と外交の歴史がよくわかった。
気になったフレーズとしては、
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。
理念のある者とない者が交渉した場合、理念のある者のペースになりがち。
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#audiobook
戦争の背景にある指導者の思惑や民衆感情が見えてきて、人が歴史を作ったと実感させてくれる。点の知識が線で結ばれていき目が覚める思い。感情的に煽っていないのに心が動くのが出口節。出口さんの本はいつも、歴史をもっと知りたいと思わせる。
――メモ―――
アヘン戦争 林則徐 ←めっちゃ気になった人。後で調べる。
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個別事例について語るだけな上に内容が薄い戦争・外交史の本
著者はこの分野が専門ではない上に学者ですらない
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高校生の頃にひたすら暗記してそのまま忘れた四十代に気づきと学びを与えてくれます。極めて良書。情報過多時代にはこれくらいの基礎的インプットをサラッとしていただけると記憶に残りやすあ
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知的好奇心をそそられました。改めて、人間って大昔から戦争してるのだなぁ、と思いました。それに国というものがあるから外交がある。そして、外交と戦争は密接に繋がっている。世界平和は外交次第!歴史から何を学ぶかで、世界は大きく変わる!
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この本は、世界史をとても大きな視点から捉えているが、かといって大雑把ではなく世界史上の多くの戦争についてその背景や意味を明らかにしている。今までよくわからなかったクリミヤ戦争から第一次戦争突入までの経緯などは、出口治明氏でなければ、これほどコンパクトに説明できないだろう。価値ある一冊である。
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これもよかった。ロシアのウクライナ侵攻(2022.2.24〜)をきっかけに手に取った本だけど、人が感情の動物であることを考えると、戦争は惨劇だけでなく、恨みも残すので、出口さんの言うように終わり方(講話)の仕方をしっかりしないと。世界史を知っていることはビジネスにも役に立つ、というのは納得。
第一次世界大戦の対独講和条約で英仏がドイツに課した賠償金の支払い2010年に終わったなんて…。
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『#戦争と外交の世界史』
ほぼ日書評 Day567
有名漫才師やYouTuberを使ったTVコマーシャルをガンガン流しながら、業界最安的イメージ作りを狙う、某生保元代表の著書である。
本書中盤で「連合王国」という見慣れぬ表現が多用される。これは何かというとUnited Kingdom(いわゆるUK)の訳語として、グレートブリテンやイギリスとは異なる概念として本書で導入される用語だ。これ自体は、厳密を期す意味で、首肯できる面も多い。
その一方で、だ。
Charter of the United Nationsの日本語訳は一般に「国際連合憲章」。では、United Nations の訳語をご存知だろうか?
これが馬鹿げたことに、第二次世界大戦(便宜的にこう呼ぶが)のさなかでは「連合国」、戦後は「国際連合」と呼び分けられるのが通例だ(Wikipediaによれば連合国としての用法は1941年に遡るとのこと)。
評者は常々、この点に違和感を感じており、「連合王国」という耳慣れない訳語を持ち込んでまで厳密さを記す著者であれば、この点についても何某かの配慮をしてくれるのだろう!と期待して読み進めた…のであるが、その期待は見事に裏切られた。
さらに、である。最終章は全面的なルーズベルト礼賛に数十頁が費やされることになる。
巻末14頁もの長きに渡って参考図書名が列挙され、多忙なビジネスの合間に1万冊を越える本を読んだと言われている著者が、Day653でも紹介したように、東京裁判の時点で既に評価に疑問符の付いていたルーズベルトに関する論調を耳にしたことが無いということは考えづらい(本書の初版は2018年9月)。
逆に言えば、と総括すると、強固に構成されたこの世代の史観とはかくも恐ろしいものということを再認識できる、という意味で学びの多い一冊と言っても良いのかもしれない。
一方で、博識を誇る著者の記述から、新たに得た知見も多かったことも申し添えねばフェアでないだろう。
知らなかったのネタ、ひとつ目。
宋(そう)と遊牧民族であるキタイの間に結ばれた「澶淵の盟」。大量の絹と銀を、宋がキタイに支払うという内容であったため、実質的に国力の劣る側が「カネで平和を買う」という認識を長らくされて来たが、近年、今で言う「ODA」のようなものだったという解釈が有力になっているという。
すなわち、確かに宋側からの支出はあるものの、技術(者)や資機材のないキタイは、その欠落を埋めるために、宋からの輸入(宋への対価の支払い)が不可避であり、宋側の産業が大いに潤ったというのだ。
聞いてビックリのふたつ目。
本来、キリスト教においては「ローマ帝国においてキリスト教は国教ですから、イエスの代理人は皇帝です。ローマ教皇の立場はイエスの1番弟子ペテロの代理人に過ぎません。そのためにローマ教皇を誰にするかも、各教区の統領である司教の叙任権も、ローマ皇帝の思うがままになっていたのです」
天皇と将軍のように、ローマ教皇(法皇)がいちばん偉いのだとばかり。でも、確かに序列の最高位は皇帝だものね。これが逆転されたから「カノッサの"屈辱"」なわけか。ちゃんと世界史勉強しなかったのがバレるなあ。
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出口先生の世界史本を立て続けに読ませて頂きました。世界史音痴の私にも、また少しずつ繋がってきて、更に興味が湧いてきました。20世紀の二つ(一つ)の戦争が極めて分かりやすく書いてありました。フランクリン・ルーズベルト、先を見据えたとして政治家して記憶しておきたいと思います。
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史実から吸収する大局観
ファクトに基づきつつ出口治明氏の洞察を加え、数千年の歴史から現代に活きる考え方を学べる。
■概要
戦争と外交というタイトルのとおり、戦争をどう終わらせたか、どの様な決着をみたか=「条約」の経緯を深掘りしていく。戦争の終わらせ方、交渉の妥結にも理念やグランドデザインがないと厳しいという。中世ヨーロッパのキリスト教の分裂や宗教改革と三十年戦争(ウェストファリア条約)という欧州でのキリスト教が中心だが、宋の話やモンゴルの話もありまさに世界史。
■感想
1番の学びはフランス革命〜ナポレオン登場〜ウィーン体制〜諸国民の春という「ネーションステート」誕生の流れ。王政を倒すフランス革命のDNAがナポレオン戦争によって欧州中に波及したという観点は賛否あるだろうが興味深い。ウィーン体制という伝統主義、王政への回帰で2歩戻った様に見えるが、結果それが1848年の2月革命・3月革命いわゆる諸国民の春となり、3歩進んでネーションステート誕生となる。
唯一気になるのは出口さんに国家観や日本をどうみるかという観点が見えないところ。虚心坦懐に史実をみると、確かに中華は偉大であるが、同時に負の側面もあるにもかかわらず、国連の常任理事国なのだから言うことを聞け、というのはあまりに既存の"レジーム"を肯定しすぎ。
対DPRコリアでも、日本は大人しく6カ国協議の再会を待て、というのはやや机上の空論ではないと思う。
これにこそ理念がないのではないか?と思います。