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私の中で内容がすごく刺さった物語でした。
囚われて自分を苦しめてしまったり、相手に理想を押し付けてしまったり、「男」「女」という一般的なイメージってすごく難しいものだと思います。
また男女の話だけじゃなくて、尊敬や思いやれらかよりも、自分に疑いを持てるかどうかという考えはしっくりきました。
性別だけでなく個人で考え方は違うから、お互いに寄り添っていこうとすることが大切だと思います。
1つ1つの独立させた短編ではなく、視点を変えて少しずつ進めていくのは、賛否あるみたいだけど、色んな感情を持っていることを忘れずにいられて好きでした。
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3人の異なる境遇の男性の話を、一部交差させながら展開していくストーリーは、よくある手法ではあるが、効果的で面白かった。
特に、妻が働くかわりに専業主夫にならないかを打診された話は、自分のことのように感じられて、切実に考えさせられた。
その他にも、離婚した男が妻への立ち居振る舞いを自分の父親が熟年離婚するのをきっかけに考えている部分は、自分はどうなんだろうと考えさせられた。
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北上次郎氏が本の雑誌2018ベスト10が選出。TVドラマ化された「野ブタ。をプロデュース」の筆者で名前は知っていたけど、始めて読んだ。
草食系サラリーマン(嫁あり)の直樹、バツイチ広告代理店勤務の元・肉食系慎一、オタク公務員幸太郎。誰もとっても造形が具体的でイメージしやすい。イメージどおりの行動と言動が分かり易すぎる、とも感じるけど。
でも慎一の母親の息子溺愛発言とか、直樹が取材する専業主夫とか、なかなか細かいところまでディテールを大事に積み上げてるのが良いね。
この作品がTVドラマ化されると、原作よりも表層的になってしまいそうで心配。
他の著作も読んでみたくなる。4.0
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男の人の書く生きづらい男の人の話、
結局男も女も生きづらいのだ。
同性だからわかるけどわかりたくないことって
あるのかもしれない。
私的には男の人のあがき方や嫉妬心って女のひとよりずっと怖い
女の人のは小説になったりして「おー怖っ!」って言えるけど
言えない感じがあるもんなぁ。
男だって女だってはずしたけりゃたてがみなんて取ればいい。
たてがみは男も女も取り外し自由ってことで、
そういう世の中でいいのになぁと思う。
今、やや近い気がするけどなぁ。
なかなかそういう世の中にはならないだろうけれど。
自覚あるけれど、私達世代(40代~50代)が世の中にいる以上は
今までの慣習とこれからの主流の
合いまみえない感じってのはあるよなぁ、と思う。
ごめんね、若者。
頑張れ、いや、頑張らんでいいけど
まぁ、頑張れ。
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「男らしさ」「男の生きにくさ」をテーマにした小説と聞いて、お〜なんか珍しくて良さげ!とハードルを上げてしまったかも。
3人の男性目線のジェンダーギャップが描かれているんだけど、分かりやすい部分にフォーカスされていて、小説としてとても読みやすい反面、もう一歩踏み込んだ内容だったらな…と思わずにいられなかった。
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3人の男性がそれぞれ自分の弱さやダメな部分、男であるがゆえの生きづらさと向き合って、内省して、気持ちをひとつひとつ丁寧にことばにしていく。著者の誠実な態度がうかがえる、好感度の高い小説だった。次回作期待。
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3人の男性が主人公。①奥さん妊娠中、家事は得意で思いやりが有り空気読める。でも仕事が上手くいかず男としてのプライドがじくじく痛んでいる直樹。②モテ男の広告マン。離婚するも元妻に後ろ髪引かれている。母親を顧みず熟年離婚された父親のようにはなりたくない慎一③アイドル活動でプライベート充実はしているが、女性と縁が無い事を気に病んでいる幸太郎。
たてがみというのは男のプライドを表しています。一人の人間としてというよりも、男である事で対外的に見えていないと恥ずかしく感じるものという雰囲気でしょうか。
世間体を考えなくてよい時に、本当に自分にとって大事な選択を出来るのであれば、男のプライドというものが不要であるという事なのでしょう。
読みやすいですが、結構壮大なテーマに挑んでいると感じました。
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3人の登場人物の話でストーリーが続いていく。
世間体を感じ、生きにくさを感じる中で、自分にとって何が正解なのか自問自答しながら、一生懸命に生きる人間のストーリーが描かれていた。自分の人生においても共通することがたくさんあるなと感じた。
男としてのプライドは本当に必要なのか。
世間体を気にしすぎていないか。など、
誰もが人生を送る中で一度は考えたことがあろう疑問に正面から向き合うことのできる一冊でした。
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昨今、よく話される男性の生きづらさについて書かれた本。
『たてがみを捨てたライオンたち』を読んだ。著者の白岩玄さんはあの『野ブタ。をプロデュース』を書いた作家さんと言えば、あの人かー!と納得してくれる人も多いと思う。
『30歳出版社社員、直樹・35歳広告マン、慎一・25歳公務員、幸太郎
いつのまにか「大人の男」になってしまった3人、弱音も吐けない日々に、モヤモヤは大きくなるばかり。幸せに生きるために、はたして男の「たてがみ」は必要か?』集英社文芸ステーション
『「そう。オスのライオンって、頭の周りにたてがみが生えてるでしょ?あれって自分の強さを誇示するためにあるらしいの。メスにアピールしたり、別のオスに対して牽制したりするのに使っているわけ。人間のオスも同じなのよ。本人は気づいていないことが多いけど、大抵の男の人には『見えないたてがみ』が生えてるの」
「それは経済力とか、肩書とか、学歴とか、運動神経、あるいは仕事ができるかどうかだったりもするんだけど、その人他人よりも勝ってると思ってるところを見つけ出して肯定してあげると―つまりはそれがたてがみなんだけど―男の人はリラックスするの。口に出して褒めなくても、心の中で受け入れるだけでいいのよ。それだけで男の人って居心地がよくなるものなの」』たてがみを捨てたライオンたち/白岩玄 p101
作中に出てくる登場人物の一人、慎一の元妻である葵が言った言葉だ。
このセリフを読んで、男性同士の会話を聞いていて感じていたぎこちなさみたいなのはこれだったのかと腑に落ちた。
男性らしさの中身であるあれこれに縛られて、がんじがらめになっている人のつらさ。
それは自分の弱音やつらさを知覚することすらできずに胸のうちに巣食うあれこれを女性たちにぶつけているという哀しいライオンの姿があった。
ただ3人の結末がみんな自分に絡みつく、自分を蝕む男らしさを自ら剥ぎ取っていく様子は希望があって救われた。
直樹は取材で出会った専業主夫さん、実父とは決別し元妻の母の墓参りをした慎一、幸太郎は職場にいる男性アイドルが好きな綿貫さんと。
それぞれ連帯したり、行動を起こしたりしていて自分を縛り付ける男らしさから抜け出そうとしている。
男性は男らしさという尺度でジャッジされつづけている。これは女性もそう。
女性もありとあらゆる女性らしさで社会からジャッジされている。
ただ男性と女性の大きな違いは、それらで受ける傷について女性同士は互いに愚痴ったりしてケアをし合うことに対し、男性はそういったことをしないのではないかということだ。
そもそも男性はそういう傷つきや息苦しさを自分で認知できているのだろうか。
ただなんかもやもやするとか不満が募るとか、自分の感情の細分化やその感情がどこからくるのか分析できる人って少ない気もする。
自分が知らないだけなら申し訳ないけれど。
男性同士で弱い部分をさらけ出してなぐさめ合うこと、連帯することができるようになれば世に蔓延するマッチョな男性観に疲弊している人の力になれるのではないだろうか。
だって女性にそれができているのだから男性ができないわけはないと思う。
もちろん女性がそれでガス抜きができているからいいだろ、という話ではない。
凝り固まった『らしさ』に疲れている人、苦しんでいる人はたくさんいる。
日々そういう感覚に襲われている人ほど本作を読んでほしい。
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3人の男の仕事とプライベートのバランスの取り方。
タイトルのたてがみを捨てた~という程ではないかも。
つわりの妻がいてその中、自分は会社で二軍的な扱いの部署に異動になる。対して妻はバリキャリの一流企業勤め。
その妻に、主夫になって欲しいと言われる出版社勤務の直樹。
大手広告代理店勤務で離婚したばかりの慎一。
女は簡単に手に入ると思っている…そんなとき、両親が熟年離婚する。
公務員であることだけが唯一の取り柄であると思っている幸太郎。婚活パーティーで知り合った年上女性に振られてからアイドルオタク。
どの人も、現実感が薄く、どこかで聞いたようなキャラ。その仕事でありそうなキャラをくっつけた感じで、読んでいて特に引き込まれることもない。
唯一、出版社勤務の直樹がインタビュー中に話す
「家事や育児が問題なくできたとしても、仕事が人並み以下だったら男としては二流のような気がしちゃうんです。そういうのってわかりますか?」
この気持ちは、自分自身は男性ではないため、気が付かなかった。
そうなのか、男性はそんなふうに思ってるんだ…
反対に女性が当たり前に思っている感情も、男性には思いもつかないものがあったりするのかな…
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直樹、慎一、幸太郎、三人の男性の視点で順番に描かれて行く。
家事は得意だけど専業主夫にはなりたくない直樹
妻との気持ちのズレが原因でバツイチになり、自身の親も熟年離婚をする事になった慎一
アイドルオタで男女の付き合い方に悩む幸太郎
私自身の経験に当てはまる事もあり、共感しながら読む事が出来た。
夫婦関係を上手く保たせるには相手を尊重するとか思い遣る事なんかじゃなく、自分の考えは間違ってるかも知れないと疑いを持つ事!
まさにその通り。
そして男である前に人間であるべき。
プライドの象徴であるたてがみなんて刈ってしまえ!
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「男らしさ」「人から見た自分」「自分が求める自分」
もうじき父になる直樹
バツイチの慎一
アイドルヲタクの幸太郎
自問する三人の男性をかわるがわる描く。
スッとフェイドアウトした感じ。
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ハーと痛いところを突かれたため息が出ます。昭和のことを言うと笑われるかもしれないけど、登場する父母たちと同じ事してたんですねー。今から改心して家事しますか。遅いか。