投稿元:
レビューを見る
みんな大好き、ちびまる子ちゃんと仲間たちと一緒に名歌を学ぼう!
万葉集の時代から現代までの歌で小学生にも馴染みやすいと思われるものを歌人の小島ゆかりさんがピックアップ。
歌と詠んだ歌人、意味、ポイントのみならず、まる子ちゃんの漫画が楽しめる。
歌に関するコラム、雑学も載っていて豆知識が好きなひとにも目配せしている。
気になった歌
[東(ひんがし)の野にかぎろひの立つ見えてかへり見すれば月かたぶきぬ ] 柿本人麻呂
意味…東の野に、日の出前の光が見えはじめ、ふりかえって見ると、月は西に傾いている。
[春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる] 凡河内み(身に弓)恒
意味…春の夜の闇は、わけのわからないものだ。梅の花を闇の中にかくしてしまおうとするのだろう。色は見えないが、香りまではかくれるだろうか。かくれはしないよ。
[見わたせば柳さくらをこきまぜて都ぞ春の錦なりける] 素性法師
意味…見わたすと、柳のみどりと桜をまぜ合わせて、都こそ春の錦の織物のようだ。
[宿りして春の山辺にねたる夜は夢の内にも花ぞちりける] 紀貫之
意味…一夜の宿りをして(一泊して)春の山中に寝た夜は、夢の中にもさかんに桜の花が散ったことだ。
[桐の葉も踏みわけがたくなりにけりかならず人を待つとなれど] 式子内親王
意味…桐の落ち葉も、ふみわけて歩くのがむずかしいほど積もってしまった。かならずあの人の訪れを待っているというわけではないけれど…。
[あかあかやあかあかあかやあかあかやあかあかあかやあかあかや月]明恵(みょうえ)
意味…明るいなあ明るいなあ、ああ明るいなあ明るいなあ……、今夜の月は。
[蟻と蟻うなづきあひて何か事ありげに奔る西へ東へ] 橘曙覧(たちばなあけみ)
意味…蟻と蟻が出会ってはうなずき合って、何か事がありそうに走っていくよ、西へ東へ。
第一章自然の歌・季節の歌から引きました。
ちなみに第二章は心の歌。
やはり昔の歌はすらすら読めないので少しストレスだが、意味がとれて眼の前に風景や感情が広がっていく瞬間がたまらない。
一瞬だけ、その時代にタイムトリップして詠み人と目が合ったようにも感じる。
巻末には現代の小中学生の歌も載っている。
[一度だけ人の役に立ち捨てられるティッシュは雲になればいいのに]NHK全国短歌大会ジュニアの部入選作品 小学5年西尾彩那さん
[ハンカチで洗ったばかりの濡れた手を拭くときいつも優しい気持ち]若山牧水全国こども短歌コンクール入選作品 中学二年石垣来実さん
総ルビで小学生向けに作られたものだが、大人でも読み応え十分、というか、大変勉強になりました。小島ゆかりさん、ありがとうございました。