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第二次世界大戦敗戦後のベルリンの話。
なんというか当たり前だけど、重い。とはいえ幕間の戦時中の話が、話の行先はわかっているのに引き込まれる。幕間の暗い先の見えない暗さと、戦後の人探しの話が過去から地続きでずっと繋がっているのだけど、戦後と戦時中の人々の生き方の明るさの濃淡にくらくらした。
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プルーフいただいて先に読んでました。
個々の登場人物の過去とかエピソードとかはあの時代のベルリン、さもありなんってええ感じやねん。けとなぁ、いかんせん本線のストーリーが弱いかなぁ。黒幕の動機も今ひとつピンと来ず。前作の「戦場のコックたち」やと別に気にならんかったんやけど。
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なんていうか、すごかった。
(第二次世界大)戦中、戦後の話ってなんとなーく小説や映画で知識としては知っていたつもりだったし、学校でもそれなりに教育受けてたと思うんだけど、ドイツ国内がどんな様子だったのか、って全然知らなかったんだなって。
何より、普通の人達がそれぞれの環境によって、今第三者として見るとそれは普通におかしいでしょう、という事を正義と信じて突き進んで行くんだな、と、その狂気が怖かった。
自分には関係のない昔の、外国の出来事、ではなくて、今自分のいるここでも起こり得るんだ、むしろ既に起きているのかもしれないって事実が一番怖いしミステリーだった。
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第二次世界大戦末期のベルリンで、何が行われ、人々がどんな暮らしをしていたのか。それは教科書の中で、あるいはいろんな本や映画の中で知ることはできる。
その悲惨な、凄惨な日々を、二度と繰り返してはいけないとその度に思うのだけど。でも、それはいつも他人事で。
同じようなことが日本でも起こっていたわけだし、そのさして遠くない時代に自分も生きてきたわけなのだけど、それでも自分とは別の次元の、どこか接点のない「物語」のように感じてしまう、というか、感じようとしているのだろう、きっと。
戦争という狂気の中で、人は生きていくために鬼にも悪魔にもなる。魂も売るだろうし隣人も簡単に売る。そんな中でどうしても売れないもの、曲げられないものとはなんだろうか。
一人のドイツ人の少女が自分の命さえもかけて伝えたかったこと。
なにもかもが簡単に折り曲げ、捨てられ、失える地獄の中でどうしても守りたかったこと。
「あなたにはそれがありますか」と真っ直ぐな目で問い詰められているようで。
一気読みなんてできない。するべきではない。一人の人間として、しっかりと読みたい一冊でした。
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1 2019年最初の読了。年始に読もうと思って積んでいたんだけど、大正解でした。
舞台は1945年、連合国軍に降伏して大混乱に陥っているドイツ。ミステリ仕立てでありながら、出会い、言葉を交わす人々から戦争とナチスがどれだけ惨たらしく奪っていったかを描く戦争小説でもあります。
戦争については学校で習っただけの知識しかないのですが、戦争ものがとても苦手で、それでも最後のページまで連れて行ってもらえたのは、作者の祈りと物語の力だと思うのです。それは主人公アウグステがラストシーンで見た「光」からも明らかで、そのことをとてもとても心強く、頼もしく感じました。
両親を奪われたアウグステがイーダに託した希望もあっさりと踏みにじられる。それでも、失ったものの代わりに何かを守り、慈しもうとする心理がわかりすぎるほどにわかるからこそ、読者はアウグステと動揺に打ちのめされる。
怒り、絶望し、呪う。そんな激情を突き抜けた先の晴天のうつくしさに涙が止まりませんでした。
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大戦中、大戦後の東欧ものを書かせたらさすが抜群です。
逃げ場のない状況、理不尽さに耐えるしか無い人々の生活と感情。でもその中に一筋の光を信じて生きて行こうとする様は何作読んでも心に響きます。
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ベルリンを舞台に、ある少女の戦前と戦後が交互に語られる話。基本的にはミステリー成分低めだが、いくつかネタが含まれていて、ミステリーとしても成立している。いる。陰鬱な話だが、どことなく明るいのは著者の人徳か。本書執筆に多くの努力がはらわれたであろうことに、敬意を表したい。
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敗戦直後のドイツを舞台にしたミステリ。当時の歴史的背景がとても濃厚に描かれていて、凄惨な街の情景と重苦しい雰囲気が漂います。でも暗く陰惨なばかりではなく、新しい時代に向けて生き抜こうとする人々の逞しさが印象的でした。
アウグステとカフカの奇妙ともいえる取り合わせの道中はスリルがあって、愉快な面も。あまりに悲惨なそれまでの状況があるからか、逆に吹っ切れた感も漂う戦後の状況は、もちろん楽観的なものではないにせよ。ささやかな希望が感じられる気もしました。
事件の真相はこれまたなかなかに重いものではあったのだけれど。読後感は悪くはありませんでした。彼ら彼女らの未来が少しでも美しいものになれば、と思えます。
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山手線で読了して、ぶわわわわ!ってなってしもーた。
チャイルド44が陰だとしたら本作は陽だろうか。第二次世界大戦中、戦後のベルリン、悲惨な舞台設定に筋書きだけど、ヒロインや脇役の人間臭い描写で全編非常にヒューマニズムに溢れた作品。
とにかく圧倒的な事前調査や取材、そしてサスペンスプロットの割り切り方というか引き算のバランス感覚が秀逸な一作。
17歳女子のハードボイルド諜報活劇は、本当にハードでした。
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おもしろかった。がっつり読書をしたという感じ。ミステリと思って読むとあんまり得るもの得られない気がする、戦後ベルリンロードノベルというか、歴史エンタメというジャンルかなあと思った。あのときここに居たかもしれない、瓦礫の中でそれぞれを生き抜いた人たち。
遠い昔だけどベルリンの地理や町並みの記憶があるとオッここは…アッここも…といちいちくすぐられるのでまたよかった。きっとすごい量の取材の上に書かれた本。すさまじい執念でベルリンの街の様子や地理関係が描かれている。さすがに戦後すぐのベルリンのことは知らんけど、浮かぶものがあった。
登場人物たちのスピンオフが捗りそう。ブリギッテ2号のソウルジェムがバキバキになって魔女化するまでの話とかブリギッテ1号のその後とかヴァルターとハンスの奇妙な共同生活とかふつうにできそうだし書けるのでは?個人的にはブリギッテ2号の闇堕ち話めちゃ気になるけど
ミステリとしては甘いかなというのが正直 後半にかけて明らかに疲れてきてる…?という感じがしたし蓋開けてみてうーんこれかあ…と思わないこともない、ので、やはりロードノベルとして読みたい一作でした。
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初めは全く物語の展開が読めず、ナチスの戦争物
だと思い込んでいたが、最後の展開がいきなりで
戸惑った。
良くこの時代の歴史を細かく仔細に描写して
されていて感心するが、最後までミステリー
だとは思いも寄らなかった!
全体的に前置きが長く纏まり感が薄くなった事によって物語の深みが無くなってしまったのが残念だ。
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ドイツの友人達のことを思い出しつつ、泣きながら読んだ。私もエーミールでドイツ語勉強したから、アウグステに異常に感情移入しちゃったかもしれない。
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内容(「BOOK」データベースより)
総統の自死、戦勝国による侵略、敗戦。何もかもが傷ついた街で少女と泥棒は何を見るのか。1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4カ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅出つ。しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり―ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。最注目作家が放つ圧倒的スケールの歴史ミステリ。
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ひとりの少女の数日のストーリーが、終戦を迎えるドイツの過酷な状況の中で描かれる。外国小説と思う程の詳細な街や人の描写。ホロコーストやヒトラーなど、ドイツ戦線の小説はいくつか読んだが、ひとあじ違う焦点の当て方に引き込まれた。戦争を知らず、また異国の地の出来事をしっかり調べて書かれたのだと思う。かなりの大作でした。
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1945年7月のベルリンの話。
終戦直後のベルリンの描写に驚かされます。
時折挟まれる「幕間」の暗鬱さ、残酷さ。
きっと日本の1945年も同様だったのでしょう。
ミステリとしても、歴史小説としても、満足感の大きい小説でした。