投稿元:
レビューを見る
文庫化で再読。
巻末を見ると『谷崎潤一郎没後50周年記念作品』とあった。そういえばそんな企画もあったな……。
最初に読んだ当時は余り『谷崎っぽさ』みたいなものを感じた記憶は無いのだが、今回改めて読んでみると、根底で共通しているものがあるんじゃないか、と思った。何度か読んでみると新しい発見があるものだ。
投稿元:
レビューを見る
主人公の女性の周りで起こる親しい者の死。
その経験は彼女を打ちのめすが、どん底の中で彼女は夢を見る。新しい価値観を得る。
幻想的な小説。
もともとは短編。
投稿元:
レビューを見る
森先生はこういう作品好きだよなぁ。何物にも囚われない作風が——。谷崎潤一郎『細雪』を読めば、多少はわかるかしら…。難解すぎるわ。
投稿元:
レビューを見る
帯の文章から、赤目姫の潮解のような話を予想したのだが。
主人公の女性の名前は最後まで明かされないし、なにか薄いベールがかかっている印象。いつもの森作品のようにぐいと物語に絡め獲られる印象があまりない。
彼女の周囲でやたら人が死ぬので、途中読み続けるのがしんどくなった。それでも最後はすっと心に落ちていった。
生の実感が脳細胞の電気信号に過ぎないのとしたら、現実も夢も正気も狂気も違いはないのかもしれない。
作家の意図がそういう処にあるのかは、判らないが。
投稿元:
レビューを見る
本作は谷崎潤一郎没後50周年記念作品として銘打たれています。
谷崎と言えば、よくもあれだけ淫靡な世界を認知させたものだと感心させられますが、欲望に直線的なのでその世界観を受け入れていれば読み続けていけます。
それに比べて本作はオムニバスっぽく、情景も「風立ちぬ」かな?と思わせるようなところがあるので、谷崎の方向を期待すると違うと思います。
しかし、森博嗣だからこそ購入した立場からは、毛色の異なる作品が読めたという満足感が得られました。
投稿元:
レビューを見る
神様から躰をお借りしてたまたま人生があるわけで、自分というものは曖昧なもの。夢と現実も曖昧。生と死も曖昧。心が醜い人は躰も醜い。そんな感じで、全部が夢のようで、読んでいてずっともやもやしていた。
投稿元:
レビューを見る
読んでおいて、このように書くのはあれかも知れないが、何だかふわふわして掴みどころのない小説だった。
何が本当で、何が本当ではないのか…不思議な気持ちになる話だった。
主人公である"彼女"の周囲で、バンバン人が亡くなっていく話なのだが、偶然なのかなんなのか…でも、読み進めて行くうちに本当に亡くなっているのか…段々と分からなくなってきてしまって、自分自身が訳の分からない得体の知れない何かに絡め取られていくような気持ちになっていった……
個人的には、療養所から一度帰宅してからの、主人との日常をもう少しだけ見てみたいと思ったけど、あれくらいが丁度いいんだろうな。
表紙が素敵だと思って買った本だったが、先が気になりどんどん読んでしまったので、もう1回じっくり読みたい。
投稿元:
レビューを見る
私たちはとてもあっけないもので、
簡単に握りつぶされてしまう。
神様にも他人にも。
一生懸命溜め込んできたつもりだったのに、
最後にフタを開けたら空っぽだった。
投稿元:
レビューを見る
主人と家政婦との三人で薔薇のパーゴラのある家で暮らす「彼女」。彼女の庭を訪れては去っていく男たち。知性と幻想が交錯する衝撃作。〈解説〉喜多喜久
投稿元:
レビューを見る
夢と現実が交錯して、幻想的、詩的、叙情的。森さんが実際にアンプに凝っていた経験が生かされているのってこの作品なのかな?(出番は少しだけど)もっとスカッとした作品のほうが好きだけど、この物語では、気持ちが大きく動いたり人が死んだりしても、物語は静かに進行していく。静寂、凪みたいな。森さんは(書きたいものは特になくビジネスで書いているのだとおっしゃるだろうけれど)どちらかというとこういう作品の方が書きたいのかもしれないなと思った。
投稿元:
レビューを見る
親しくなっては次々に去っていく男達。身近な者達の死を何度も経験するうちに精神を病んだ「彼女」は現実と夢を放浪するようになる。夢の中での禁断の恋を描く恋愛小説の面を持ちながら「知覚と幻想」「生と死」という哲学的思考を辿る楽しさもある。
投稿元:
レビューを見る
身近で関わった男たちを次々に失い、現実から離れ夢の方へ自我が侵食されていく女の行く末。
名前も出てこず、容姿の描写もなく、殊更に悪女という訳でもなく、どこか旧態然とした箱入り娘が周りを破滅させていくことが不思議にみえた。
投稿元:
レビューを見る
現実とは何か。今自分が感じているものが本当に現実なのか、ということを考えさせられる本。
主人公の女性の周りの人が次々と亡くなっていき、彼女は徐々に精神のバランスを崩していく。そして現実と幻影の区別がつかなくなっていく過程を一緒に体験しているように感じました。
今自分が感じていることが現実なのか夢なのか、どうすれば区別がつくのだろう。そもそも何が現実なのか。
子供の頃に、寝る前の世界と起きた時の世界が同一であるとどう信じたらいいのか悩んだことを思い出した。
投稿元:
レビューを見る
人が死ぬ場面がいくつかあるため、ミステリ的内容かと思いきや、村上春樹の小説を彷彿とさせる展開に新たな森博嗣氏の才能を垣間見た。
投稿元:
レビューを見る
◆踊り狂う人々を見続けることが彼女には 多少退屈だった。◆
「動」と「静」が連なるこの冒頭の一文がとても印象的で、本作の持つ不思議な世界観を表しています。物語では主人公である一人の女性の人生が描かれています。この女性のもとに訪れる幾人かの男性たちとの出会いと別れのなかで彼女は何を感じるのか。現実と幻の境界が曖昧になり、どれが本当に起きた出来事なのか悩まされる物語ですが、自分なりの解釈で楽しんでみてはいかがでしょうか。