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誘拐モノ。便利屋のもとに,「夫の愛を確かめるために,「私を誘拐してください」という依頼がされる。物語の前半は,便利屋による誘拐。1991年当時の最新の通信技術を使った誘拐が展開される。伝言ダイヤルやダイヤルQ2を使ったトリックであり,今となっては,「これって何?」と感じてしまう。最新の技術を使ったミステリは,すぐに古臭くなってしまう…どころかわけがわからない作品になってしまう。
短編ミステリだったら,単なる誘拐モノになるのだろうが,この作品には続きがある。むしろこちらがメイントリック。便利屋に誘拐を依頼した「小宮山佐緒理」は,「津島さと子」であり,狂言誘拐ではなく,死体遺棄をさせるために,狂言誘拐を計画したという人物入れ替えトリックがメイントリックになっている。
便利屋による捜査のパートも比較的まとまっており,こじんまりとまとまった秀作といえるデキになっている。死体遺棄をするためにこんなことをするか?というリアリティの薄さはあるが…。★3で。