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[ 内容 ]
大坂の陣から二十年余りを経た一六三七年、天草四郎を擁するキリシタンが九州の一角で突如蜂起し、徳川幕府に強い衝撃を与えた。
飢饉と重税、信仰への迫害が乱の原因とされるが、キリシタンが「異教徒」に武力で改宗を強制した例もあり、実情は単純ではない。
本書は、戦乱に直面した民衆の多様で生々しい行動を描き、敬虔な信者による殉教戦争というイメージを一新。
民衆にとって宗教や信仰とは何であったかを明らかにする。
[ 目次 ]
民衆を動かす宗教―序にかえて
第1章 立ち帰るキリシタン
第2章 宗教一揆の実像
第3章 蜂起への道程
第4章 一揆と城方との抗争
第5章 原城籠城
第6章 一揆と信仰とのつながり
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一つにはこの歴史的事件の概略を知るに手頃な著作ということ。それ以上に、最後部で記される、近世初期の民衆の宗教意識について気づかされた。また勉強したいテーマがひとつ増えた。
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伴天連追放令の理由…1.宣教師による信仰の強制、2.キリシタンの行う寺社の破壊と僧侶への迫害、3.宣教師の習慣である牛馬の肉食、4.ポルトガル人による奴隷売買。
キリシタン弾圧の激化と乱の発生までの時間差の考察とか、当時の宗教観とか、キリシタン一揆に巻き込まれた住民とか、興味深く読んだ。
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2005年刊行。著者は東洋大学文学部教授。キリスト教徒の迫害殉教・為政者の苛斂誅求に島原の乱の発生根拠を求める通説に対する批判的見地から論を展開する。しかしながら、?は多い。著者がC教への反駁思想としてあげる「日本宗」だが、これを慶長19年の伊勢踊りにその民衆意識発生の根拠とするが、些か牽強付会に過ぎないか。仏教の宗派が神道や他の宗派と先鋭な対立関係は少なかったというのは理解できるし、乱時に仏教各派信徒が島原・天草に在住し、時に反C教主義であった点は否定しないが、余りに大掴みすぎないか。
また、天道=神道かの如き理解・解説もそれを所与の前提として論を展開している感なきにしもあらず。本地垂迹の解説を丁寧にしないと説得力を欠く。さらに、乱主導側が南蛮と連絡し後詰で期待していたというのはいかなる根拠でいうのか不明。一方、詳細な島原の乱の経緯と、同乱におけるC教殉教一辺倒への批判(もっとも、乱ないし一揆における宗教的紐帯の軽視という疑問は残る)、乱の動員が戦国期との類似性を持つ点、乱の推移にてC教信徒が仏教徒などを迫害した事実適示は興味深い。
また、秀吉・家康政権下のC教禁教令は、個別領国内において、為政者や地域により徹底度合が違う(為政者の個人的属性のみならず、住民統治にC教弾圧が得策でない場合も)点も同様。
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2018年には原城(天草四郎たちが籠城した場所)も世界文化遺産に指定されるのではないかと期待して読了。島原と天草に土地勘が無くても(私は長崎県南島原市出身ですが)、地図が冒頭についているのでそこは親切。
島原の乱が蜂起した理由が通説とは一致しないことを、多くの文献により立証しようとしており丁寧な仕事の本です。
ただ島原の乱の初心者が読むには大変ですね。天草四郎がなぜ首魁に持ち上げられたのかという理由が全く触れられていないのは残念
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天草四郎のカリスマ性と島原の乱を知りたくて読んだが、籠城に至るまでの平民の信仰心(身を守るための改宗)や大名の利益にページが割かれていたため自分の目的とは主題が違った。
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大分前に読んだ者の再読だが非常に深く勉強になる。宗教一揆なのかそうでないのか、これは色々解釈させて面白いと思う。再読したい。宣教師も一筋縄でいかない。大友宗麟は結構ひどいことをしているがこのあたりからある意味中世日本を宗教的に克服していく核としてキリスト教が果たした役割は大きかったのではないかなどとやや俗説めいたことをおもってしまった。