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<目次>
序章 「歴史」が足りない人は野蛮である
第1章 「温故知新主義」のすすめ
第2章 「歴史好き」にご用心
第3章 歴史が、ない
第4章 ニヒリズムがやってくる
第5章 歴史と付き合うための六つのヒント
第6章 これだけ知っておきたい、五つの「史観」パターン
終章 教養としての「温故知新」
<内容>
著者の言う「温故知新」は、過去にあったいろいろなことを学び(ただ先生から学ぶだけでなく、自らの意思で)、過去とは重ならない新しい出来事を新しい発想で対処しようとする、こと。
それ以外の批判が第2章以降続きます。ある程度納得。
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歴史に学べとはよく言う常套句だが、学び方にも様々ある。温故知新こそが肝要というのが本書の主張だ。
過去を美化しすぎたり、逆に矮小化して発展史観の具としたり、はたまた運命論のごとき諦念の材料とすることは筆者に言わせれば教養ではないのだという。過去は繰り返さないし、そこに理想があるわけでも、古代生物のような未発達なものがあるわけではない。過去の人物が今生きていたら世の中は変わるという発想も実はいろいろな手続きを飛ばした幻想だという。
言われてみれば当然なことであり、私たちは歴史に今を考えるための類例を求めることで、対処の方法を探るべきなのだ。決まった答えはないし、過去を学ぶことで余計分からなくなることもあるかもしれない。それでも歴史を学ぶことで場合によっては最悪の危機から逃れるための手段になるかもしれない。
本書は歴史学者とか哲学者とかがそう簡単には言えないことをさらりと言ってのけているのが痛快だ。ディテールを追究すればするほどかえって分からなくなることがある。時にはひいて構えることも必要だろう。本書はそんな本である。
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むちゃくちゃ面白かった。『未完のファシズム』や『近代日本の右翼思想』を読んでいたので片山さんの考え方はある程度わかっているつもりだったが、こうした構えで歴史と向き合えばいいのか、と自分を省みるきっかけになった。
多くの主義(「啓蒙主義」や「復古主義」など)、史観(「右肩上がり史観」や「懺悔史観」など)に言及しながら、荻生徂徠を持ち出し「温故知新主義」を提唱する。僕は保守主義的な構えで歴史に接している自覚はあったけれど、その弱点も教えてもらえた。
主義も史観も相対化させないといけない。歴史に正解はない。絶対を信奉してしまう「特定歴史真理教」に陥らないように歴史を学ばないと、学んだことが害悪になりかねないとも思った。
■歴史という教養/ 片山杜秀
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歴史を知っても先が見通せるわけではないが、歴史の中から現在の状況の類似例を探し、できる範囲で対処することはできる。
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歴史に学ぶ、とはいうものの
自分に都合良く歴史を扱いがち、
その類型が保守主義だったり、ロマン主義だったり、
という分析はなるほどと思った。
英雄中心史観ではなく、
スパンと主語、視点に自覚的に歴史を見る
大切さを感じた。
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日本社会は、長いものにまかれろ、勝ち馬に乗れ、的な「勢い」史観で動いているんだろうなぁ、とがっかりすると同時に反論できない説得力をもって、感じさせられた。歴史とか教養というと、日常生活とは一歩離れたところにありそうな印象がある。でも本書を読むと、そうではないと思う。勢いとか、流れにあらがいにくいからこそ、一歩踏みとどまって、そこから先に進んでもいいか?と考えるだけの知性は必要だ。そのとき、決して予言にはならないにしても、考えるための手がかりになってくれるのが、歴史とか教養なんだろうね。ちょっと難しかったけど、深みを感じさせる内容を、詩のようなリズムのある文章でわかりやすく観させてくれたと思う。内容をきちんと自分のものにするには、もう二、三回読まないといけないだろうな、なんて思うところはあったけど(苦笑)。
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最初にざっと読もうとしたときは、面白いのは序章だけかな〜なんて思ったけど、本腰入れて読もうとするとためになる。
・「アウシュヴィッツ以後、詩作は野蛮である」
テオドール・アドルノの箴言
・アウシュヴィッツは究極の合理主義だった。それはソ連にとってのシベリア的なるものであり、強制労働空間だった。
映画でも強制労働させられてるシーンをわりと見ていたはずなのに、テキスト化されてようやく理解できた…。
・ルイ・オーギュスト・ブランキ
19世紀のフランスの革命家。フランソワ・バブーフの影響を強く受けた。共産主義の始祖とも呼ばれる。
1830年はシャルル10世を倒した七月革命にブランキあり。1839年には「四季の会」クーデター未遂事件にブランキあり。1848年にはルイ=フィリップを倒した二月革命にブランキあり。投獄を繰り返される。
共産主義の革命の理屈はマルクス、戦術はブランキ。
のべ30年以上も牢獄に入っていた結果反復主義者に。
「反復主義」とは、疲労して感覚の摩滅した人間の堕ちる「近代の地獄」なのではないか。この地獄とはニヒリズムの地獄。
・ポピュリズムの政治家は民衆の人気を取るために政治内容を想像し、支持を失えば平気で手のひら返しをする。
筋の通った個人の思想の実体はない。ポピュラーによって作り上げられるのがポピュリズム政治家。独裁者とはまるで違う。逆に民衆によって操られているともいえる。
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なぜ歴史教育が必要なのか。ただの歴史的事実を知ることが歴史教育ではない。歴史は繰り返す、という史観のもと過去を学ぶ姿勢を否定している。その背景に見え隠れしている思想を理解することで過去を背負い、新しい歴史を歩んでいくために我々は歴史を学ばなければならない。ということに気付かされた本。実際に今まで世界史上で登場した様々な史観、思想を丁寧に解説し、筆者自身が新たに定義した温故知新主義を説く
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文字通り、歴史という教養について語った一冊。
内容以前に、言いたいことがよく分からない感じだった。