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18/09/30読了
学校のスターとバンドを組んだスターでない男子の話。
スターはそんなふうに余裕を持って人を見る
その程度のことを悟るのに、二十二年もかけはしないように
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高校三年生の時にバンドを組んだメンバー野本、壮介、君香、昌子、信明。
40歳直前の夏の終わりに、ボートの事故に会い、壮介が亡くなった。…
主人公の野本は、淡々と生きる男で、スターではないと言いながらもかなりモテいた。
一方ずっとスターだった壮介には、少しずつ見えてくる負の部分があった。
そんな2人の君香を巡る三角関係の結末は、著者の作品のファンとしては、あまり望んでいたものではなかったです。
著者の作品の描くいつも通りの主人公なのに、最後に少しだけ怖いと思わされました。
悲しい結末でした。
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青年期から中年までの5人の友情を描いた作品。
決然たる四十歳・現在
純然たる十八歳・八月
断章・車
雑然たる二十代・二十一歳
断章・湖
騒然たる三十代・三十一歳
断章・死
決然たる四十歳・現在
純然たる十八歳・九月
雑然たる二十代・二十五歳
騒然たる三十代・三十四歳
決然たる四十歳・現在
純然たる十八歳・十二月
雑然たる二十代・二十九歳
騒然たる三十代・三十八歳
決然たる四十歳・現在
純然たる十八歳・三月
雑然たる二十代・二十九歳
騒然たる三十代・三十九歳
決然たる四十歳・現在
高3になってバンドを組み、初めて文化祭でライブを行った野本了治バンドの面々。
野本了治、辰巳壮介、榊信明、小出君香、萩原昌子の5人は、互いに恋愛関係にありながら、大人になっていく。
しかし40歳で出会った時に悲劇が起こってしまう。
それぞれの年代を回想形式に辿りながら、悲劇の真相を構築していく。
行ったり来たりの回想をしていくのが面白い趣向の作品。
人間の暗い部分の境目が終盤明らかになるまでの助走。
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親友は死に、僕が生き残った。夜の湖で。愛する女性の前でーー。
生徒会長の信明、副会長の昌子、イケメンで元バスケ部のエース壮介、美しい君香、そして了治。高3の夏、5人で組んだバンド。楽しかった。親友だった。彼らはスターだった、たったひとり僕を除いて・・・
主人公了治の劣等感。好きな相手への伝えられない思い。憧れ、だけど一生かなわないと諦めた親友への隠れた本音。18歳、20代、30代そして40歳の今を、4つの時間軸を行き来しながら描く青春の輝きと残酷さ、年月を経て明らかになる昏い感情。
了治の自己肯定感の低さはどこから来るのだろう。勝者敗者という物差しで人と人の関係を測るからだろうか、決して暗い青年でもなく、十分に恵まれた環境にあるにもかかわらず、自分以外の人間に対し必要以上に卑屈。
爽やかだけど苦々しい、よくある青春の思い出を描く小説のように見せながら、最後に冒頭の湖での事故へと話が追い付くとき、了治の昏い思いが際立つ。
「夜の側に立つ」というタイトルにも最後で納得。
初小野寺史宜は、読みやすく泣かせるところもありながら、最後にずしんと重いものを渡されたような読み応え。そう思って見ると、表紙も暗示的。
了治はそれで残りの人生に満足できたのかな・・・
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自分のことをそれなりと思っている主人公と
その人柄に惹かれていく周りの人々(そいつらは一軍)
自分の評価と他人の評価が合ってないから
少しだけ不運
自分なんかはちっぽけだから
周りがどう楽しんでくれるかに気を回すが
その気を回すのがうますぎても結局人から恨みは買う。
どうやったってうまくいかないなら
大事なものは手放しちゃいけない
手に入らないと自分に暗示をかけて逃げちゃいけない。
大事なんでこの日々が続けばいいと思いますと伝えなきゃいけない。
そんな簡単な事に22年かかった男の話。
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好きです(*^^*)
寝ようと思ったのに、先が気になりすぎて明日も仕事
なのに睡眠時間を90分削りましたw
のんびり主人公は最後にやっと大事な人に告白出来て
よかったねー壮介は死んじゃったけど...
まわりに見本のような人がいっぱいで、恵まれてましたね。
口で言わなくても態度で示せる人たちばかり。
ボーっとしすぎて童貞も奪われたかw
あれは隣のおばさんが悪いわな。
オールスターに囲まれてても
ちょっとくらい高校生なんて「俺いけてる」って
思いそうなのに、ほんと落ち着いてるというか冷めているというか。
でもなんか分かる。
っていう年代に自分もなんてきたんだね
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37今までの青春バンザイって感じを脱して生きることの意味と、抗う勇気が見えてきて爽やかな作品でした。まあみんな頑張って!という感じですね。
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野本了治の十代、二十代、三十代
そして、四十歳の現在。
四つの時代を行き来する。
了治は3つの悲劇に見舞われる。
P59
〈振り返れば、明らかな転機もいくつかあった。
それがなければ何かが変わっていただろうと確信できるような転機だ〉
でも、あの出来事は転機ではなく悲劇だ。
夜の湖で親友(壮介)は死んだ。
悲劇は、出来事(見えるもの)だけではなく
内面のどうしようもない悲しさも悲劇だと思う。
P205
〈だが忘れたいことは忘れないのだ〉
これも悲しいこと。
徐々にそれぞれの輪郭がはっきりしてくる。
了治も、壮介も、残酷なのか、優しいのか。
はっきりさせる必要もないのか。
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今までとは違った雰囲気の内容、秘密を持ってる君、ずっと好きだった君、どこかコンプレックスを持ってる君、妬んでもいたのかな、そんな内容に感じました。君は助けられたんだよ、と私なりに解釈。今回ほのぼのとは言えないけど小野寺ワールドに引き込まれてしまう。
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その時は大きな出来事も、時が過ぎれば小さなことで、そんなことを気にして生きた男の人生。
高校のときに結成したバンド・メンバーの一人が亡くなる。事故として処理されているが。。。
その真相よりも、心理描写、見せ方が上手いので男の半生に見入ってしまう。
誰にでも夜の側に立つ可能性はあると思う。
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私も30年くらい昔、王子駅で線路に落ちた人を助ける為に線路に降りたことがあった。 もっとも『前の駅を出ました』という警告灯を確認してからのセコいダイビングだったけれど…(笑)。
そのあとその方がどうなったのかの報告もなかったし、それを機に駅職員になった事もなく(笑)、その件で特に表彰されるようなことも無かった。
まぁ、別にそんなものはあの時の私に考える余裕はなかったけど、でも頭の中は至って冷静で、側にいたカップルの男性に協力をもとめたり、女性には駅員を呼びに行って貰ったりと緊急時にも関わらず、充分に生還の勝算はあった。
ただ自分の子供が同じシチュエーションになった際には線路に降りないで済む対応をして欲しいのも本音。
ちなみにその時線路に降りた途端、くだんの警告灯が点灯したのには少しビビった(笑)。
さて、線路だけに長い脱線はここまでで…。
物語は前半、世代は変わってもただただ被害者タイプの主人公の目線で進んでゆく。
無意識に自分が何をするかでは無く、何をされたかに主眼を置いて生きてしまう人。
結果的には未遂に終わるけれど、そういうタイプの人が何かのきっかけで急激に能動的になると至極極端な行動に出てしまうと言う、私や貴方はネガティヴかポジティブかを問うお話に思えた。
『ひと』と同じ文脈で進んでゆくものの、その実全く逆のベクトルの小説だった。 でも主人公は決して悪人ではない!
結びに
この小野寺さんという方、遅咲きかも知れないけれど近い将来、文壇を席巻される様な寵児になり得ると思います。
今のインチキ臭い大御所たちより、よっぽど丁寧に作品に向き合っている。
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高校時代にバンドを組んでいた5人の仲間たち。40歳のある日、仲間たちは集まり、事故で壮介は死亡する、
常にスターだった仲間たちに囲まれた主人公の了治の心情を時間軸を過去と未来を往き来しながら、描いていく。
うまく立ち回れない若い頃のもどかしさ、せつなさがそこにはある。
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続けて読んだ小野寺さん、似た様な主人公だけど、今回も又引き寄せられグイグイ読まされてしまいました。
小野寺さんは、いちばん書きたかったことはと質問されたら、『夜の側に立つ』は、なが~い青春、のおわり、ではなくて、なが~い、青春のおわり、を描いたと話しています。インタビューの微妙な答えに戸惑いながら、私なりの感想を残します。
了治は、長い時間をかけて、残酷にして誠実な青春の残滓を飲み干し卒業していったのではないかしら。
高校時代のバンド仲間たちが、野本了治の目を通して、年代を行きつ戻りつしながら40代まで描かれています。了治は自意識過剰気味な若者ー、自己評価が低いのは隣人との奥さんとの初体験も影響していると思われました。了治は高校3年生で(家族が留守で鍵を持っていなかった)隣の奥さんに家で雨宿りをしたらと誘われあれよあれよてなことになってしまった。いわば了治はセクシャルハラスメントを受けたのでした。後々に了治の母親が亡くなり、彼女が父の再婚相手となる衝撃的な展開となりますが、彼女はそのことを父親に言うべきかと了治に相談、そこで彼女は合意の上だったような言い分けめいた説明! 夫が浮気やDVDを繰り返していて精神状態がおかしかったとはいえ、相手は未成年者だったんだぞ。さらりと描かれているだけに許せません。好きだった君香に告られて嬉しいのに、了治は自分が薄汚れていると思って拒むのです。それがなかったら、君香との恋はもっとスムーズに行き、君香と壮介の結婚もなかったのでは? 了治がその後に会う女たちとのもめ事も回避されたような気もする。
うまくいかない人生ー。
紆余曲折あり、了治はやっと青春の残滓から卒業できてほっとしました。人は誰でも「夜」の部分を持ち合わせ、「昼」の陽とやりくりしながら生きていて、それを許し合いながら生きているのでしょう。不運なボート事故、一瞬了治の心に殺意がよぎったのが「夜の側に立った」ということかも?!
お坊さんのような風貌の小野寺さんを見て、若いのに達観されているようにも感じます。しばらくは小野寺さんの作品はお休みします。
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日経夕刊で北上次郎が推奨してた全く初めての著者。高校3年の文化祭に向けてバンドを組むところから始まり、5人のメンバーのら成長に合わせて友情や恋愛、仕事がいろいろ絡んだり絡まらなかったり、40歳までの軌跡を描く。
主人公の野本了治の雰囲気(家族含む)とか団地の近くにある高校とか、母校の都立高校(特徴のない当時の新設校)を思い出させる。主人公含めて人物造形には深みを感じないけど、それが逆にリアリティを出してるかな。
ストーリー展開と時間軸をバラバラに並べてる構成はとても効果的。先が気になって、どんどん読み進める。
主人公の家族が仲良すぎて気持ち悪かったり、隣の奥さんとのエピソード(けっこう強烈)の後始末の仕方など気になる部分もあるけど。野本了治バンドの演奏や蓮見計作(飜る蛭蛙=ひるがえるひるがえる)の音楽がもっと魅力的に聴こえてくればいいのにな。
スーパースター壮介のダークな側面と呼応するようなラストは見事な着地。他の著作も読んでみたくなるな。
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目の前で友人が亡くなってしまったら、ずーっと気になって仕方がないよな。
その気持ち悪さがずーっと続くなんて。