紙の本
結果の分析が大事
2022/02/11 16:53
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投稿者:じゅんべぇ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この戦乱の結果として、室町幕府が現実的な仕組みとなり(仕える武士にとっては)「努力が報われる」仕組みになったことが分析されている。
理非糺明の仕組みが理不尽とは思わないものの、当時の状況を考えるとスピード感含めて、致し方ないやり方なんでしょうねぇ。
勝因と敗因に「気概」という評価がされてたけど、これはもう完全に当事者しかわからないし、当時にタイムスリップしてもわからないだろうから、そういう見方もあるのかー、と思えばよいと思う。
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室町幕府自体が歴史の授業の中でも影がうすいこともあり「観応の擾乱」自体知りませんでした。
室町幕府と言えばあまり成熟していないイメージでした。
がこの戦いの中で自己改革をしていたんだと初めて知ることができました。
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「応仁の乱」と同じく、何となく知ってるけど実は顛末をよく理解していないけど興味ありますトピックが、じつによく分かった。実は尊氏がここまで追い詰められていた事も、さらに直義直冬が見る間に「逆転負け」して行った流れも納得。
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「応仁の乱」がベストセラーになるなかで、さらに地味なテーマを投入してきた。さすがは中公。日本史好きは泣いて喜ぶね。
人気や知名度はいまいちだけど、将軍と弟の対決、父と子の確執、裏切りを次々と繰り返す家臣団、第三勢力としての南朝、奥州から九州まで広範な舞台……と話題には事欠かない。ここまで要素を詰め込んでおいて、どうして人気がないのか。
読んでて思うのが、兵を動かすこと戦闘を行うことの感覚が、現代とは全く違うんだな、ということ。簡単に挙兵して、簡単に寝返る。寝返っても再び帰順すればすぐ許される。交渉のちょっとした駆け引きくらいの感覚っぽい。幕府といえども絶対的権力・軍事力を持っているわけでなく諸勢力との関係で成り立っていることの表れだろうし、すぐに沸騰して喧嘩っ早いという中世日本人のメンタリティもあるだろう。
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室町幕府初代将軍の足利尊氏と、その弟直義。足利家の執事として最初期の政治を仕切っていた高師直。鎌倉幕府から建武親政を得て室町幕府に至る最後の動乱(観応の擾乱)について書かれています。この勢力が勝ったり負けたりと激しく争うのですが、なぜこれほどまでにややこしい状態になってしまったのかが、紐解くように理解できます。尊氏の政治への執着の低さといってまとめてしまえるのですが、それも含めて一人の人間も、その都度で変化激しいというところが、リアルに現代の自分でも理解できるところがありました。
理非糺明は訴訟の基本として当然というのが常識ですが、それが鎌倉幕府の弱体化に絡んでいて、室町幕府では訴訟の簡素化という目的に向かって一方的に裁可する形になります。そしてそれを多くの人が喜んだというところ。今の日本の政治や会社の組織からみて、学ぶところがあるのではないかと感じました。
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最近、ふらっと書店に行って、新書のコーナーで話題の『応仁の乱』(呉座雄一著、中公新書)を見ていたら、その近くに、同じ室町時代でも、初代将軍足利尊氏とその弟の直義の争いを描いたこの『観応の擾乱』が目に飛び込んできました。その昔、大河ドラマ『太平記』を見て感動し、現代語訳を読んだ記憶があり、気になった(特に、実力がありながら敗れた直義の有り様)ので、こちらの方を購入し読むことにしました。
読み終えての感想は、「濃密」。普通、新書だと学術的なものでも比較的読みやすいのですが、鎌倉幕府の統治制度の多くを引き継ぎ参考にした室町幕府の説明(「創造」と「保全」で尊氏と直義の権限の説明をしたのは成程と思った)を詳細に行い、情勢の目まぐるしい変転と離合集散を克明に描き、且つ最後に総括を行う。分厚いハードカバーの学術書を読んだような気分がしました。しかし、尊氏と直義双方がこの争いに当初から消極的(直義は最後まで)だったのは意外でした。確かに、筆者の言う通り最後は気概の差で尊氏が勝利したと思うのですが、私は、二人が基本的に「理想」に重きを置くような人物で、戦闘「欲」の強そうな義詮や領地の所有「欲」に執着する各地の武将に引きずられるように争いが推移し、最終的に尊氏が自らが弟直義とともに築いた幕府に対する執着という「欲」に気づいた尊氏が本気になって決着した、という『欲の勝利』がその心理的本質だったのではないか、と思いました(もしかしたら、それが戦争そのもののにおける本質なのでしょうか?)。
ただやはり、それでも、制度や争いの推移、あと各武将の関係性など複雑でわかりにくかったのは事実です。『日本史年表・地図』(吉川弘文館)があると理解の手助けになるか、と思います。今度は、改めて『応仁の乱』に挑戦します。
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大河ドラマ「太平記」を思い出しながら,読みました。
あまり知識のないところでしたが,非常にドラマティックな内容で,面白く読めました。
本当によく分からないのが,尊氏が実子の直冬を疎んじた理由です。
尊氏の直冬の扱いが酷いからといって,それを周囲の者が不満に思ったことが観応の擾乱の原因の一つというのも,いまいちピンときませんでした。
この点については,今後,研究が進んで,新たな知見が発表されることを期待したいです。
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ここ数年、日本史のなかでもっともダイナミックで興味深いのが「観応の擾乱」だ。何せ勝者と敗者がころころ入れ代わる。裏切りというか変節が当たり前の時代で、群雄の離合集散っぷりは凄まじい。
足利家の内訌と天皇家のそれが相俟った結果なんだろうけど、この戦いを経ることで室町幕府は鎌倉体制から脱却できたのだろう。
足利直冬の実力を評価していたのは新鮮だったな。笑っちゃったのは尊氏が直冬を嫌った理由。生理的なものとしか言いようがないという。つまり分からない訳だ。
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”応仁の乱”がヒットしたからか?
と勘ぐりたくなるような本書だが
かなり面白い内容だった。
本書で幕府の争いの方はそれなりに分かったつもりだが
朝廷側がまだ分からん!
とりあえず”南北朝研究の最前線”読み返そう・・・。
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呉座勇一の「応仁の乱」が流行ったところへ、本書が出てきた。柳の下の二匹目のドジョウを狙ったのかと思ったが、企画のタイミングからすると、そうでもないらしい。いずれにせよ、これまであまり注目されてこなかった室町時代についての本・情報が増えるのは良いことだと思う。
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歴史の授業でも、建武の新政から義満にさらっと飛ばされる時期なので、よく知らなかった。
本著は、平易な言葉で書いているので、とても分かりやすい。
そもそも直義と師直の不仲の原因と、尊氏が直冬を嫌ったのか、が少し分からない。
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日本の中世で(ひょっとしたら通史でも)2大訳の分からん争い(もうひとつは当然、応仁の乱)とも言うべき、「観応の擾乱(“じょうらん”と読みます)」の解説書。
あ、でも、とりあえず足利尊氏、直義、義詮、直冬、高師直あたりを押さえとけばいいので、応仁の乱よりシンプルかも?
ようするに上記武将が同盟したり敵対したりを繰り返しながらふたつの朝廷とくっついたり離れたりに終始した一連の戦いのこと(文字にすると余計に分からんなw)。
その他の武将は自己都合全開で、どれかに味方していたので、マニアでなければスルーしとけばOKです。
今も派閥争いに明け暮れている人たちがあちこちにいるけど、人類は600年前から進歩してないっすね(諦観)。
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「応仁の乱」の二番煎じかと誰しも思うだろうが、なかなかどうしてこちらの方がより知らなかった分、余計に面白かった。
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南北朝時代の本を多数執筆している研究者による入門書。充実した内容ながら平易な言葉で書かれ読みやすい。フォーカスしたわずか4年での離合集散が激し過ぎで、この人いま何派?と確認しながらの読書になったけれど、主要人物については最期に寸評があるので、ページを戻さず一気に読めばよかった。尊氏、師直の戦上手ぶり、道誉、桃井直常と仁木兄弟の生き様、著者の訴訟にかける時間論が印象に残る。唯一腑に落ちなかったのはきっかけとなった足利直義と高師直の対立原因。新資料が出るのを待つ他なさそうだけど、何れにせよ根本は尊氏の二人への依頼心だと思う。
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私にとってお城巡りの醍醐味は、その場所で時空を超えた感慨を味わうことです。650年以上前の時代、結果的には主流派となったタフな室町幕府初代将軍足利尊氏と二代義詮が反主流の尊氏の弟の直義、尊氏の庶子直冬の争いに、高師直や佐々木道誉などに南北の朝廷を交えた主導権争い。
この時代「あれ、あなたは尊氏派?」とか「今から南朝に参加ですか?」のオンパレードです。学生時代に私本太平記の文庫本を楽しく読んだ世代としては馴染みの世界です。特に兵庫県在住者として恥ずかしながら初めて登城した、尊氏が抜けなかった光明寺や、義詮が留まった石龕寺は要害の地にあり、当時を創造するのに絶好の地でした。また書写山や石清水八幡宮も今ではロープウェイやケーブルカーでお手軽ですが、籠城するには最適地であったと思いました。
それにしても京都を守護することは戦術的には愚作であることも改めて認識しました。
本書で充分に時空の旅を楽しめますが、一読では難しいところもありましたので、再読すべく太平記の横に並べて置きます。