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ゴールデンウィーク最終日。
明日からの仕事に腐っていた私は、出来る限り「今日」を引き延ばそうと必死で商業漫画を電子書籍販売サイトで買い漁っていた。
ふと、別の作品を読んで気になっていたこちらの作品を検索し、私は逡巡していた。
お値段が1000円を越すではないか。
ページ数が通常180ページなどで600円代がザラな商業漫画において1000円。
ページ数、驚愕の400ページ越え。
1000円あればコンビニ弁当3つは買える。…いや、自炊しろ、と。
明日からの仕事で自暴自棄になっていた私は、少しでも長く起きていられるのなら構わない…といった自暴自棄な気持ちも後押しし、購入に至ったわけである…が
200ページくらいまで読んだところで、強烈な後悔が襲った。
無論、買ってしまったことではない。
電子書籍ではなく、書籍媒体で買うべきだった…といった類の後悔である。
というのも、吹屋先生の絵。
とにかく好きだ。
うまいのはまず確かだし、背景もどこまでご自身で描いてらっしゃるのかはプロではないのでわからないが、とにかく、剣客たちの挑戦的な表情だったり、馬だったり刀の鍔だったり、路傍の石、色々なものが活き活きとしている。
うまいを軽く超え、力がある。
好き。
これは紙媒体で…キャラクターが立ってる砂利道を思いながら紙のザラザラ感を指に感じ読みたかった…といった類の後悔が私を襲っていた。
(無論電子書籍でも全く問題ないです)
また、ストーリー。
幼少期に手塚治虫の火の鳥で、惹かれるもの同士戦うときは本当に殺しあってほしいという、過激な情操教育を受けていたあのころの野蛮な血が騒ぐ。
近年のイチャラブカップルを見てにへらにへらしてた自分はなりを潜め(イチャラブも良いものです)
そう、死合うとはこうでなくては…と、血が冷え、指は震え、先のページを急ぐ躍動感…
BLというのを途中途中忘れるほどの剣による情交、因縁、剣筋の先に残ったもの…を見せられたという感じ…
もちろんBLとしても満足度が高く、別作品(桜花)も以前に読んでいるのだが、こちらの作品も受けが圧倒的に血生臭く鬼神の如しなのに、エロいし、たくましいし、美しいし、かわいいし、どんだけ搭載してるの?というくらい積んでいる点に喝采を送りたい。
また、わんこ的な笑みがこぼれる攻め。
脱ぐと圧倒的に身体の厚みがある感じや、ただのわんこ属性とかではなく、感情の、とくに後半の感情の動き方が等身大の人間らしくとても素敵です。あと、父絡みの伏線をほぼほぼ回収してくれるので安定感がある。
おりうさんがいい人すぎるのがちょっと個人的に気にはなりましたが。
6年かけて作られた大作も大作を3時間で読みきってしまうという圧倒的背徳感。
買う前は戸惑っていたお値段と厚さも忘れ、
え?1000円台で?こんな充実感を?得てしまった?という事実にもはや恐れ多さを感じ、
震える。
明日から仕事頑張ります。
ありがとうございました。