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文庫が出たので再読。1回目に読んだ時、とーっても気味が悪くて怖くて、寝付くのが大変だった…そんな衝撃を受けたので、2回目、内容も忘れかけた頃なので楽しみに読んだけれど、再読だからか衝撃が少なくてサラッと読んでしまいました。。。初読が楽しい本なのかもしれません。
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文庫本裏表紙の説明が間違ってることにかけては☆三個引いてもいいくらいだな。文章は分かりづらいけど、心情は分かりやすい、素直で普通な物語。ひかりの方はハッピーエンド。
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好き好き村田沙耶香さん五冊目。
どの本を読んでも、印象的なことば使いやシーンが必ずあって引き込まれてしまいます。(以下、例〜)
・「アカオさん」←!!!
・愛菜ちゃんが崩壊するトカゲのシーン
・彼に「安全な席を確保するため」始発で学校に向かう主人公
あとがきの人も書いてるけど、健全すぎる蛍くんも相当な人だよね。(となると、わたしの愛するしろいろ〜の伊吹くんも実は結構やばい人なのかな…)
あと、村田さんの小説によく登場する「私だけの歌を唄う」みたいなことが、わたしにはまだ理解できずにいます。主人公たちより、ずっと歳をとっているというのに!
あとあと、前に「本の雑誌」のインタビューで村田さんが好きだと言っていた本に空気感が似ている部分もあってそれもおもしろかった。
小川洋子さんの「妊娠ダイアリー」の姉と、「ひかりのあしおと」の愛菜ちゃんの気持ち悪さとか。食欲に対する捉え方?とか。
山田詠美さんの「ベッドタイムアイズ」のスプーンにとっての銀色のスプーンと、「ギンイロノウタ」の主人公にとっての指揮棒とか「授乳」の中のぬいぐるみに依存してる女の子とか。
気づけばまわりの音が聞こえなくなっているくらいに読ませる、村田沙耶香さまの文章が大好きです!!!
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表題作+1編。
どちらも書き出しからして秀逸すぎる。作品の持つエネルギーとか不穏な雰囲気が、出だしの一言からしてもうぷんぷんと匂い立っているようだ。
特に「ひかりのあしおと」の方の、「熱気が今にも破裂して、私をずぶ濡れにしてしまいそうです。」という一文。「熱気」が破裂して、私を「ずぶ濡れ」にしてしまうのだという。
全く肌触りの異なる2つの感覚が、いかにも当然の如く、しれっとした顔で並んでいる。こんなに気持ちの悪い一文で始まる小説を、たぶん他に読んだことがない。
少女たちを激しく捉え、病的な、狂気的な行動に走らせるその幻想の根底には母親の存在が深く絡んでいる。
いつまでも幼い少女のような言動で、周りを「見守る者」に仕立てあげてしまう誉の母親。夫や世間の目を異常に気にして、裏返したみたいに顔色を、態度を変えてしまう有里の母親。
「エディプスコンプレックスの克服」ということが物語のテーマにあるのかもしれない。有里が「ステッキ」に異常な執着を抱き、それを思い浮かべて自慰をする、というくだりは、フロイト的に言えば「男根願望」の表れであり、ユング的に言えばステッキは集合的無意識的な男性器の比喩なのだろうか、とも思った。
簡単に言えば、2編とも、少女が幼いころの幻想を克服して、思春期から次の世界へ続く「扉を開く」瞬間の物語、とでも言えるのだろう。
2編とも、(一応は)その幻想を克服した(ようにもとれる)場面で終わる。
けれど、二人の人生が、これからも乗り越えるべき過去や、幻想、コンプレックス、幾つもの試練で満ち満ちていることは想像に難くない。
思春期というステージにこの成長課題があったように、少女はこれからも幾つもの課題を克服して大人になり、子どもを産み、育てていくのだろう。
女性の人生は戦いだ。
男では、到底太刀打ちできない。
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久しぶりにすごい小説を読んでしまった…。
表題作「ギンイロノウタ」と「ひかりのあしおと」の2編がおさめられている。
どちらも女性が成長過程で抱く鬱屈した思いを描いている。けれどおそらく、すべての女性が共感できるようなものではないだろう。
作中でも言われているように「気持ち悪い」と感じる人すらいると思う。というか大部分の人がそうだと思う。
ただ、一部の人は「共感」とまではいかなくても、ほんのりと「ああ、この感覚、わかるかも」とどんよりした気分になる。私もその一人だ。
「気持ち悪い」と思うけれども、こういった面が自分の中にあるのを私は知っている。ただ嫌悪するだけでは収まらない、見ないようにしている、あるいは忘れていた部分を思い出させられるような気分になった。
2つの物語、両方とも、ラストはどこか救いさえ感じさせる。
けれど同時に、どうしようもない救いのなさ、も感じさせる。
なんとも評価のしにくい作品。少なくとも、人には薦められない。
けれど言葉にしがたい強烈な印象を残されたのは確か。
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開いてしまうと読み進めなきゃいけなくなってしまって一晩で完読。ものすごい狂気・・・なんだか何もかもがおかしいのにたまに現実が出て来る。ちょっとわからなくもないところが怖すぎる 14/1/21
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少女の、あの頃の特有の気持ち悪さと狂気がどうしても他人ごととは思えない。
読み終わって、自分はもう少女ではないんだ、大人になったんだとホッとしてしまうほど恐ろしかった。
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2作とも主人公病んでるナー
親もダメダナー
部分的に好きなとこと
わけ分からないとこと
あって読みながら
無理ーって思ったり
おもしろーってなったり。
とりあえず
違うのも読んでみよ。
いい気分にはなりません。
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どちらの作品の主人公も、スレスレのところで生きている。
それこそ、この作品はスレスレの暗さだった。もう半歩越えたら、全人類へR指定レベル。
特にギンイロノウタの有里の殺人へ興味を覚えていく様は、あまりに生々しくて、見てはいけないものを見た気にさえなった。
でも、その絶望的な暗さ故に最後に一雫だけ差す希望は妙な力強さを持っている。
読後は頭がピリッと痺れた。
作者の全身全霊を感じた作品でした。
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恐い。
生々しい表現に目をそらしたくなるのに、頁を捲る手が止められない。
主人公たちは、いずれもクラスメイト達からは「気持ち悪い」と評価されている、内気な少女。
その“内”に棲む狂気。
読了後も、作品の真価を掴みかねている。
今はただただ、困惑し、圧倒されるばかり。
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学校や家族に馴染めない違和感。歪んだ適応をして醸成された孤独と狂気の世界。それらを五感を使い生々しく表現する。
彼女の怯えを、不躾に晒される嘲りと蔑み、あるいは憐れみの視線を、行き場の無い衝動に身悶える苦しさを、体感するが良い。全く知らない感覚ということはないはず。
浸食されて、読んでいるこちら側まで人間不信になりそうです。怪作です。
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光から逃げる為に呪文を唱え続ける少女。
銀色のトビラを開く為に魔法のステッキを振り続ける少女。
自分の世界を創り出しその中で蹲る。
衝動がその中で暴れ回る。
食も性も対人関係も捌け口にはならない。
悲願を達成せねばならない。
おぞましい救いを手に。
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『しろいろの街の、その骨の体温の』に衝撃を受け、同じ著者の作品を読みたくて手に取りました。
今回も2作とも同級生などから「気持ち悪い」と呼ばれてしまう女の子たちが主人公でした。
彼女たちの抱えるドロドロして生臭い、暗い闇のような「何か」には自分にも身に覚えがあります。
また、親のパーソナリティや両親の関係も、多感な年ごろの子供には大きな影響を与えるのだと改めて実感しました。
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あらすじをみて気になって読んだけど、どうしても好きになれなかった。
わくわくとかっていうプラスの感情が一切わかないけど一応全部読んでみた、という感じ。
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高校の時、新聞の読書欄で知り、図書室で出会い、読み終わりなにか恐ろしいものを知ってしまったように思い忘れられなかった本。 とうとう文庫を買い、怯えながら再読了。
「ひかりのあしおと」は、その無機物めいて乾いた住宅街に古村家族の姿が調和している感覚。
「ギンイロノウタ」は主人公の有里の強迫されてく心理にひたすら息がつまり、唇を噛み締めて読んでいた。
幼少時における性対象としての女性への憧れは個人としても思うところがあり代弁されているようで苦しいくらい。メインではないけれど。
両作とも「父性の不在」「母性の剥離」に主人公2人は苛まれているように思う。
救いようのない、美化もされない、二人の少女が生きづらい世界からいかに身を守ったかというお話と言っていいのだろうか。