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友人のすすめで滝口氏を知る。
先日手始めに、と読んでみたアイオワ日記がとても良かったので、こちらも読んでみる。
お葬式に集まる、親族たちの世界。
日常と非日常の堺、家族と他人の堺、そういうものを描いた作品で、普段なんとなくみんなが感じることをうまく言葉にしてあるなと思った。
正直なところ、読後感は、うーん、まあ、悪くはなかったが、アイオワ日記のほうが単純に面白かった。
視点がよく動くので、なんのこっちゃと人間関係を把握するので必死だった。ストーリーはあまり無くて、そういう人間関係があり、そのなかで主役不在(故人だから仕方がない)の儀式を行う、厳かなおかしみを描いている。
もちろんこれは、故人に縁者が多く、かつ天寿をまっとうした死に方ゆえの円満お葬式の空気である。
親戚がけっこうたくさんいるなかで、だんだんと年齢と立場が逆点したりして、把握が複雑になる。
その中に2人ほど、集団から外れたメンバーがいたり、葬式でもなけりゃ会わないのが親戚だったり。
親族の絆より、姻族の「縁あってここにいるけど冷静に考えるとなんか不思議だよね感」が連帯しやすかったりする。
ああ、そういう、ね、わかるわかる、となった。
アイオワ日記に書かれたエピソードで、あなたはどうして本を書くの、と聞かれて、滝口氏が、もう存在しないものや時間を残すため、というような答えがあって、まさにこの話だなと思えた。
どうでもいいけど、女子高生の制服のスカートのポケットに、缶ビールなんか入るだろうか?入ったとしてもモソモソしてとても活動できないと思う。それも何度もスカートから出してくるので、そのたびに、えー?と思った。さすがに何本も入れているとは思わないけど。一本出してから、新たに一本入れてると思うけど。一本すら普通は入らないよ。それとも、私の思う制服とは全然別のものなのかな。
…そんなことばかり頭に残ってしまった。
これ、芥川賞だったのか、ちょっと驚き。
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ある老人の通夜に集まった30人近くの遺族。彼らの間を語り手を次々と変えながら物語が進む。時には今誰が語り手なのか判らなくなることも。其々の語り手に憑依しながら物語の世界を漂っている様な不思議な感覚に陥った。
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祖父のお葬式に集まった、知っているはずだけど知らない人のような親戚たち。
登場人物がやたら多く、理解しきれないまま、各々が、別々の会話をしているワチャワチャ感が押し寄せてくる。
本当にお葬式に行ったかのようで、子どもの頃の記憶の引き出しが勝手に次々に開けられる感じ。読後は人疲れと、なぜか郷愁。
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当たり前のことだけど、人間ひとりひとりにそれぞれの思考があって。当たり前のことすぎて忘れがちだけど、ぜったいに忘れてはいけないことだとおもった。ひとの考えていることを知るのはたのしい
たばこの煙や水の流れにそって揺蕩う記憶たち。うつくしいです...
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私は親戚付き合いがとにかく嫌いで、もう何年も集まりに参加してないし会ってもない。
本書は私がそうやって嫌厭してる「親戚たち」それぞれに人生があり、思考があり、血の繋がりへの向き合い方があることを気づかせてくれた。
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面白い、どんどんおもしろくなっていく。
葬式で集まる家族って、名前はしってるけどどんな人か知らない、死んだ人によって繋がってる関係、不思議な関係だよなあ。
美之の存在がいいし、従兄弟たちが酔っ払って行って深夜になっていって、不穏な感じと清々しい感じのバランスが読んだことない感じ。
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亡くなった故人を偲ぶ為、通夜に集まった親戚のそれぞれ。故人と関わり、今なお生きている者達、生きていく者達との回想録。挽歌。登場人物が多く、認識するのが大変だった。まともと言われる者とはみ出し者、果たしてその線引きはどこで誰の基準で判断されるのか?それぞれの事情と語られることのなかった事実。どこにでもありそうで、どこにでもいる者達のどこにでもない物語。
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残された者たちの過去と現在が、取り止めのない会話と脳内思考で流れていく。いろんな人の脳内を覗き見て、高みの見物。カオスだけどありそうでなかった文体。