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図書館に行く場面が良かった。本を読み込むのか。自分の一部にしてしまうのね。
静かに世界を観察して推測を広げてるカメリの温度が良い。
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カメリは模造亀(レプリカメ)の女の子。螺旋街の西の外れのアパルトマンで、一人暮らし。石頭のマスターが経営するオタマ運河沿いのカフェで、ヌートリアンのアンと一緒に働いている。カフェの常連は、近所の工事現場で働くヒトデナシたち。毎朝わいわいとやってきて、TVを観ながらカメリが作った泥饅頭と泥コーヒーをうまいうまいと食べてくれる。彼らからもらった赤いリボンが、カメリの宝物。メトロに乗ってマントルの丘にケーキを買いに行ったり、くじ引きに当たってハワイに旅行したり、ノミの市にカヌレの型を探しに行ったり。カメリの日常は、気の良い仲間たちに囲まれて、平凡に過ぎていく。
こうしてあらすじを淡々とまとめると、これといった盛り上がりも起承転結も無く、「模造亀」だの「ヒトデナシ」といったワーディングがちょっと気にはなりますが、まぁライトな読者向けのふんわりしたファンタジーなのかな〜という印象。
が、騙されてはいけません。
ストーリーの表面だけなぞると、この作品は確かにふんわりしたとらえどころの無い物語です。
が、読み始めるとすぐに判る、この世界のグロテスクさ。ヒト(人類)がかつて暮らしていたことが示唆されながら、ヒトは既にTV画面の彼方に消え去っており、人外の者たちだけが同じような生活を延々と繰り返す、時代も場所もわからない世界。カメリもアンもヒトデナシたちも、本来は生体兵器または生体構造物であることが暗に仄めかされており、かつ彼らはそんな自分たちの存在理由を既に忘れています。
この世界の成り立ちも、その中で人間を模した「生活」を再現する意味も理解しないまま、それでも楽しそうな彼らの日常が暖かい筆致で描き出されて行く、この実にSF的な尖りっぷり。そんな優しくて気色悪い世界の中で、ただひとりカメリは、ゆっくりと、でも着実に、思索を深めていきます。自分には「楽しい」という意味が分からない、というカメリのモノローグ。それでも、「楽しそう」なヒトデナシたちの存在を、カメリは否定しません。この世界そのものが外挿されたシナリオに過ぎないという可能性すら認識しながら、それでもカメリは毎日を、たぶん「楽しんで」います。
論理が明快で白黒ハッキリしたSFが好きな人には、おススメできません。が、謎だらけで何が本当なのかほとんどわからないままでも、これだけエッジィなSF世界が成立するんですよ、というお手本のような作品です。万人向けの作品ではありませんが、鴨は大好きです。
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人の消えた世界。そんな世界で懸命に生きる彼ら。感動とともに物悲しさも募る。
あらすじ(背表紙より)
楽しいって、なんだろう?世界からヒトが消えた世界のカフェで、模造亀のカメリは思う。朝と夕方、仕事の行き帰りにカフェを訪れる客、ヒトデナシたちに喜んでほしいから、今日もカメリは石頭のマスターとヌートリアンのアンと共にカフェで働き、ささやかな奇跡を起こす。心温まるすこし不思議な物語。
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本屋で見つけて買った。
この題名、買っちゃいます。
しばらく思考がカメリになっちゃいましたが、そんなにはまらないと思う。
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北野勇作ワールドらしくて久々に好きな作品
人類がどっかに行ってしまった地球で、人類の日常を模倣して過ごす模造カメ、戦闘ヌートリア、そしてヒトデナシ達。
夢と現実の境目がわからない、寝起きのぼんやりした時間のようなものが優しく流れています
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ふんわりした、優しい文章の裏にキツい世界をチラ見せ、っていう北野勇作ワールド。人間ではなくヒトデナシだけに「さすがに人間でこれやられたら優しい文章言うてられへん」ってこともシレッと。
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森見登美彦先生が解説を書かれているということで、手に取ってみたカメリ。
なかなかに可愛く、あっさりと書かれているが残酷なところもあって、いつもとはちょっと系統の違った読書を楽しめた。
おそらくカメリは喋れなくて、おそらく表紙の表情が変わることはないのだろう。
なので、どんな場面でも、絵が浮かびやすかった。挿絵ついてたら、もっと可愛かったろうな。
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ヒトが作り出したレプリカメ、カメリのお話。壊れた世界でヒトがいなくなって代わりにヒトデナシが世界を修正する世界。そこのカフェで働いているカメリ。ちょっとした冒険をしたり、ヒトデナシやマスターなどの役に立ったりする。可愛い模造亀。
森見登美彦さんが解説を書いている!と思って手にとって、珍しく解説から読んでみたら面白そうだったので購入しました。読み始めてしばらくして、最高じゃん!と思った。どの辺が最高かというと、まずカメリが喋らないのになんか可愛い。そしてご都合主義的なことも多いもののどうにかピンチを切り抜ける。ヒトデナシたちの会話も楽しい。カメリがよくわからないままいろんなところでなんとなくやってみたら解決したというものが多い笑 とにかく面白かったです。
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人間がいない世界もいい。
無限に想像広がります。
ヒトデナシ達が中之島にいるって最高。
カメリが喋らないのに気持ち伝わるところもほっこりします。
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全てが泥になってしまった世界のカフェで働く模造亀のカメリ。
決定的な何かがあるわけじゃないんだけど、でも少しずつ世界に近づいていくような感じがある。
他作も読んでるから、違和感なく読み進められたけど、いきなりだと辛いかも。
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カメリがカヌレを作っちゃうのとか、オタマに爪を突き刺してしがみつくとか、ヒトデナシが実は主役なんじゃないかとか、カメは夜更け過ぎに雪へと変わるとか、ファンタジーでけっこう心に残ります。
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世界から人が消えた世界のお話。
模造亀のカメリが働くのは石頭のマスターのカフェ。一緒に働いているのは赤毛のヌートリア、アン。お客様は自らの体が資材になる工事現場で働くひとでなし達。
不思議な世界〜。
読んでて意味は分からない事だらけですが、カメリが可愛くてほのぼのしました(о´∀`о)
あ、あと、何気に大阪の知ってる場所が出てきたのが楽しかったー!
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相変わらずの不思議な独特なSF。
乙女な亀ロボのお話。
脱力して流れに任せて読まないと、世界観についていけなくなるので注意。
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SF。ファンタジー。連作短編集。
ヒトがいなくなった世界で暮らすレプリカのカメの物語。
『空獏』『どーなつ』と読んで、独特の緩さがイマイチ合わなかった作家さん。今作で遂にヒット!あまりに不思議な世界観にハマリました。
やわらかSF、一種のディストピアもの、とは言えるものの、なんとも表現しにくい絶妙な読後感。
自分の言葉では表現できないので、『SFが読みたい!2017年版』64ページより、冬樹蛉さんの言葉をお借りします。
「"なにかがそこにないこと"のSF性を書かせたら、北野勇作は魔法使いだ。」
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短編集。二足歩行のレプリカメ、オタマ運河左岸のカフェで働く。シリコンの塊の石頭のマスター、ヌートリア義人体のアン、常連はヒトによってヒトデ不足のためヒトデから作られたというヒトデナシたち。
シュール。ビジュアルだけでなく日本語の言葉遊びもあり。アリスの世界も同じようなものなんだろうけど、技術が進歩し情報が行き渡ったため表現される世界の複雑さも段違い。