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最初の話から引き込まれてしまった。元刑事で今は巡査の狩野。事件後の犯人視点で話は進むが、そこに飄々としてつかみどころのない彼が登場し対峙しているうちにじわじわと犯人は追い詰められていく。その会話一つで一変する展開が面白い。狩野が刑事から巡査になってしまった原因も絡めて最後はスッキリと終わった。ぜひこれはシリーズ化してほしいなと思う。
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この本もブクログで教えていただいた本。
7月に図書館で予約した本がようやく読めた。
降田天さん、「彼女はもどらない」が面白かったので期待して待ってたのだけど、期待を裏切らない内容。ストーリー展開がスムーズでうまいな、と。
流れるように読める。あっという間に読了してしまった。
連作短編集。副題が「神倉駅前交番 狩野雷太の推理」なので警察官・狩野が主人公なのかと思いきや、それぞれの短編ごとにきちっとした主役がいて、狩野は最後の方で出てくる脇役でしかない。もちろん、次々と事件を解決してゆく、類稀なる洞察力のあるカッコいい警察官なんだけど。
主役の犯人達に感情移入しながら読み進めると、重要な場面で狩野が出てきてお縄になってしまう…という、あまり経験したことのないパターン。それがおもしろかった。
5つの短編、それぞれがなかなかシビれるけど、特に泥棒が自分に気のある女性に誠意を示すために新品種の薔薇のを盗む「名前のない薔薇」が僕は好き。結末に胸がとても熱くなった。
この短編集の舞台、神倉はおそらく鎌倉のことなんだろうな。(誰でも分かるんだろうけど、僕は声に出してみてはじめて気づいた。)
あと、「サロメの遺言」の最後に金木犀の香りが漂って狩野が花を探すシーンがある。ウチの庭の金木犀がちょうど満開なので、タイムリーな時期に読めた気がした。
読むのを待たせてくれた図書館に感謝すべきなのかもしれない。
「鎖された赤」評価3
「偽りの春」評価4
「名前のない薔薇」評価5
「見知らぬ親友」評価4
「サロメの遺言」評価4
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神倉駅のできごと
交番勤務の狩野雷太
鎖された赤
幼い頃のある記憶に囚われ、それが自身の性的な嗜好に繋がっていることを自覚している大学生男子・宮園みやぞの尊たけるが、認知症を発症し、介護施設へ入居した母方の祖父――とはいっても母方の祖母の再婚相手であるため血縁関係はなく、付き合いも密ではなかった――の家の整理に出向いたことから、物語が動いていく。祖父の書斎、机の引き出しにあった鍵。それは、家の裏にある蔵の鍵だった。その鍵で蔵に入った尊は、その蔵こそが、自分の昏い欲望を充たすための場所だと確信する……。
幼女を誘拐して拉致。
父と祖父の看病に行き、鍵を失う。
狩野雷太の交番に落とし物を訪ねる。
既に警察にマークされていた。すぐに当日の落とし物を探さない。どこの鍵?なぜ緊急?猫?
幼女を拉致しているのは蔵だと判明。幼女を保護。
即逮捕。
自分自身が祖父から虐待を受けていた。記憶が定かではない。絶縁状態の理由だった。
鍵は認知症の祖父に奪われていた。鍵の記憶がよみがえった
偽りの春
仲間の老女三人と青年一人とで詐欺グループを作っていた水野みずの光代みつよが、仲間の裏切りにあい、さらには一千万円を要求する脅迫状が届いた。
隣のシングルマザーの子供のお祝いにランドセル購入
その子と別れたくない。詐欺のターゲットのボケ老人宅にヘルパーを装い訪問。仏壇から1000万円盗む。
バス停で待っているとパトカーが停車。狩野雷太が挙動不審な老女?家まで送ると言われて乗車。荷物の中身を聞かれて金であると答えた。振り込み詐欺で騙されるところだとごまかす。
狩野は老人の娘から「仏壇に1000万円おいてある」と近所にいいふらしているのを相談されていた。
現金は銀行に戻し、札束の中身は白紙。
詐欺老女は盗みを見つけた。逮捕される前にランドレスを渡す。狩野は元捜査一課の刑事。
詐欺老女は恐喝されていた。詐欺をばらす。
逃げた仲間は既に逮捕されているのを知らない。
恐喝したのは隣人。シングルマザーの新しい男が安普請アパートの隣室の会話を聞いていた。
男はシングルマザーが主犯と言い。シングルマザーは男に言われたとおりにしただけ。
老女は若い頃、彼氏の依頼で横領、発覚して逮捕。
男「本当にやると思わなかった」
刑事に戻る気はない。
名前のない薔薇
泥棒が本職の40代男性 母が入院
感じのいい看護師から告白されるが泥棒だと告白
交際を断る代りに薔薇を盗みを依頼される
薔薇を盗み彼女の家に忍び込み寝室におく
直後に逮捕 マークされていた 4年後出所
母の喫茶店を手伝う あの看護師が雑誌の表紙に
新種の薔薇を作り有名人に
盗んだ薔薇が新種だった
会いにいくと、新しい薔薇を盗むことを依頼される
盗んだ薔薇を育てる
警察がやってくる 自分の鋏が盗難した薔薇園で発見
罪にはとわれない
新種の薔薇が咲くと、違う色
父親が作った薔薇だった
泥棒は病室に飾られた薔薇を育てていた
女は看護師に戻った
生前��から新種の薔薇を盗んだことがばれていた
父がなくなり新種登録してブレイク
見知らぬ親友
美大に通う女子大生 金持ちの娘と一緒にマンションで
暮らしている
バイトが風俗だったのを知られた
誰にも言わない 脅されていた
才能のある学生に会いプロになるのを諦めた
金持ちは父親のコネでデザイン事務所に内定
商業デザインに自分の力で内定をとったと思っていたが
金持ちの父親が内定先に推薦していた
金持ちの娘のスマフォのスケジュール誕生日に音声で
殺すと入力
サロメの遺言
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短編5作。最初の2作は、ちょっとうまくいきすぎじゃないですかね、と思って、構えちゃった。3作目は登場の仕方が今までとちょっと違って、4,5作目は何気に繋がっていた。
4作目は5作目への布石感が強かったなぁ。
2019.11.18
169
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短編かと思ったら連作短編集でした。犯人視点の物語なので犯人を追いかける話ではないですが、落としの狩野のたたみかける感じと犯人の焦りが伝わってきました。
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僕は運命の少女に出会ってしまったのだ。だからこうなるのは、必然だった。少女を誘拐監禁した青年と軽薄なお巡りさんの出会い。(『鎖された赤』)、老女による美人局を行なっていた光代は、突然仲間に金を持ち逃げされた。しかしまだ当てはある、なんとかなる…(『偽りの春』)、泥棒を生業とする祥吾は母が入院した病院で一人の看護師と出会うが、一生を共にする気はなかった。それでも諦めない彼女のために祥吾は一本の薔薇を盗んでやった。数年後、彼女は薔薇の園芸家として有名に成っていた。祥吾が盗んだあの薔薇を手に…(『名前のない薔薇』)、美穂は同居している親友、夏希が心の底から嫌いだった。だからつい、彼女のスマホに細工をした。だからって、彼女が事故に遭うなんて想像もしていなかった。(『見知らぬ親友』)、アイドル声優として売れていた彼女が死んだ。僕はそれが自殺に見えるように細工をし、難を逃れた。しかしすぐに警察がやってきた。僕は、疑われているのか……その口に浮かぶのは果たして。(『サロメの遺言』)
交番のおまわりさんが話を聞いただけで事件を解決していく連作短編集。事件の作りも、話の流れもすごい良いのになんの前振りもなく(それまでに問題解決している姿を見ているとはいえ)突然事件を解決していくので、むしろ気味が悪い…降田さんだしとんでもないどんでん返しが来るんじゃないかと期待してたのにそうでもなかったし。だから最後の話で狩野が悩んだまま終わったのはむしろ爽快なくらいだった。とはいえ、短編ひとつひとつは後味悪いのも爽やかなのもちょっと良い話なのもあって好き。『鎖された赤』と『見知らぬ親友』が特にかな。
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1月ー14。3.5点。
元捜査一課の刑事、交番勤務。鋭い観察力で犯人を追い詰める、連作短編。
どれも面白く、次作も期待。
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前半犯人視点、最後に探偵役である交番のおまわりさんの狩野が登場で無事お縄というのが基本パターン。
犯人視点というだけで犯罪にくしというより「いいところに邪魔しやがって」となるのがすごい。あと追われる犯人側の気持ちになる。小説っておもしろい。ただ、こういう話なので読んでいて若干心理的に追い詰められた気持ちになってしまう。
このまままだと読後感悪いかなと不安に思っていたら、ラストでさすがプロってなる。
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自分を被疑者の立場に置き、お惚けながら切れ者警官に追いつめられていく。刑事コロンボ視聴世代であり、古畑任三郎も愉しんだけれど、倒叙ミステリーを小説で読むってあまりない。狩野雷太は軽薄、へらへら、締まりがない、だらしない、チャラいっていうのが被疑者たちの第一印象で、まあコロンボとも古畑とも異なる。でも、図抜けた観察眼と直感により一目で犯行を見抜き、極めてうざったくて嫌味な会話により犯罪者との心理戦を制するってのは、まさにコロンボ・古畑のオマージュだ。監禁、詐欺、横領、復讐と王道のテーマながら、新鮮なプロットが織り込んである。吉田一沙は、失うのが惜しいキャラだった。
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実は、倒叙ものはそれほど好きではない。犯人視点で進むから犯人に寄り添ってしまえば苦しいし、犯人に全く共感できないとイライラしながら読むことになる。読友さんたちの間で圧倒的に評価のよい一冊だっただけに、読む前は心配だったが、この元捜査一課で現交番勤務の狩野は一味違い、短編一つで私の心配を見事にひっくり返した。そこから?!という小さな棘から畳みかけてくる真実への掘り下げに舌を巻く。とにかく好みなのは「見知らぬ親友」。ミステリとして小説として完璧だと思ったのは「鎖された赤」。「サロメの遺言」もきっと忘れない。
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安楽椅子探偵モノの亜種。連作短編。
1話目の謎はよかったが、他はそこまでといった印象。
2話目の表題作が、なぜ日本推理作家協会賞の短編部門を受賞したのか、好意的に解釈するならそのテーマ性。
老人が老人を騙すというセンセーショナルな雰囲気が現代に合致している。
どんでん返しを過度に期待すると拍子抜けするが、普通にサスペンスとして読めば、丁寧な伏線にも素直に感心できる。
どうにも辛いのが、狩野雷太のキャラクター。
ありていに言ってしまえば現代受けしそうな逆張りキャラなのだが、しかしその推理力(?)に穴がありすぎる。というかほぼ直感。
推理のための伏線も、伏線というより狩野に「解決させるための手掛かり」という印象が強いのが残念。
①魅力的な謎……2/6
②精緻なサスペンス……3/6
③鮮明な結末……2/6(1話目のみ5/6)
④印象的な文章表現……3/6
⑤先鋭的なテーマ性……4/6
計14/30
星2
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図書館で借りた本。
神倉駅前交番の狩野の周辺で起こった事件の短編集。話がつながっているところもあって、びっくりしたし、面白かった。うれしかった。悪いことはできないなぁと思った。
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降田天さん、初読み!
なにこれ?めちゃくちゃ面白いじゃん!
久々に一気読みしちゃって寝不足。ネムイ(´・ωゞ)
連続短編集たけど、そう来るか!?という意表をついた展開に、頁をめくる手が止まらない!
神倉駅前交番のおまわりさん、狩野雷太。
実は狩野は「落としの狩野」と呼ばれた元刑事。
コイツがいい味出してくれちゃってる!
また、県警の葉桜刑事、部下の月岡など、魅力的なキャラも揃ってて、今後の活躍が楽しみ!
というわけで、シリーズ化切望!!
知らない作家さんの作品も、どんどん読んでいかなくちゃだわねぇ〜(^_^;)
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「鎖された赤」と「見知らぬ親友」が良かった。実際にこんな取り調べや聴取には巻き込まれたくないけど。
狩野雷太のキャラクター、私は結構好きかも。あと月岡のみっちゃんも。
また続編読みたいな、という作品。
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一作目が一番面白かった。
それぞれ短編かと思ったら、四.五作目が繋がっていた。
サロメは二季の石膏かと思ったが、違った。
本物のサロメを見てみたい。