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再読。
『クチュクチュバーン』『国営巨大浴場の午後』『人間離れ』の3作を収録。人類全体を襲う急激な身体の変化(進化?)や、または、宇宙人(と思われるもの)などの到来によって、あっという間に絶滅へと突き進む人間たちを描く小説集。
表題作もダイナミックで面白いけれど、他2作の方が、滅びゆく経過にある世界の壮絶さや人間存在というものの悲しさを感じさせて印象深い。
成すすべもなく無為に死ぬことを、「虫のように死ぬ」という言葉があるけれど、ドライでシニカルに続く地獄絵図の中で、人間は虫のように死ぬことすら許されない。どうやっても人間は、自らが人間であるという自意識から逃れられず、そしてそれを(「人間は考える葦である」というような)高潔な精神と結びつける余裕もないまま、激烈な苦痛と屈辱を絶えず意識し続けながら、しかし傍目には淡々と無意味に死んでいく。
突飛な設定ながら異様な説得力のある小説集。消耗させられるので、心に余裕があるときに読みたい本。
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グロテスクで気持ち悪い描写が多い、でも面白い。表題のクチュクチュバーンに関しては今後忘れることはできないと思うほどインパクトのある小説だった。
完全に読む人を選ぶ作品だが、一度読んで欲しい。
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ぐちゃぐちゃな滅びでした。
地球外からの謎生物(?)だったり、体内からの急激な変化だったりで為すすべもなく、すべてがぐちゃぐちゃになっていく…。
人間離れした行動をとったり、人間離れした形態になっても、それでも人であることを諦めるのは難しい。自意識は捨てられない。
読んでいると心が消耗していってしんどいけれど、どことなく淡々と読めるので不思議でした。