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演劇だけじゃなくて、映画や小説にも通ずる点がありすぎる。難をあげるとすれば、演劇の必要性をむりくり見いだしているところ。論理的に説明する必要はない。演劇という媒体の特性を見いだすことと、必要性を見いだすことは、別ではなかろうか。
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「演劇入門」というタイトルだが、あらゆる面について総括的に書いた本ではないし、特にスタッフ関係の内容を考えて購入すると、まったく当てはずれになる。主に脚本の書き方・演出と演技の考え方のようなものが核になっている。そしてそれが、演劇を作ると言うことがどういうことであるのか、ど真ん中をぶち抜いているような気がする。
たとえば、もしあなたが高校演劇にでも関わっていて、台本を書く羽目になったとしたら、酒井は絶対にこの本を一読してから読むことを勧める。著者の言うように「いい戯曲の書き方は教えられないかもしれないが、悪い戯曲を書かない方法」を教えてくれるのは確かだからだ。もちろん台本にはいろんなものがあるから、平田オリザ氏の教えることがすべてだとは思わないけれど、平田流の台本の書き方は、確かに普遍的な何かがあると思う。酒井も素人ながら30以上の台本を書いているけど、経験上「こんなふうにやるといいかな」と思っていたことが、きちんと根拠づけられて説明してあり、うれしかったり驚いたりした。
演出や演技に関する話も同様である。読みながら、今まで漠然としていたいろいろなことが見えてくるような気がした。「コンテクスト」という概念、なるほどと思わされた。
演出や脚本書きや部活動の運営などに関わってる人、なにしていいかわからない人、なんとなく経験でやってる人に一読を勧めたい。
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演劇って聞くと役者がまず浮かぶ。役者の本質的な役割も語られているが、この本はさらに舞台設定やセリフの組み方など、演劇諸要素の作り方をうまく言語化してくれている。「リアル」と「コンテキスト」のたった2語で現代演劇の本質を説明できちゃってんじゃないのか。
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西洋的枠組みをとる近代演劇に、「対話」を苦手とする我々日本人がいかに入り込むか。日本人のもつ身体性をキーに練り上げる「アングラ」時代を相対化。スマート。
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20101005読了。
演劇の作り方について、基礎から書いてある。
演劇を舞台設定やセリフ、どういったものが良い舞台となるのか。
そういったことから書いてあり、演劇を見る際の新しい視点を得られる。
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小説やマンガ、映画、演劇を見ている時に、時折感じる不思議な感覚がある。
言い回しがおかしいんだけど、「これは現実的には起きないであろうけども『この物語の中』においてはリアリティがある」という感覚である。
自分が今まで経験したことも無ければ、想像したことも無いを見ている間だけ共有できる。それが優れた物語の資質だと思う。
ではどうやって『リアル』を出すのか? という点を、脚本・演出をしている平田オリザ氏が書いたものが、この「演劇入門」である。
具体的な詳細は本を読んでいただくとして、この本で著者は繰り返し「外界との他者との対話」によって、個々のキャラクタが浮かび上がるという。(家族や友人との掛け合いは「会話」として区別される)
たしかに、観客から見て「その集まりがどういう集団なのか」を理解するためには、集団の仲間同士の会話だけでは「説明的なセリフ」なしには、理解することは出来ず、のスポットライトとしての「外界からの来訪者(他者)」との対話……というのは納得できた。
ちなみにこれは演劇の話であり、場数に制限の無い映画や小説などでは、「事件」を扱って個々のキャラクタを浮き上がらせるという手法になるそうな。なるほど。たしかに「これ映画で見せる意図ってなんだろ?」と思わせる作品ってある。それぞれに見合った手法があり、それを理解して作らないとそうなってしまいがちなのだそうな。
そうして、最初に書いた「物語の中のリアリティ」とは何かと言えば、観客と演者(脚本家や演出家や見せる側)の間で、幾度と無く「ここは○○である」という場所の認識や「この人は△△」という登場人物の設定の認識の共通化が図られ(著者はこれを「コンテキストのすりあわせ」と読んでいる)、そうして「物語の中を現実と感じる」ことができるのだそうな。
なるほど……すごいな。
ちなみにこれは再読であり、初読の時には、平田オリザ氏の舞台は見たことが無かった。初読から再読まで2年くらい間が開き、その間に何作品化の舞台を見て「なるほどなぁ」と思える。
そうして、2010年の夏に見た「森の奥」がどうして「よくわからない」作品なのかの理解が出来た。
結局「ロボットが日常生活においてどんな位置づけなのか」が私と作品との間で共有できなかった。それに尽きるのだろう。
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[ 内容 ]
リアルな芝居とは何だろう。
戯曲の構造、演技・演出の秘訣とは?
平易で刺激的な入門書。
[ 目次 ]
第1章 「演劇のリアル」と「現実のリアル」
第2章 戯曲を書く前に―場所・背景・問題
第3章 対話を生むために―登場人物・プロット・エピソード・台詞
第4章 俳優は考えるコマである―戯曲・演出・俳優の関係
第5章 「参加する演劇」に向かって
[ POP ]
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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劇の創作方法の本である。
学生時代にちょこっと演劇をやっていたことがあるのだが、その当時は考えてもみなかったような視点がこの本にはあり、目から鱗・・・もっと若いときに読めていればよかったのに(^^;
ちなみに、私は、平田オリザ氏が主宰する劇団青年団の『ソウル市民』『東京ノート』『S高原から』の3作品を観たことがある。
演劇を創作する側の観点から、これらの作品の一部を例として取り上げていたのが、興味深かった。なるほど、こういうふうにして作られたんだ~という感じ。
この本を読んだ人には、是非青年団の舞台も実際に観てほしい。
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ぼくの求めてた入門とは意味合いがちょっとちがったのだけど、演劇における制約、キャラクターや台詞の書き方なんかはわりと勉強できた感あります。
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戯曲の書き方について書かれている本です。
「演劇入門」であって「演技入門」ではありません。
戯曲を書く上で、気をつける点が分かりやすくて良かった。
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http://dramaplanet.blog27.fc2.com/blog-entry-2.html
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第1章まとめ・「リアル」とは何か・「伝えたいことがある」近代芸術に対して、現代芸術、現代演劇のいちばんの特徴は、「伝えたいこと」=テーマが、なくなってしまった点・「伝えたいことなど何もない。でも表現したいことは山ほどあるのだ」・ふだんの日常生活のなかでは見ることのできない精神の振幅を描く第2章
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人のよさそうなコメンテーターとしてしか平田オリザさんを見ていませんでしたが、これを読んで印象がガラッと変わりました。日本語で西洋近代劇を作る難しさを演出家の視点で鋭く分析されています。演劇のベースにある脚本作りのノウハウや考え方は、演劇入門者でなくともすーっと読みきることができます。知的好奇心しっかり満たしていただきました。
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(講談社現代新書 1422)
[要旨]
リアルな芝居とは何だろう。戯曲の構造、演技・演出の秘訣とは?平易で刺激的な入門書。
[目次]
第1章 「演劇のリアル」と「現実のリアル」;第2章 戯曲を書く前に―場所・背景・問題;第3章 対話を生むために―登場人物・プロット・エピソード・台詞;第4章 俳優は考えるコマである―戯曲・演出・俳優の関係;第5章 「参加する演劇」に向かって
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これはコミュニケーション論、権力論(ようするに自由論)で、著者は以降そちらの領域の大家となられる。
〈コンテクスト〉という用語を要チェック。