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様々な形、様々な段階の依存が描かれている作品。
他者に依存できる人、その状態を相手に伝えられる人ってすごく強いし人間らしいんだな、と。
いつか心を切り刻まれてしまう可能性に怯え、常に相手との間に薄い薄い膜を作ったり、常に複数の退路を用意しているような関係性ばかり築いていたような人には到底できないことですね、ほんとはしたいとしても。
解説はいしいしんじさん、「彼」の唯一の主体性を持った言葉をしっかり捉えて考察されています、素晴らしい。
私はそのシーンに違和感を覚えたくらいで、いしいさんほどに裏を読めませんでした、残念。
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好きになった男には彼氏がいた話。
浮気されるのと
浮気相手になるのと
どっちがツラいか。
「彼」はどういう心情だったのかな。
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ストーリーはなんてことないのに、文章というか、行間の雰囲気が好きな感じ。
よしもとばなな氏とか、江國香織氏とか。
苦手感のある芥川賞受賞作家さんが楽しめた自分がうれしいw
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わたしと、わたしが好きなあのひとと、わたしのことが好きなあのひとと、わたしが好きなひとがすきなひと。もうほんとうにわたし。不幸なわたし。恋愛がつらいわたし。不安なわたし。吐いてしまうわたし。わたししかないんだけれども、これ、分かる、と思わされるところが凄い。全部リアルだから。返信が帰ってこないと胃がキリキリしてしまってって、ものすごいリアル。こういうものを読んでいると、結局人間はほんとうにエゴイズムまみれで、自分のどうしようもない不安の穴を、他人で埋めているとしかおもえない。それをなんかいいものっぽく書くか、正直に書くか。このひとは正直すぎるだけだとおもう。その正直さにはとても好感がもてる。
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読まず嫌いだった作者。思いきって読んでみた。
もっと早く読めば良かった、という気持ちと読まなければ良かった(当作品に対する個人的感情として)、という気持ちと半々。
彼を中心に回り落ちていく人々の話。
惑星のような彼の存在感が非常に薄いのに、周りの衛星である人々によって、中心となる彼が描かれている。それぞれの衛星からの視点によって、惑星が異なって見えるため、様々な惑星を見ることができる。
そして、その惑星と衛星を結ぶかのような歩道橋の心許なさ。
作者の作品の中ではライトな部類の作品と聞いていたので、まだ読めたのかもしれない。もう一作品読んでみようと思う。
ここで、どなたかも書かれていたが、いしいしんじの解説が明瞭だった。
早く読んで、この作者・作品を好きな人と感想を話しあいたかった。本の話だけでもいいから話したくなった。
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連作短編。
金原さんの小説では珍しく、男性目線で書かれた話もあった。
見た感じまともな人たちが比較的綺麗に出てくる。
面白かったけれど、金原作品なら他の小説の方が好きだと思った。
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表題作を含む5つの連作短編集。普通の甘ったるい恋愛小説とは違い、狂気に満ちた恋愛小説である。そこがクセになる感じもする。それぞれの思いが交錯してちぐはぐな関係を作り出している風に思えた。
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金原ひとみの「星へ落ちる」って本読んだんだけど、会いたくて会いたくてマジで震える西野カナみたいな女と、お高くとまった感じ悪い上に自殺未遂繰り返すメンヘラなゲイとその2人を天秤にかける優柔不断な浮気男の話だった。
1章ごとにそれぞれの視点から描かれているんだけど、みんな思考回路がメンヘラすぎて、「彼から電話こない」→「鬱だマジ死ぬ…てか死ぬから!すぐ連絡くれないと死ぬからね!今手首切ったなう!」みたいな終止そんな感じ。
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『彼』を巡って衛星のようにぐるぐる巡る不毛で息苦しくてもどかしい恋の行方。
東京の街の夜の空気がぎゅっと閉じ込められた作風だなぁと思いつつ、全編に行き渡った閉塞感と狂気がひりつく。
はてさて『彼』はどう思いどう生きるのか、本心が見えないのがなんともかんとも。
『彼女』に捨てられた男がなんのかんのと再生したかのように見える中、『彼女』は『彼』に捨てられまいと壊れていくのがなんとも物悲しい。
愛とはいつだってこんな風に紙一重の狂気の沙汰なのかもしれない。
いしいしんじの解説文が素晴らしい。
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同僚に借りた本。この著者の作品は「蛇にピアス」しか読んだことなくてなんかものすごい重い恋愛の話だった印象で、まさかの本作もものすごい重い恋愛のお話だった。金原さんは重い恋愛書くのが好きなのかな?
今回は登場人物の名前が一切出てこない。「彼」の事が死ぬほど好きなルームメイトの男性「僕」、同じく「彼」のことが好きで浮気相手?の女性「私」、その「私」の元カレでストーカー並の執着心で電話かけまくる男「俺」の四人のお話なんだけど、「彼」目線のお話はないのよね。結局「彼」の本当の気持ちは不明。嘘つきでずるいっていう印象だなー。結局「彼」と結婚しても「私」は幸せにはなれないんじゃないのー?もっといい男いるんじゃないのー?と思うけど、どれだけ魅力的な男なんだろうか。。。
それと、「俺」「私」は3年同棲してたわけだけど、借金まみれでなんかダメなやつなのに大好きで何の不満もなかったってすごいな。いやぁわたしには絶対なありえないけど、いろんな恋愛があるんだねぇ!すごい!!!
夜な夜な彼が帰ってこない、、、とか泣きながら待ってたりとかスープ作って待ってたりとか怖すぎだし重すぎでしょう!もっと自分を大切にするべき!
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連作短編っていうんでしょうかね。初出の雑誌やメディアがそれぞれ違う5編なんだけど、主人公らしき女性とその人が今好きな男性、元カレ、今好きな男性の恋人の男性という4人が登場する。
自分としては、元カレくんに感情移入。いいやつなんだよね。去ってしまった主人公に泣き落としの電話をかけたり未練タラタラだったんだけど、地道に工場勤めしながら借金返して生きている。未練を断ち切ったような最後の登場にすくわれた。
対して、幸せそうだった主人公は、疑ったり心配したりしてだんだん満たされなくなっていく。こじつけっぽいけど「星に落ちる」って、キラキラしたところへ昇っていくんじゃなくて落ちていくってこと?
好きになった今のカレ、優柔不断というか不実というか、一番姿を見せず本心がわからない彼がほかの3人を不幸にしてる。
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それぞれの登場人物の視点からそれぞれの心理が深く表現されていて引き込まれた。
最後も下手なハッピーエンドではないところが良かった。
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男性と女性とまた違うホモセクシャルの男性との決して交わることはあるけれど不安や恐怖、嫉妬、拭えない三者の暗闇を彷徨うような物語。果たして登場人物は愛を感じていて幸福なのだろうか。疑問を感じた。けれど登場人物の腐敗した感情は読者を魅了する。愛ってなんだ、そういう時に読まれる小説だと思う。
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2021年最後のブックレビューです!
誰かを死ねって思うほど、自分が死ぬって思うほど、毎回誰かを好きになっていたら、わたしはこれから先、何人の命を奪ってしまうのだろう。
好きな人を忘れられないのは、そこにあるのが好きって感情だからなのか、もっとこうしたかったという後悔なのか、それともそれは執着や依存の類なのか。
自分が壊れてしまうほど、誰かを好きになるのなら、いっそのこと誰かを好きにならない方がいい、とすら思う。恋愛が素晴らしいことだ、って誰が決めたの?
誰かを好きでいることでこんなに壊れるくらいなら、いっそ死んだ方がマシだと思ってしまう人に、「そんなことないよ」って、「生きてればきっと、もっといい人に出会えるかもしれないから」って、誰が言える?
だって、次に好きになる人だって、きっと同じようにわたしを壊すもの。
だけどそれでも、人はきっと、いや、わたしは絶対、誰かを好きになる。
嫉妬にまみれて苦しむよりも、苦しまずに平穏に過ごす方がいい。そんなことわかってるし、そんな風にわたしに平穏な生活をもたらしてくれる人がいることだって知っている。
なのに自ら自分が苦しむ道を選び、結局苦しむことになる。
安定を求めていたはずなのに、気づけばなぜか刺激を求めて不安定になっている。
刺激を求めて、気づいたその先にあるのは満足ではなく渇望だ。何をしても、決して満たされることのない、渇望。
結局、わたしが求めているのは、安定なんかじゃない。誰かを好きになっても満たされない、心の奥の奥の方から常に湧き上がってくる、欲望の塊だ。これは、わたしの命が尽きるまで、ずっとずっと、湧き上がってくるのだろうか。それとも、どこかで湧き上がるのをやめるのだろうか。それは、勝手にやんでくれるんだろうか、それとも、わたしが自らやめないと、湧き続けるのだろうか。苦しいよ。
金原さんが描くのは、恋愛小説と見せかけた、いのちの物語だ。
だからこそこんなにも苦しい。
生きることの苦しさを描く物語は数多存在するけれど、金原さんの描くその苦しみは唯一無二だ。誰かを好きになることと、それに付随する依存と不安と孤独と衝動。
わたしはいつも自分のことを貶めてしまうのだけれど、そんなわたしにも寄り添い、かつそれを否定も肯定もしない。そういう人がいる、そういう人がいたっていい、ということだ。
そういう種類の優しさっていうのも存在していて、自分自身が、作品によって包み込まれている感じがする。
いい意味でも悪い意味でも、自分を貶めちゃう時に読むと効果抜群。
金原ひとみさん。大好きな作家さんです。
こちらでも選んで頂き、大変嬉しく思います。
https://booklog.jp/hon/event/bestofbest-20211223
ブクログのみなさん、本年も大変お世話になりました。
こんなわたくしですが、来年もどうぞよろしくお願い致します!!
よいお年を!!
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くるしくてつらい、だけどその中に潜む愛がこれまた残酷。まるで恋愛から甘いところをほとんど抜いてしまったよう。目を背けたいのにページを捲りつづけていた。
もどかしい気持ちでいっぱいになりますが、わたしはすごく好きでした。