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歴史修正主義をめぐる問題がよくわかりました
2020/01/02 13:23
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投稿者:TW6429 - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史修正主義をめぐる問題について、メディアで度々扱われているが、正直なところ何が問題なのかについてよくわかっておらず、歴史修正主義者の主張にも一理あるのではないかと思っていました。しかし、本書を読むことによって、彼等の主張が歴史学の研究で明らかにされた事実を悉く無視しているか、自分たちの都合の良いように解釈しているのかということがよく分かりました。また、歴史修正主義者の主張の問題点を詳しく解説しているので、本書を読めば昨今のメディアで問題になっていることがよく分かると思います。
歴史修正主義者の主張は、年月を経てもほとんど変わっていないことに驚きました。進歩が無いですね。
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本書の特徴と意義は著者が「おわりに」で書いています。
「・・・大日本帝国時代の『負の歴史』を否認する言説の論理構造や、そこで多用される論理のトリック、認識の誘導などのテクニックをわかりやすく読み解くこと・・・」(p289)。
例えば、よく使われるトリックで南京事件の虐殺数が30万人というのはありえない、故に虐殺はなかったと論理が飛躍する点です。
また、基本的事項として気づかされた事は「日本」の具体的な概念とは?という事です。「日本」は現代の日本と戦前の大日本帝国の両方を含んでおり、どの日本を意識して語るかが重要です。
全体を通じて、著書は産経新聞が主張する歴史戦を起点に、歴史戦の主要著書に対して具体的かつ論理的に反証を提示していきます。
歴史を専門とするプロの研究家たちが積み上げてきた研究成果を、素人たちが見て見ぬ振りをして、自分たちの言いたいことを言っています。故に敢えて素人にもわかるように再度わかりやすく説明している構図に見えます。おまけにこの素人たちは、産経新聞を始めとして、いくつかの発表の媒体も持っており、それなりに影響力もあるので始末が悪いです。
プロ対素人の関係性の中で語られる言説であり、プロ側から見れば何の知見も得られない、何の生産性もない不毛な議論(というのもおこがましいですが)という事です。
逆に素人がプロに喧嘩を吹っかけているわけです。
プロである歴史学者は、意見の違いはあれど、新たに発見された歴史の事実を基準にそこから何かを学び、未来へつなげていく志向は同じです。故に、同じ土俵での議論が可能となり、その場から多くの知見を得ることができます。
「・・・歴史研究が尊重するのは個々の『事実』であって、最終的に導き出される『結論』ではありません。まず『事実』があって、それを適切に配列した結果として導き出されるのが『結論』です」(p70)。
一方で歴史戦を謳う方々は、
「・・・まず『日本は悪くない』という『結論』を立て、それに合う『事実』だけを集めたり、それに合うように『事実』を歪曲する手法をとっています」(p70)。
著者は最後にこう述べています。
「・・・専門家が傍観すれば、一般の人々は『専門家が批判も否定もしないということは一定の信憑性がある事実なのか』と思い、結果としてそれを信じる人の数が徐々に増加していくことになります」(p295)
著者には面倒臭いことだとは思いますが、
「社会の健全さを維持するための分担作業」(p296)と捉えて本書を上梓しています。非常に成熟した大人の振舞と感心しました。
昨今の歴史修正主義者の言説は子どもの戯れ言かもしれません。大人と子どもの間には議論は噛み合わないです。噛み合わないどころか「議論」という表現自体が不適切です。通常大人達の話の中には子供は入ってはいけません。間違って入っても相手にされないか、子供がわかるように諭されるだけです。一言でいうと対等ではないんです。故に、大人と子どもの言説が両論併記される事はあり得ないのです。
その異常さを暴露したのが、映画『主戦場』ではなかったでしょうか。本著書を読んで、構図が同じことに気づかされました。
最後に。エーリッヒ・フロム『自由からの闘争』を題材にして、歴史戦の言説に傾倒していき、権威へ服従していくプロセスを、わかりやすく解説しています。まだ読んでいないので、早速買って読んでみます。
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”あれ、おかしいな?”がキーワード。副題にしても良いくらい繰り返されるけど、実際、終戦後の大戦論に関する詭弁たる諸々を、一見勇壮に見える中に垣間見える矛盾から、丁寧に解き明かしていくという内容。戦後の”日本国”と”大日本帝国”を、十把一絡げに”日本”と表記するレトリックを知るだけでも、随分と選別眼が鍛えられると思う。ここでも痛感されたのは、先日読んだ『病理医ヤンデル』でも触れられていたけど、声高な意見の頑迷さ・強大さ。ただ、その差は文章のうまさとかじゃなく、論者の誠実さにあるのではないか、と。かたやピンポイントを誇張して、あたかもそれが全てを表すかのように、断定的に声高に叫ばれる意見。かたや多方面からそれぞれの立場に立って検討しつつ、留保すべきところは留保しながら、じっくりと語られる意見。きっと、ぱっと聞きの心地よさは前者有利。しかも圧倒的に。だって素人からすれば、玄人に考えてもらって、”こうですよ”って決めてもらう方が楽だもの。そこをもう一歩踏み込んで、自力で答えを出そうとする向きがもう少し増えれば、本書における歴史問題も然り、件の書における医療問題然り、良い方向にいくはず。やっぱり、あきらめちゃダメですな。
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2019/7/26読了。しかし、我が日本国は難しい国だなあ。
未だ国会議員には、八紘一宇だ、美しい国だの大日本婦人会みたいな人がいるんだからな。そんな考えに我慢強く論理で向き合う姿勢には、頭が下がる。しかし、学者や研究者の論争は一筋縄ではいかないことがよく分かった。
自身の歴史への向かい方を考える意味では、良いトレーニングになった。
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「主戦場」という映画を観た。日系アメリカ人が慰安婦問題をドキュメンタリーで撮った映画だ。題名の「主戦場」に違和感を持っていたが、この本を読んでガッテンした。
産経新聞社が「『主戦場』は米国、『主敵』は中国というキャンペーンを張っていたからだ」。アメリカ人がこの主張に対して関係者から聞き取りをして映画にした。
大阪人の僕としては、60年も続いたサンフランシスコ市と
の姉妹都市提携を解消したのは残念だと思っている。一人の市長により一方的に終わらせる事がい事なのか?
軍国主義復活を目論んでいる人の文章を読んで、いつもモヤモヤした思いが残っていたが、この本を読んではっきりと理解できた。つまり、彼らのいう日本とは「大日本帝国」のことで戦後の平和憲法を選んだ日本国ではないということだ。つまり、賛美は「大日本帝国」自虐は「日本国」となる。そういう文脈からは当然「戦争放棄」「軍隊禁止」の日本国を擁護する人間は非国民となる思想なのだ。
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愛国者でも昨今の出版・ネットメディア等の主張には胸が悪くなる。よくぞ出版してくれたと思う。
私たちの現実認識を誤った方向に導くプロパガンダ策略というのは昔も今も続いている。
まんまと乗っかる俺たちって。
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戦争のときの日本は悪くなかったという人たちへの否定の本。
そんな人達への否定が長くてくどくて読みにくい。
もっと素直に事実だけ書いてくれれば、ページも少なくて読みやすくて理解しやすいと思った。
言っていることは間違ってないと思う。
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著者は近代戦史がご専門の歴史学者。産経新聞などが中心となって展開している「歴史戦」は、戦時中にあった「思想戦」とそっくりな構造になっているという指摘は、かなり興味深いものだった。そしてそれらの主張には、詭弁やゴマカシがたくさん見られ、およそ学問的とはお世辞にも言えない稚拙なものであることを明らかにしている。ネット上で読みもせずに「左翼」と罵倒しておられる方がいるのは、著者も予想していたと思う。
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日本の歴史問題について、論理的に記した本。
特に注目したのは、現在の「日本国」と「大日本帝国」を峻別する点。
確かに、繋がる面があるとはいえ、体制等異なるのだから別の「国家」である。
そこを峻別しきれていない所に、歴史問題の厄介さがあるように思う。
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本書の題名が気になったのと,帯に「内田樹氏,津田大介氏推薦!」の文字が躍っていたのとで,読んでみたくなったのだが,なかなか面白かった。
産経や日本会議など,アベの支援者(というか,アベもその落とし子だが…ここでアベとカタカナにしたのは,漢字を使うのがもったいないから…金子兜太に倣った)たちが発している「大日本帝国バンザイ史観」(これはわたしの造語)は,その「史観」を示すべく,真面目に(たぶん本人たちは真面目なんだと思う)諸外国(中国,韓国はのぞく)に理解を求めようとすればするほど,今の日本国にとり,マイナスにしかはたらかなくなることがよく分かる。本当に,今の日本国と日本の伝統を守りたいのなら,大日本帝国時代に行ったことを,今の日本国の人間がしっかり総括し,それを国際社会に示してこそ,である。
この大日本帝国バンザイ史観のメンバーたちは,今の日本国への愛国心なんかないんだろうな。自分たちの言論や行動が,国際社会から日本国を浮きだたせている事さえ気づかないんだろうな。この人たちが持っているのは,愛「日本国」心ではなく,愛「大日本帝国」心だから,無理もない。
本書を読み終えて興奮してしまって先の文章を書いてしまった。が,本書は,とても冷静に「バンザイ史観」のメンバーたちの著作を読み解き,その中にちりばめられている論理の飛躍や事実の歪曲,プロパガンダなどについて語ってくれる。
バンザイ史観の人たちから見ると,わたしたち現代の日本人は,いまだにGHQに洗脳されているそうだし,コミンテルンにもやられているらしい。そういうことに,大部分の日本人は気づいていないという。そう,それくらい今のわたしたちは馬鹿だと言っている。
自然科学の分野でも,非科学的な著作がでても,プロの科学者たちは,面と向かって批判はしない。それは馬鹿馬鹿しくてやってられないからだろう。「どうせ,消える,ま,娯楽だし」とも思っているのかもしれない。しかし,「水は何でも知っている」といいながら学校現場の道徳の時間にまでそれが入ってきたときには,黙ってはいなかった。おかげで,「水にありがとう」と聞かせる実践は学校から消えた。
社会科学(たとえば歴史学)の分野でも,こういうトンデモ類のことにいちいち反応している暇はないかもしれない。が,最近のように,「従軍慰安婦はいなかった」「南京虐殺はなかった」と言い切るようなことが市民権を得そうになったときには,ちゃんとプロの世界から糺してくれる人が必要だ。教科書にまで影響するようになっては,ね。
それにしても最近の出版状況は気持ち悪い。
日本の経済力が頭打ちになったのを誤魔化そうとして,(大日本帝国の頃のことを持ち出して)韓国や中国を自分たちより下に見て,少しでも優越感を得ようとしているのが見え見えだからだ。この浅ましさが,本来の道徳からはほど遠いことに気づかないのだろうか? 道徳教育の教科化を進めた人たちの心には,どんな道徳心があるのか,本書で引用されている文章を読んでみるとよく分かる。
☆
河添 売春婦の経営が好きなのも,中国系や韓国系の黒社会でしょ? …『「歴史戦」はオンナの闘い』より
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日本では,売春婦の経営をしている人,いないの? たくさんいるじゃん! こんな風な決めつけがあちこちに。
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本当に脳疾患ならお気の毒ですが,呆れてしまいます。
…ケント・ギルバート著『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』
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他国の人をつかまえて「脳疾患なら…」などと言うってどういうこと? これが,「日本人の心を取りもどせ」といっている人なんですが,このような表現をする人に与することなんてできるわけないよ。
論理的な批判ではなく,感情的な批判がいっぱいの大日本帝国バンザイ史観の人たちの本。買って読むのはもったいないので,図書館で借りてみるかな。
山崎雅弘さん,非科学的な文章につきあってくれてありがとうございます。頭の中がスッキリしました。
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作者は何を言いたいいのだろうか。他の人の解釈を批判しているが、史実をどう読み解くかが書かれていないような気がする。読み方が浅いせいかもしれないが、作者の意図はケントギルバートや井上和彦等の意見の矛盾を指摘するだけに終わっているような気がする。
最後に少しだけこうしたらという部分もあったが、具体的にこうするのが良いという作者の意見は感じられなかった。前半は他の人の意見の矛盾を指摘するだけで、嫌になって途中で投げ出した人もいたのではないだろうか
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読みながら自分自身の考えが整理されていくようでした。大変分かり易かったです。事実に反する事柄が広まっていくのを黙認するのは、それを支持していることと同じですね。意見が対立することを嫌がらず、対話する努力を持ちたいです。
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今、本でもネット上でも、歴史問題について日本は正しかったと言う主張があふれている。その一見正しいと見える主張に、どのようなトリックや欺瞞が、そこに隠されているかを、明快に暴いている。
今後、国際社会の中で、まるで説得力のない、日本は正しかった、という主張に固執するのでなく、大日本帝国時代の過ちについて、認めつつ検証していく方が、国としての評価に結び付くということに、賛同する。
どのような学問領域でもそうだが、専門家が、その分野のトンデモ本や、トンデモ発言に、違うと真っ向から否定してくださることが、大切なのでしょう。
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現在、第二次世界大戦で大日本帝国が行ったことを否定または矮小化する言説が言論界や出版界で繰り広げられている。以前もあったことではあるが、一笑にふされていたのが、大手を振るうようになった。この問題について、歴史的な経過や事実も踏まえて論証した本である。客観的な歴史認識を広げる事自体が国益を守る事につながるという事を強調したい。
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耳ざわりの良い言葉に踊らされる事なく、事実を事実として受け入れる思考を手に入れられる本だと思った。
筆者の終始一貫した冷静さに救われる。