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テクノロジーはもちろん地政学的な現地もまじえて、全体を網羅している良書。
筆者の言葉づかいに最初はついていくのに違和感があったが、後半にはこれが心地よくなるのがおもしろい。
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1.持っている課題と、この本を読んだ理由--------------------------------
【課題】テクノロジーに関する仕事をしている中で、歴史や未来への思考について整理が必要
2.得た知識・気づき----------------------------------------------------
★・DXの定義、組み合わせの概念
★・3つのネクストフロンティア:①DX、②地方革命、③ソーシャルインパクト革命
★・失敗のコストが極小化しており、それを回避することによって生じる機会損失の方が相対的に大きくなった。
3.ひらめき・アクション------------------------------------------------
・失敗の回避に対しての機会損失を念頭に行動する
4.新たに持った疑問----------------------------------------------------
なし
5. 以下メモ------------------------------------------------------------
▼序:テクノロジー思考とは
・【テクノロジー思考】:近年において世界のあらゆる事象、組織、そして人間にテクノロジーが深く関与し、また支配的な存在として強い影響を与えている事実に焦点をあてた、新しい思考アプローチ
・本書においてテクノロジーの在り方を正しく理解するとはすなわち、テクノロジーの歴史やそこから演繹される未来、あるいはテクノロジーの人間社会に対する可能性や適用手法、インパクトを正しく理解することである。
▼1.テクノロジー産業の現在
・テクノロジーとは進化の道具。それを使いこなす者は進化し、そうでない者の時計は止まっている
★・増え続ける莫大な投資資金はどこに向かっているか。A.「インターネットの外」。医療、交通、物流、教育、製造業等々、リアルでフィジカルな世界をテクノロジーによって再定義する競争が既に始まっている、一般にDXと言われるものと同義と考えて差し支えない。
・「インターネットの外」の産業はデジタル完結するインターネット産業と違い、タフでシリアスで、時間がかかるビジネスである。タックル戦とする産業の構造、実情を深く理解してなければならない。インターネットは最終消費者のみ向き合っていればよかったが、複数のステークホルダーと真摯に向き合わねばならず、適切なコミュニケーションコントロールを行う必要がある。ステークホルダーには行政や地方自治体など一筋縄ではいかない相手も含まれ超制能力も必要である。
★・【DX】:既存産業のテクノロジーによる革新、置き換え、再定義のこと。これを論じるにあたり極めて重要な概念がある。それは「組み合わせ」である。産業の確認とは常に、2つのものの組み合わせによって起きる。①にある技術と別の技術の組み合わせであり、②に技術と市場の組み合わせである。市場という言葉は、ニーズ、問題という言葉に置き換えてもよい。
・社会に解決すべき問題や、産業や社会に何らかの負の構造、あるいは圧倒的にセクシーなウォンツがなければそれに対するソリューションはそもそも不要であるし、また一方で、それが求められていても高度に実現可能な技術が実用レベルで確立されていなければ無意味なのである、
・DX活況の背景は、①各分野のテクノロジーが実用に耐えうるレベルの進展を見せていると���うことと、②社会の構造変化に伴いあらゆる産業やインフラにガタがきつつあるがゆえの「メジャーアップデート要請」この大きな2つの理由に他ならない。
▼2.イノベーション至上主義と、スタートアップ全盛時代
・そもそも人類の歴史は常に技術と共にある。技術史=人間史。テクノロジー革命によって人類は自らの生存の確立と期間を飛躍的にこうじょうさせ、また富の生産性を指数関数的に向上させてきた。
・このように強烈なテクノロジーが、“ コンピューティング”であり、加えてその力をエンハンス(拡張)する翼であるところの“ 情報通信技術(インターネット)”。さらにインターネットの外でのDX
・このような世界においては、「社会の変化のスピードとインパクトよりも自らの革新が速く、大きければ価値、逆に遅く小さければ負け」、これがルールとなる。このルールがイノベーション至上主義という現代社会のドグマを生んだのである。
★・イノベーションに取り組む者は失敗を量産すべきである、という命題。失敗のコストが極小化しており、それを回避することによって生じる機会損失の方が相対的に大きくなった。失敗を取り込みながら成功する、成功するまで失敗のマネージを続ける。これがイノベーターの新しい常道である
・将来収益の成長性に基づいた投資スタイルを“ グロース投資”、現在の価値に着目したそれを“ バリュー投資”という
▼3.次なるフロンティアはどこにあるのか
・インターネットの外に広がってる以外にもう一つのフロンティアが“ 地方”
・地方革命を論じるにあたり重要な概念、世界人口の都市化(地方⇒都市への大移動)、アーバナイゼーション
・これによって何が起きるのか、地方が都市化していくよりも早くテクノロジーが地方にいきわたる。今や世界のテクノロジーリーダーたちはこの競争に躍起になり始めた。40年かかって起きる都市化の前に、自ら地方に出向いて行ってその経済圏を獲得する競争、それがテクノロジーの地方革命である。
★・3つのネクストフロンティア:①DX、②地方革命、③ソーシャルインパクト革命、この3つはよく似ている。(別の顔をした同じ取り組み)
・地方は相対的に年寄り貧しい、ゆえに地方に対するエンパワーメント(手助け)はそれ自体がソーシャルすなわち社会貢献的な意味合いを帯びる
・例;アグリテックは①農業のDXであり、②地方をエンパワーメントする革命であり、③相対的貧困層に対する社会貢献を実現
▼4.データ資本主義社会
・個人データとはだれのものかという問いを尽きつめると、誰のものでもないというのが正しい答えになる。しいて言うならば個人データとは社会のものである。
・データを管理することによってたっせいされるべき目的
(1)プライバシーの保護 (イデオロギー論争(正解はない):尊重される人権vs利便性の享受)
(2)データの独占による不当に偏った富の独占の排除
(3)データの独占による不当に強大になった、あるいはなり得る社会的影響力の排除
▼5.欧州という現代のデータ十字軍 VS データ中央集権企業群
・【GDPR】:欧州で活動する企業に対して、データ主体すなわちデータを集められる個人の同意を得たうえで、データ��収集や処理を進めることを厳密に義務付けた法律。違反した場合の罰金は最大で全世界の売上高4%。
▼6.インド - 復権するテクノロジー大国 -
・数学は文明の基礎であり、テクノロジーの基礎である。インドは理工系の高等教育に力をいれており3000項以上あり毎年150万人以上卒業。これは日本の全大卒者の3倍である、そして日本の場合その圧倒的過半が文系である。
・インドをい未だにオフショア拠点、BPOのターゲット国として見ているならば、それは非テクノロジー思考による事実誤認。インドはイノベーションの産地、先端技術開発、上流工程の地である。
▼7.米中テクノロジー冷戦とは結局のところ何か
・冷戦とは、文字通り火力すなわち武力によらない国家間の衝突ないしは利害対立の事
★・テクノロジー冷戦の最大のイシューはフィジカルなそれではなく、バーチャル上で起きている。サイバーセキュリティである。データとネットワークにまつわる国家人民の安全保障が驚かされている。
★・いまネットワークの中では「第一次世界サイバー対戦」という状況にある。毎秒無数のクラッキング、DoS攻撃のトランザクションが世界中で飛び交っている。そこで先制攻撃をするものはロシアや北朝鮮や中国のような国家や、米英などのいわゆるファイブアイズと呼ばれる国家諜報機関等であるが、そのような国家のみならず非政府組織、しなわちハッカー犯罪者集団や、テロリスト集団、ラジカルなナショナリスト集団らもまたそこに参戦している。それらがバトルロワイヤルで各国の政府機関や金融機関、電力・航空・鉄道網の機関システムをアタックしている
・【技術移転】:国際社会において先進国が新興国に対して対外直接投資を行うことにより、当該投資先国家に対してさまざまな技術・ノウハウが移転することをいう。その結果、当該国が経済発展することでひいては国際経済全体が潤うことを目指すものであった。それこそがODA(政府開発援助)
▼8.テクノロジー思考の実践に向けて
・我々が学ぶべきは、何らかのテクノロジーが現れたとき、その具体(素材や物理現象)と抽象(目的の有無及びその高度さ)に注目するということは、そのテクノロジーの発展段階や人間社会に対するインパクトを洞察するために決定的に重要ということである。
・テクノロジー思考では、社会問題・ニーズと、個々のテクノロジーのレベルにおける目的を分けて考える。前者を「大目的」、後者を「使用目的」と言ってもよい。
★・「ソリューションとは何か」という問いは、「それが解決している問題は何か」という問いと同義である。
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テクノロジー思考そのものについて論じられているのは、最初と最後の数ページのみであった。むしろ、全体を通して著者の「テクノロジー論」、ファクトに対する分析が述べられていたのではないかと思う。
そういう観点で読むと、現在のテクノロジー産業を俯瞰して捉えることができたのが良かった。
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内容は再読するほどでもないものの、所々に「ああ、これこれ。」というようなワード、表現がありました。インターネットの中と外。なぜモビリティやヘルスケアがDXの激震地になるのか、など。主に前半に気になる記述がありました。
後半のインド中国考察などは参考程度。