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身なりにかまわない地味な後輩をやたら敵視する若づくりのアラフォーOLが、ガンになった悪夢をみてそれをきっかけに自身をふりかえり、反省して前向きにいきていく「他人にはどうでもいいこと」25人にひとりの確率でいるらしい「やらずにおもわせぶりだけして得したい男」とかれに翻弄される人妻をえがく「25人に一人の君」そしてセックスレス夫婦が紆余曲折を経て絆をふかめる(?)表題作「連結部分は電車が揺れる」の3編で構成された短編集。なのだけれど、主人公は思い込みがはげしすぎるし、周囲の人間もなんだかすっきりしない性格の者ばかりで、共感できる登場人物はだれひとりとしておらず、そのじわじわとだが確実にぐったりくる、あきらめに支配された収束の仕方にも違和感だけがのこった。こんなふうにつながっている(く)しかないのならば、中年男女ってさびしいしかなしいしむなしい。ただ、これ「四十路にして惑いまくり」(帯より)のアラフォーを主役にした物語だそうで、その帯にいつわりなく、みんな盛大に惑いまくりなのだけれど、しかし、これからもきっと惑いまくるし、おそらくこれまでも惑いまくっていたのだろうなという人ばかりで、だとすると年齢はとくに関係ないんじゃないかとおもう。だのにことさら不惑を強調する意味が不明だ。ただ、思春期ぶとりしたローティーン女子の、だらしなくはしたない、ちょっと目をそむけたくなるような肉づきを、容赦なく絵にしてしまう底意地のわるい筆致はいつもながらさすがとしかいいようがない。たいして中年女には比較的、いやだいぶか、やさしいというかあまいというか、シミやシワ、クマやタルミなどの、当然あってしかるべき容貌の衰えは、なぜだかほとんど描き込まれていない。