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まず全体の感想
これを「面白い」と断言できる人は物流システム(特に海運)好きか、IQが高く論理的思考の人だと思う、ということは最初に言っておこう。
自分はというと、示唆に溢れていて面白く感じる部分もあったがレビューや評判程には楽しめず。大量のデータや資料にも関わらず読みやすく仕立てているのには感嘆するが、マルコム・マクリーンの人間性以外に面白味は感じず、数字を読み解いてふむふむと楽しむ迄には至らず、どうやらIQが追いついていないらしい。読み切った達成感は得られたのと、時代の流れやシステムの変化に柔軟に対応しようという気持ちにさせてくれたのでやや高評価に。
新たなシステム(コンテナ)によるグローバル化。コンテナ運輸の躍進により海上輸送コストが急落。コストがもっとも安いところ(国)を選んで発注発送できるようになった。
コンテナに仕事を奪われた港湾で働く人々は、まるで現在のITやAIやグローバル化に仕事を奪われる様にとても似ている。システム化を市場に問えば自然とお役御免になるだろう。それから、マルコム・マクリーン氏。彼の自伝でも出たら読みたいほど魅力的。野心的でバイタルが溢れ先見性が凄い。海運を船を行き来させるという業界の当たり前の感覚から、海運を物流のシステムの一つとして新しい捉え方と当時としては当たり前ではない考え方、それをすぐさまコストとふるいにかけて実行する行動力。組合や様々な規制に、変えられる物は変え、変えられない物は柔軟さとアイディアで乗り切る様は凄まじいものがあった。
もしもマクリーン氏がベトナム戦争当時の輸送ビジネスで日本に寄港することを考えなければその後1970〜のジャパンイズナンバーワンはなかったかもしれない(エレクトロニクス品は荷分時よく盗難にあうし輸出コストが高かった)。
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ビックリした。「箱」がこんなにも世界を変えているのか、と。
箱だけでこんなに話が深くなるとは。箱が既存の仕事を奪ったり、経済に影響を与えたり、歴史を変えたり。
長編なので読むのに時間はかかるが、時間がある時にもう一度読み直したい一冊。
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コンテナ内の点検はむずい
→麻薬とか爆弾とか移民とか運べちゃう
1.輸送技術の進化
2.イノベーションの重要性
今日重要なのは
→イノベーションに、よって資本や労働者をどれほど効率的に使い、より多くのものやサービスを生み出せるか」
→イノベーションは最終的に最も適した用途に応用されるにしても、初期段階ではうまく適用できないことが多い
→→新技術は最初金にならない
発明の経済効果を生み出すもの
→発明そのものではなく、それを実用化するイノベーション
→組織や制度の変革
→→エジソンが電球を発明して20年後でも一般家庭での普及率は3%だった
■埠頭
サンフランシスコ、モントリーオール、ハンブルク、ロンドン、リオデジャネイロ、ブエノスアイレス
一航海にかかる総費用の半分は沖仲仕への賃金だった
→人力だからダメ
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自分の仕事に大きく関わる内容なので前から興味があった。物流業界で働く中で感じてた事(不確実性の極み)など、すごく共感できることもあったし、サーチャージ徴収の話とか今も昔もかわらないんだなっと思った。コンテナという世界標準規格が出来たことによる世界経済への貢献は計り知れない。今の海運混乱の状況も考えながら読むとより面白い。標準化の影響で、他航路の問題が全世界に影響を及ぼすほど、海運は全世界の公共インフラとして重要な位置づけにあると実感した。
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いろいろなところで、読むべきビジネス本として挙げられている本。
小さな運送会社を起業したマルコム・マクレーンが、海運業に進出し、コンテナが世界の海運業を変えていく時期を、アメリカの国内事情から世界情勢まで含めて描写している。
印象的なのは、トラックだろうと船だろうと、運ぶものは同じというマルコムの思いが、業界を変えたということ。その考え方自体は昔からあったとも言われているが、実際にビジネスを変えるきっかけになったのは彼だと言ってもいいだろう。硬直化した業界を変えたのは、異業種からの参入だったこと。そして他社買収から巨大企業への会社売却、その後の破産から再び業界へ参入するというマルコムの起業家精神。
星一つ減としたのは、すでに世界の経済情勢の変遷と同時に内容が古くなりつつあるからだ。何しろ原書の発行が2006年、改訂版は2016年発行(私が読んだのは改訂版)。前からこの本の存在を知っていたにもかかわらず、実際に読む段階までたどり着けなかった。2026年には再度改訂版が出るだろうか。
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箱の歴史一つから得られる教訓は非常に多く、非常に興味深い内容だった。
本当の環境変化は、イノベーションそれ自体ではなく、それを受け入れる"人"によって形成される。そのキーになるが金(=コスト)であり、それを阻害するキーになるのも金(=賃金・雇用)である。
先見の明のある人間の奮闘により、壁(=地理的条件、慣習、既得権益等)にぶち当たりながらそのイノベーションを活かせる全体的な"システム"が形成されていく。そしてそれが機能することが証明されると、そこに生まれるコストメリットが顕在化し世の中は一気に変わる。
著者は外交問題評議会出身の肩書きの通りグローバリズムに肯定的なバイアスはあるが、今のこの生活があるのは、民間のビジネスマンの儲けたいという野望がコンテナリゼーションをもたらしたことにあることは間違いない。そこで、既得権益集団は反発を繰り返しながらも、その変化に乗り遅れる危機感を感じた時から徐々に受け入れていくわけである。しかし、この反発によりラディカルな雇用崩壊を防いでいる面もあるわけで秩序維持には必要な役割である。
人の生き方といった哲学的思考がシュリンクした中で進むAI化、機械化は、ビジネスメリット(=コストメリット)だけが追い求められる懸念がある。
そこで、国や中間共同体が既得権益(=人々の生活)を守るためにある種の抵抗をしながらアウフヘーベンしていくことが、少しづつの進歩、少しでも"マシ"な世の中を形作っていくために必要なことだと感じる。
"効率"を求めるイノベーターと"秩序"を求める既得権益者のぶつかり合いは必要不可欠であり、そのパワーバランスをいかに良い塩梅で進めるかがこれからの世の中のキーになると感じた。
その他、戦争の影響力、国際規格の無力さ、有能性のわな、門外漢の参入による破壊、自由主義の功罪、かつての日本の存在感、コンテナの抱える課題など、様々な観点で得るもののある良書であった。
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この書籍は、世界中でコンテナ輸送が成り立つまでの道のりが記されています。
コンテナが発明される前は荷物を船内に秩序なく詰め込み、沖仲仕が人力で運び出すというスタイルであった。
人力では効率も悪く、人件費もかかるということで、トラック運送業者のマルコム・マクリーンがコンテナを発明。
しかし、発明当時は受け入れられなかった。コンテナのサイズ、船までの輸送、港湾の整備に問題があるからだ。
コンテナの規格化、港湾整備、ガントリークレーンの建設等、現在では当たり前となった設備が開発、運用されるまでの物語である。
まさに、「箱」の発明が世界を変えたのである。
コンテナ、海運業界に従事し、興味ある方は必読です。
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小さな箱の発明が、世界の物流を激変させ、やがてグローバル・サプライチェーンを生み出すに至るまでを記した物語。
イノベーションが生まれて世の中を変えていくまでの様子が克明かつ、ナラティブに描かれていて面白い。個人的にはコンテナ生みの親・マクリーン氏の生涯に興味を持った。映画化したらいいのに!
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コンテナという規格が世の中に普及されていくかが丁寧に描かれた物語。長い歴史をコンテナを取り巻く海運を中心に陸海、港湾、政治家、規格者、荷主さまざまな立場で描いている。
単に規格の話に小さくまとめず、丁寧に外部環境を描いたひとつのマーケティング歴史書といった感じ
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大量のコンテナが積まれた風景というのは、幼少の砌より馴染み深いものだった。
自分にとって当たり前だった風景がその技術が生まれたときには決してそうではなかったこと、そしてその技術が文字通り世界を変えてしまったことがひしひしと伝わってくる。
規制業界における変革の難しさ、それ以上に回り始めた弾み車を止めることの不可能さ。政治的なダイナミズムについても考えさせられる、実にエキサイティングな一冊だ。
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コンテナがいかに世界の経済を変えたかが感じた。
日本が貿易に強くなり始めたのもコンテナのおかげだった。もう少し背景をなぜ?と考えられるようにしておきたいと思った。
詳しくはメモ欄に
今各地で自動化AI化の動きが出てきている。
ここからは考察だが、GPSのチップみたいなものを使用してより効率的になるではと思う。
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読了。
リアルガチのイノベーションの本。
物心ついたころ最寄駅には、コンテナを乗せた貨車が無造作に停めてあった。コンテナは大昔からあると思い込んでいたが、商用化されてから70年ほどの歴史。
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ロジの大切さがよくわかる。マルコム・マクリーンという天才について知ることができたのも収穫だった。なぜドバイが急に発展したかも腑に落ちた。
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「エバーグリーン」出てきたとこで、「あ、コンテナ見たことある」って思った。コンテナ岸壁、遠目でしか見たことないので、見学してみたい。コンピュータと同じ時期に発展してきたと思うんだけど、だいぶ違うなと興味深い内容だった。
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なるほどそれでうまくいくわけか! と膝を打って納得できない仕組みの部分は自らの知識の無さと頭の回転の遅さと恥じる。