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教科書的な歴史ではなく、人々の生活側から見た歴史。日本の多様性が描かれた、単一民族・統一国家・島国日本、といった概念がすりこみでしかないことに気づかされる。
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20170215読了。そちら地方の出身だが「浜北人」については知らなかった。「三カ日人」は知っていたが。その時代から平安京までが上巻。だーっと時が進む印象の本だが、歴史を前にすると自身の人生は無いに等しいと感じ、そこがトリガーとなって中・下巻へと読み進めたくなる。が、手元にはまだない。
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日本列島は古代から北東アジアと支那や東南アジアを結ぶ橋としての役割を持ち、百姓=農民、ではなく狩猟、漁業、流通に携わる多くの民が広範なネットワークを持ち社会を形成してきた。
「日本人が孤立した島国で農耕を営む単一民族」といった安易な解釈がいかに無意味なものかがわかる。
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教科書では勉強しなかった日本の歴史についての言及もある。
いつから「日本国」になったか。
いつから「天皇」になったか。
自分が無知であることを、深く痛感するとともに、学びの意欲をさらに掻き立てられる作品。
古墳時代等には今まで興味が持てなかったが、それは「無知」であることが原因の一つでもある。
食わず嫌いをせずに、このような作品を読み込んで知識の幅を広げたい。
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[ 内容 ]
現代の日本人・日本国は、いかなる経緯をへて形成されたのか―。
周辺諸地域との海を通じた切り離しがたい関係のなかで、列島に展開した地域性豊かな社会と「国家」とのせめぎあいの歴史を、社会の側からとらえなおす。
十数年にわたる学問的営為の結実した本格的通史。
上巻は列島の形成から九世紀(平安時代初期)まで。
[ 目次 ]
第1章 原始の列島と人類社会
第2章 首長たちの時代
第3章 国家形成への道
第4章 「日本国」の成立と列島社会
第5章 古代小帝国日本国の矛盾と発展
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[ 参考となる書評 ]
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日本史学における碩学が送る、日本社会の歴史の概説書。日本と朝鮮半島、済州島、対馬、壱岐、北九州、瀬戸内海など諸地域の海を通じての人的・文化的交流について比較的多めにページが割かれている。
最近日本史を勉強し直しているが、こういった視点から考えてみるのも非常に面白い。
気になった点
・倭王武は宋の皇帝に「東は毛人を征し、西は衆夷を服し…」と上奏したが、実態は逆で、東西の動乱鎮圧のため助けを借りる目的で宋に使者を派遣したとされる
・大化改新直前の643~44年にかけて新羅、高句麗では相次いでクーデターが起こり、日本でも熱狂的な呪術信仰が流行って平民の間でも社会転換を待望する空気があったこと
・7~8世紀の北海道は渤海と交易を行っていた
・長岡京、平安京遷都を行ったことで有名な桓武天皇は朝鮮から来た渡来人の地を引くとされ、百済王の子孫を重用した。同じく重用された藤原種継も渡来人系の秦氏と血縁関係にあった。早良親王や大伴家持は平城京の寺院と関係が深かったために遷都に消極的だったとされる。渡来人の子孫と寺院との間には何らかの溝があった?
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読者感想文指定の本。
今まで読んだことのないジャンルだったけれどおもしろかった。
教科書の行間を読んでいるよう。
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上中下巻読了。大和王権成立に至る世情や、治世から戦国乱世へと移り変わる世の中のウネリのようなものがおぼろげながらわかった。社会史という学問は面白いな。ただ、文章が読みにくい。一文400字とかザラ。長すぎて主語と述語の把握に苦労する。
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歴史小説を、時代を追いつつ読んでいくのと同時に、
手引きとして併読した。
上巻は平安時代初期まで。
通史のためか、読むのが面白くてページがすすむ、
というわけではないが、
前半の「はじめに日本人ありき」という思い込みをなくし、
日本列島の上で歩まれた社会を見ていこう、
といった内容は面白かった。
「日本」で縄文→弥生とひとまとまりに推移したわけではなくて、
東と西では歩みの速さも違う。
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日本の歴史の入門署として、岩波新書で井上清の著作があったが、イデオロギーにとらわれがちだった。本書は日本が農業国であるとの常識とされていたのを覆し、百姓を天皇が臣下へ与えた姓と主張した。
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何の因果か再読。
いつも不思議というか驚くのは、いわゆる縄文時代のような時代に海上交通(しかも長距離)が活発だったということ。博物館的な場所で見かける昔の船(あるいはその模型)で行き来することなんて今の(あるいは当方の)感覚からは信じ難い。人間の行動力ってのは凄いもんです。
あとは昔から中韓とは色んな駆け引きがあったんですなぁ、改めて他の社会との関わりというのはなかなかに骨が折れると感じずにはおれません。
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これまでの一般向けの歴史の記述は政治や権力機構が中心になっていたが、この著書の視点はこれまであまり目配りされなかった周辺地域や庶民、非差別民にも及んでいる。従来歴史という物は政治の道具であった。政治というのは日の当たる部分である。しかしその背後には必ず陰の部分がある。そして中心機構としての政権はもれなく周縁の力を利用してきた。この事はオフィシャルな歴史には登録されない。また一方でそういった周縁の種々雑多な物というのはわかりやすい歴史の構図には向かないものでもある。それにもかかわらずこれまでに記録の端々に姿をちらちら表してきた不思議なものをつなぎ合わせると何かしら新しく面白い像が浮かんでくるのではないだろうか。そしてその存在を知ったとき「今」の世の中のしくみへの理解が一段と深い物になるような気がする。
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平易な文章だが内容が難しくて1回読んだだけでは頭に入ってこない。大好きな持統天皇のことについても少し書いてあった。天武は持統天皇(鸕野讚良)以外の女性との間に十数人の王子がいたこと。後継者は持統天皇との子草壁王子に決まっていたものの、天武は(持統天皇の姉との間にもうけた)大津王子を高くかっていたこと。持統天皇と草壁王子は天武の葬儀の最中に大津王子を自殺に追いやったこと。その翌年には草壁も亡くなっていること、など。 いや、もっと高尚な話がたくさんたくさん書いてあったのだが、知識を自分のものにできなかった。
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☆☆☆☆
この程度の深さで、日本の成り立ちから平安時代初期までを振り返れたこの一週間は貴重な時間だった。
「日本」という国の成り立ち、大陸(中国)や半島(朝鮮)との関係やその力関係による緊張感に影響される日本のありようは、昔に学んだ学校での歴史とは違った種類の知識を与えてくれた。
また、国の型ができ、その組織が作られ、複雑になっていく過程では、権力闘争が繰り返されていく。穏やかな時代の印象持っていた平城、平安時代においても、どの時代、どの国の歴史同様の血生臭い権力欲をみせられた。
この本が優れているのは「日本社会」の歴史を描いているところで、歴史のメインストリームに主眼が置かれているわけではなく、読んでいると「社会」の動き、そのそれぞれの時代を暮らす人々の姿が想像できるところが良い。(これはゆっくりと時間をかけて読んだために得られたのかもしれない)
でも、次に『日本社会の歴史』(中)・(下)を読むのはいつになるかはわからないなぁ。
網野善彦氏は、この膨大な歴史のなかから、よく社会を見つめるための筋を提供してくれている。
2017/04/22
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日本人でも日本国でもなく、“日本社会“に関する通史。上巻は9世紀末、宇多天皇の治世まで。文化や技術、制度がどのよう変遷してきたかがよくわかる。