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190Pしかないのにもの凄く分厚かった。無限論だけかと思ったら、そこから群論、トポロジー、射影幾何学へと、テーマが連続していく構成でした。数学入門もそうだったんですが、とても読みやすい語り口なのに、なぜか肝心の所に限って図や説明が不足している気が…。
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無限を数えるなんて出来るの?そんな疑問に答えます。待望の復刊!systemの物語構築の流れが良くわかるはずです。
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ちょっとサラっと読むには難易度が高いです。
群について知りたくて読みましたが、途中で読むのを止めてしまいました。
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平易な語り口ながら、高校数学では現代数学の基礎であると説明されていつつも、いざ詳しい説明となると濁されてしまう集合とか無限とか群といった概念が、次々と繋がり有機的な展望が開ける、その説明の見事なこと。もっと早く読んでいたかった…。
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数学教育の分野で著名な数学者 遠山啓が、大学理系教養課程程度の数学を一般向けに紹介。現代数学に特有の論理性・抽象性が如何なるものなのか、豊富な具体例を通じてイメージをつかむことができると思う。扱われている主題は以下の通り。
第1章 無限集合論
要素間の如何なる関係をも捨象して「大きさ(濃度)」のみが考察の対象となる集合
第2章 代数系の理論
集合に演算・順序の構造を与えた代数系(群・順序集合・束)
第3章 位相空間論
集合に"遠近"の構造を与えた位相空間
第4章 現代幾何学
エルランゲン計画の観点から位置付けられる射影幾何学・非ユークリッド幾何学
現代数学が、「実体概念から関係概念へ」と視点を移したブルバキ的構造主義をくぐり抜けてきたことを改めて感じた。それにしても、本文の端々に著者の教養の深さが感じられる。遠山は東京工業大学時代の吉本隆明の師だそうだ。なお、本書を細部まで読み込もうとするならば、或る程度の数学的素養を要するだろう。
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[ 内容 ]
集合論の創始者カントールが始めた破天荒の試みは「無限を数える」ことであった。
それは現代数学が直面してきた課題である。
難解とされる現代数学の根本概念を、数式を用いずにやさしく解説する「数学への招待」として本書は書かれた。
音符が読めなくてもすぐれた音楽鑑賞家になれるように、数学を「鑑賞する」ための本といえよう。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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無限と連続をどちらから理解するとよいかは分からない。
数が無限に続いたり、数と数の間に無限の数があるという考え方から、連続を説明しようとすると、分からなくても、納得せざるを得ない世界に到達する。
本書から、数学の理解は、あきらめから来るような気がしました。
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無限集合、群論、トポロジー、非ユークリッド幾何学を平易な記述で扱っており、大変読みやすい。話の展開の仕方が絶妙であり、そのすべてに意味を感じられる。素晴らしい。
1952年の著作であるにもかかわらず、言い回し等にまったく古さを感じない当たりも本当に凄いと思う。教育に力を注がれた遠山先生ならでは。
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新書だけれど、これは新書のレベルを凌駕している気がする。少なくとも、哲学並みに難解ではある。というか、これ哲学の世界かもしれない。そもそも、無限はあるのか?ないのか?野矢は可能無限はあるが、実無限はないと言い切ったが、遠山はむしろ実無限を認めているというか、理想的要素と現実的要素は時代によってかわりうるので、今は時代が変わり無限も現実的要素として存在しうると述べている、この観点で野矢とはそりがあわなそうである。無限といえばカントールだが、本著もやはりカントールから始まる。つまり無限が存在しうるということである。ただ、無限にも係数があり係数には大小がある。よって無限は無限に内包され、より大きな無限が存在しうることとなる。具体的には、数→直線となるわけである。これはイメージでわかりうるかもしれない。数というのは数でしかないのだけれども、直線というやつは緊密に絡んでいる。みんなが数ときいて考えるのは数直線かもしれないけれどこれは数を直線に当てはめたものですよね、というわけで無限の観点から考えれば数直線は無限となる。だとすれば数の間には無限の数が詰まっており、これは濃度が高く緊密に点が詰め込まれていると言える。とはいえ、無限の中には何かがある。何かというのは、群や束である。束は一般的な数学の論理関係にといて扱われる集合であるが、群はそうしたものではないし、定義によって変わりうる特異的な性質をおびえているものと言える。それゆえにいくらでも変容しうるという能動的な性質を持ちえているのに対して、束は数学の論理関係においてのみ生じるという受動的な性質を持っているというところから著者は群に可能性を感じている。とはいえ、この無限と言う考え方はどことなく非科学的であり、現実性が薄い。つまりここから現実性へと回帰するために無限と言う観点から数学を再構築する必要がありそこで生じるのがトポロジーである。これは写像を唱えるヴィトゲンシュタインを理解するためにも必要な理論とも言えるのだろうが(あるいは心理学で言えばレヴィン)、このトポロジーが曲者なのである。つまり、トポロジーというのは点から点へと写すということである。しかしここで写されるときに直線は向きを変え、大きさも変え、角度も変わりえてしまう。だが、変わらないものもある。それは関係性である。また、連続性も同様である。ちなみにトポロジーの優れた点はありとあるものがこれで数学的に変換されうるということであり、複雑系なんかもトポロジーからヒントを得ているのかもしれないし、レヴィンの場の理論なんかもトポロジーを心理学的に応用したものである。そうして、トポロジーの写像により、トポロジーはより複雑な現象をも記述しうるし、そしてそれがより単純に記述されうるのである。かくしてユークリッド幾何学は超越され、非ユークリッド幾何学が生まれる素地も出来上がる。ユークリッド幾何学のような安定とした世界観は否定されるのである、だがここからまた秩序が構築されねばならず、かくしてトポロジーの中に群が構築される。その群はより単純な性質を持ちえており、やがてアインシュタインの相対性理論なども生まれる。つまり、ニュートンが想定したような絶対空間はなくとも、空間がかわっても座標が変化しない点がありうるという想定でありかくして数学は危機を弁証法的に乗り越えていくことで発達し続けるのである、といった感じだろうか?つまり、数学は現実的な枠組みに押し当てられるが、それは我々の常識によるフィルターを通してみているものでしかなく、なのでそのフィルターはやがて破られる。だが、そうして非現実的となった数学を安定させるためにまたフィルターをつけるのだが、それがまた破られそれが延々と繰り返される。かくして数学は「抽象と具象の狭間を揺れ動く生き物」と言えるのではないか?
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~とも言うべきだろう、という言い直しが多用されている。出発点と終着点とを入れ換えて高みを目指すスイッチバックが数学では頻繁に出てくるとのことだが、本書でも、言い換えで理解の高みを見せてくれる
1952年出版とは思えないほど、分かりやすい丁寧な書き方。良書
1部
集合は順序を破壊し、残った数の多さを比べる。そのとき、要素の数が無限だと計数することは無意味なので、要素の一対一対応によって集合間の多少を判定する。加算無限集合では、次元は関係なくなる。ヒルベルトの無限ホテル
2部
要素間に関係を定義する。群
3部
点、距離、閉集合、位相
4部
幾何、射影、平行線、長さ、角度、非ユークリッド幾何
4章はさすがに無理があって詭弁、と思いきや、アインシュタインの相対性理論の導出は同じ、となって感心する
1章は理解できたが、2章以下は何となく分かったぐらいなので、再読が必要
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(1969.03.30読了)(1969.02.24購入)
*本の帯より*
「無限を数える」とはどういうことか、それは数学が直面してきた課題である。本書は百年このかた高度に発展をとげた現代数学の根本概念を、万人のものとするために、平易な言葉でよびかけた「数学への招待」であり、難解な数学の真意を語る「数学者の弁明」でもある。
【目次】
第一章 無限を数える
第二章 「もの」と「はたらき」
第三章 つくられた空間
第四章 始めに群ありき
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1952年著、岩波新書青背3である。全4章。最初はカントールの無限理論と集合論である。カントールの無限論は一対一対応によって無限を数え、「無限では部分が全体に一致する」、「無限にも大小がある」ことを示した。この無限集合論によって数学は再構築を迫られ、集合論では考慮されなかった数の関係を構築したのが、「抽象代数学」と「トポロジー」である。第二章は「抽象代数学」の話で群論(群・環・体・束)がでてくる。群とは「もの」ではなく「働き」を代数として扱うことである。三すくみや系図などの「関係」が数学の対象として扱われている。こうした「関係」には反射的・対称的・推移的などがある。第三章は、「トポロジー」である。デカルト座標から出発し、二次元・三次元・四次元と「距離」を拡張し、無限次元の話までいく。つぎに「距離」の概念を放棄し、位相空間の説明をしている。これはゴムのように自由に変形する空間であり、そのなかで変わらない本質とは何かということが問題になる。第四章は、非ユーグリッド幾何学の話で、今やコンピュータグラフィックで使われている射影幾何学やアフィン変換などについてふれている。数学者の逸話もいろいろと紹介されていて、盲目のトポロジスト、ポントリャーギンやロバチェフスキーなどの話も読めて興味深い内容だった。
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真の教養と呼ぶにふさわしい本。現代数学の道のりとは拡張、抽象化、妥当性の確認、不変量の発見を繰り返していたのか。数学的概念の真意を知る喜びがあった。
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- 多様性と単一性
- 血液型の輸血できるという関係は束
- 推理のスイッチバックによってより高い抽象へ
- 変換群によって変化しない性質を扱う
P81の aga^{-1} = gg^{-1} = g が分からなかった
P174の引用:"ユークリッドの直線は、このモデルの「直線」に比して無条件に実在的であろうか. よく考えて見れば、そのような常識を支持する論理的根拠はひとつもみつからないのである."
非ユークリッド幾何学の'線分'ではない見た目上無限の距離を持った「直線」を当たり前のようにひょいと引いて使っているのはおかしく見えなくもない。非ユークリッド幾何学の(見た目)線分(直線)も目ではなく「手で見る」と無限の距離を持ってるけど。
今慣れ親しんでいるものが全てじゃない。
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無限、群、位相空間、非ユークリッド幾何学など、数学啓蒙書でよく取り上げられるテーマに関する遠山啓による著書。類書に比べて、最も短く最もわかりやすく、深さと広がりをもっている、といってよい。ゴールに向かって最短距離で急降下する話の進め方、適切な例示、一般化による広がりは数学において最も味わうことができる。