紙の本
まじめにおかしく
2020/02/11 21:57
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投稿者:やましお - この投稿者のレビュー一覧を見る
町田康はこれがはじめて。表面的にはおもしろおかしく書かれているが、中身はわりに論理的。いくらか読み進めるうちに、そのごりごりとして丁寧な筆致につかまれていた。
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酒飲みの大先輩である町田先生が断酒に至った経緯(?)や思索、その効果が綴られており、大変興味深く読ませていただきました。
町田先生自身が酒をやめようとした経緯がよくわからないようですが、なんとなく人生の憂さや寂しさを酒で紛らわすことの虚しさに気づいてしまったのかなと感じました。私のような毎日お酒を飲んでいる人が読めば、「酒」というものを改めて考える良い機会になると思います。
断酒のための方法としての「認識改造」というのも実際に行われている「認知行動療法」に似ている部分もあり、認識の変え方は人それぞれではあると思うもののとても参考になります。
自分自身はまだ「断酒」を決断するほど悟れていませんが、「酒を飲んでも飲まなくても人生は寂しい」という言葉は胸に刻み、大酒で溺死しないように、せめて「節酒」を心がけたいと、感じました。
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昔、『パンク侍、斬られて候』を途中で挫折してしまった著者。
今回も全ての文章の面白みを理解はできてないんだけど、理解できたところだけでもかなり心にぶっ刺さった。
・楽しいと感じている主体である自分が酩酊しているのだから、その楽しさ自体が確かなものではないため、楽しさと苦しさが釣り合わない。
・幸福とはあくまで主観的なものであり歪曲して都合のいいように偽ることができる。「不当に奪われてきた権利を回復するために酒を飲む」と考えてしまうがそんな権利は元々なく、人間には幸福を追求する権利は認められているが、幸福になる権利を当然と認められているわけではない。
・自分自身はあくまで「普通の人間」であり、普通、人生は楽しくない。「人生は楽しまなければならない」という強迫観念から逃れなければならない。楽しさは求めるものではなく不意に訪れるものであり、苦楽は均衡する。
・自分を普通以下のアホ、と自己認識することは、自分を普通以上のかしこ、と認識することから生じる虚無・退廃から自らを救い、より多くの発見と驚き、そして学びをもたらす。この過程で得る最大のメリットは、些細なことに喜びを感じる感覚を取り戻すことができるという点にある。
・他人と自分を比べることによって自分の価値を計ることの無意味を知る。
・断酒に「非常時」はない。正月などというものは流れていく時間の任意の一点に過ぎず、特別な意味などなにもない。別に正月が酒を飲む理由にはならない。そして。人生というものは特に楽しいものではないので、酒を飲んで無理に楽しくする必要もないし、楽しくしないと世に後れを取るということもない。というか、逆にそんなこともわからないで、欺瞞の楽しみに現を抜かしていると、そのツケの支払に後日、苦しむことになる。
休みの前の日と飲み会でだけ酒を飲んでいて、時間と金の使い方とか翌日のコンディション的に無駄かなーと考え始めてたところだったのでめちゃくちゃ参考になった。
自分も「休日前だから」っていう冷静に考えれば特に理由にもならない免罪符を使ってたから、正月は非常時でもなんでもないってところは自戒も込めて深く納得した。
とりあえず宅飲みを控えることから始めたので、これからも手元に置いて意志折れそうなときに読み返していきたい。
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町田康さんは、ぼくが20年近く追いかけてきた作家です。
町田さんがいなければ、今の自分はありません。
少なくとも小説は書いていないのじゃないかしら。
町田さんの影響で小説を書き始め、小説を書くのに膨大な時間を費やしてきました。
この膨大な時間を、金儲けのために使っていたら、今ごろ自分は……。
いえ、町田さんには本当に感謝しています。
町田さんと言えば、大酒飲みで知られています。
エッセーにも、酒にまつわるエピソードが数多く出てきます。
その町田さんが酒を断ち、それも4年前から1滴も飲んでいないと本書で知り、腰を抜かすほど驚きました。
酒を飲まない町田さんは、果たして町田さんと言えるのでしょうか。
そうも考えました。
本書を読んで、本当に止めたんだと何だか感動さえしました。
町田さんほどではないにしても、酒飲みにとって禁酒は大変に辛いことです。
かく言う私は毎晩、缶ビール1缶とワインをグラスに2杯飲むことを習慣にしています。
休肝日は週1回。
ただ、1日お酒を止すだけでも寂しい、何か人生を損したような気分になります。
しかし、本書によれば、そんなことはありません。
酒があろうとなかろうと、人生は寂しいものなのだとか。
心に沁みますね。
本書は、禁酒をしたい人のための一級のハウツー本になっています。
ぼくも、読みながら、禁酒を何度も考えた次第。
さらに、例によって町田節が炸裂し、随所に笑いが散りばめられていて飽きさせません。
個人的には、酒を止した町田さんの作風が変わってしまわないか心配です。
で、ちょっと調べてみました。
町田さんが酒を止したのは2015年12月です。
最新刊は、9編の短編を収めた「記憶の盆をどり」。
9編のうち、後半の4編は恐らく酒を止してから書いた作品です。
で、前半の5編と比べてみました。
全く分かりませんでした笑。
表題作「記憶の盆をどり」(2016年11月配信)は、次のような書き出しで始まります。
「去年の暮れに酒をよした。人にそう言うと必ず、『どうしてよしたのですか』と問われる。」
最後はこんな文章で締めくくられています。
「ああ。酒をやめなければ。酒をやめさえしなければ死後の生を生きていられたのに。そんな後悔が頭を駆けめぐる。シャワーの音がやむ。」
このころはまだ、酒に未練があったのでしょうか。
禁酒して初めの頃は、7秒に一度くらい酒のことを考えていたのだとか。
それが3カ月も経つと、酒のことを考える時間の方が少なくなったそう。
酒を止して、「痩せた」「眠れる」「仕事が捗る」などの利得があったのも自信につながったようです。
そうですか。
うーむ、酒を止めようか、どうしようか。
果たして止められるのか。
うーむ、うーむ、うーむ。
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僕も毎晩ハイボールを1~2杯飲むほどの酒飲みなので、そのうち健康を害して飲酒をやめたくなった時に参考になるかと思ったのだけど、レベルが何もかも違うのであまり参考にはならなかった。飲酒の経費がせいぜい1ヶ月4~5千円程度で町田さんには二日分で、どこかお店で飲むようなことも書いてなかったので自宅でそれほどの飲酒をするというのが想像もできないレベルだ。
ただ常に自惚れるなというような戒めが説かれており、それは心がけたいことだ。
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実は自分も「しらふ」で生きて、8年目に入っています。食べる、寝る、と同じように、飲む、が人間にとって当たり前だと思っている人はまだまだいっぱいいて、未だに、飲まない理由を説明するのが大変です。特に、昔、がぶがぶ飲んでいた時代を知っている人にとっては、どんなに説明しても納得してもらえてないことは、その眼を見ればわかります。その不信感を和らげるためには、お医者さまからの指示、とするのが一番当たり障りがないので、それを公式理由として採用していますが、まあ止めた理由はそれだけでもないのです。という、もやもやを打ち明けた人から、だったら、これ読みなさいよ、と勧められた本です。著者は自分のように世の中の通りがいい理由に逃げずに、いちいちくだくだと「しらふで生きる」ことを語っています。先ずは「飲む」ことが正気、「飲まない」ことが狂気、という出発点が目鱗。酒に頼ったなんちゃって狂気より酒を入れない人生の方が、よっぽどクレージー!ということになると思います。ということで、酒無しクレージートークがえんえんと続きます。もはや文章が酩酊状態。もともと町田康の特徴なのだと思いますが、読んでいるうちに脳内になんか物質が分泌されていくような気がします。多分お酒を飲みながら読めば、面倒くさいくなって読むのやめちゃう、と思いました。頭脳覚醒状態で読了しても、なんか、なんの話だったかよくつかめないが面白いです。断酒の効用も書かれていますが、これ、自分には付け足しに思え、酒ありでも酒なしでも、人間ってゆらゆらした状態だ、という酔っぱらいのくだくだを聞かされている気分で、読む酒、という初体験本でした。たぶん、とってもいいこと言っているけど、なんか覚えていない、という酔い覚め読後感でした。
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4年間断酒している元大酒飲みのエッセイ。
自分のような飲酒をコントロールしたいと考えている過量飲酒者には役立つ視点が多かった。
自分が本書の肝だと感じたのは「飲酒にいたるメカニズムと、それをどう意識改造するか」という部分。
⇛自分は他人よりないがしろにされている
⇛自分にも幸福になる権利がある
⇛酒を飲めば幸福になれる
自分の中でこれより優先できる考え方を手に入れる必要がある。
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自己認識改革だけで酒がやめられる?そんなウソみたいな本当の話。180万部売れるビジネス本のように即効性のあるメソッドはほとんどないが、なんでやめられたかわからない人の話の方がなんかやめられる気がしてきます。今んところ全然やめられる気がしないけど。
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酒をやめて、やめようと思ってからやめている今現在までをこんな風に、この人にしか絶対に書けない書き表し方で言語化していく作業、きっと楽しかったはず。と読んでいる方がニヤニヤしてしまう面白さ!
第三刷を買いましたが、帯文がちょっと残念な感じでした。ハウツー本みたいな。そういうんじゃ無いだろーって。
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ところどころ吹き出す。
相変わらず御宅を並ばせれば天下一品。
365日中365日、飲んでたお酒を止められたってのはすごい!(すでに3年以上経過)
尊敬に値する。でもこの先もずっと飲まないのかなぁ。
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幸福になる権利などなく、普通というものは自分でかくあるべき、かくありたいと設定しているもの
当たり前と考えている自己の認識を変えることで酒を絶つ
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この本と出会ってから半年以上経過。
週一回の外食でのお酒は減らない。
楽しみでもあり、良しとしよう。
それ以外は、禁酒をできている。
昨年までは360日呑んでいたが。
すごい変化だ。
五キロは、痩せた。
週一回のアルコールは、
今まで以上に、酔う(^^)
良い本に出会ったなぁと時間が
経過して思いました。
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お酒を飲んで話した方がたががはずれて頭脳明晰になるような気がしていましたが、それは誤りでした。脳髄のええ感じになる、あれこれがぱちっとつながるような思考回路は、酒なしのときに起こるようでした。確かにお酒を飲んで話したことはあまり頭に定着しない思いつきであるかもしれないです。飲み続ける理由よりやめる理由の方が圧倒的にまさる。そのことをたたみかけていく内容でした。
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人生は一切皆苦やから、酒飲んで、夢見たり、楽しなってみたりしようとしても、ホンマは、やっぱり苦でしかないし、そんなんやったらやめてまえ。という本。
30代中盤で小池龍之介氏の著作を読んで、仏教、禅の考え方に傾倒したことがあった。
私の理解では、その考え方というのは「人生一切皆苦。心を休めるためには、禅の力で苦の源泉の雑念を放つことが肝要」というもの。修行(禅)で無意味な刺激、それに起因する雑念を切り離し、捨てるということ。
この考え方を身に着けるため修行に時間を使い、一切皆苦(=人生)から解脱するというのは、ある意味自殺と同じような気もして、やはりなんとなく気持ちが離れていって、修行に身を投じず、普通の生活をして、50代を迎えている。
この「しらふで生きる」は、ちょっと禅の考え方に似ている気がした。
なんでも程度問題、というのが一つの答えな気もする。
町田さんの本を読むようになって早、十数年が経ってしまった。僕も歳をとったし、町田さんも歳をとったんだなぁ、とつくづく感じる一冊だった。
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酒での失敗が続いたので読んでみた
読み辛い
けど、なんとなくわかるわあ
ってのは数多くあった
酒止めたい、って思ってる人以外は全然面白くないんじゃないかな
そもそもそんな人しか読まないか笑