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ここ数年、よく聞くようになった8050問題。しかし、報道では歪んだ情報として挙がることも多く、問題の本質が分かりにくいけど、これを読んで少しでも理解できたような気がする。きちんとした情報として、もっと知られるべきと思う反面、世に広まれば広まるほど当事者たちは益々社会に姿を現しにくくなるのかなとも思い、この問題に関わらず、情報の発信の仕方って簡単なことじゃないなと思った。
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図書館で借りた本。高齢の引きこもりの問題が顕著化したのは犯罪起こしたニュースが続いたからかな。この本は50代の引きこもりの人達の実情と原因、家族関係や生育環境も調べて、NPOがサポートしながらその後どのように暮らしているのか事案として数例挙げている。母親がキーポイントで過干渉や教育熱心さなど、子供を自分の思い通りに育てたいあまり、子供が子供らしさを捨て我慢や萎縮しながら育っていく過程があるようだ。ある意味、ひきこもりで社会から断絶するのは社会的にステータスの高い仕事に就いた子供自慢をしたかった母親への復讐なのかもしれないと思ってしまった。子供だけを生き甲斐が執着の対象にしてはいけないな。
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8050問題──80代の親が50代の引きこもりの子を抱えている状態、そこから派生する問題を指す。引きこもりになる原因はいろいろとあるが、本書は特に“家族”に焦点を当てて考察している。自分が育ってきた環境や子供に対する接し方などを振り返って考えさせられた。先日読んだ『東京貧困女子。』でもやはり“家族”が問題になっているケースが多く、この国が抱えている病根は深いと思った。
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7つの家族の再生の物語との副題.読み終わって,必ず再生したかどうかはこれからの課題だろうとは思った.彼らは今の現状を家族の関係性に置いているが,それを改善したからと言って根本的な解決にはならないだろう.とにかく当事者にとっては気の毒だ.
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2010年代 家族支援の失われた10年 その前に保健所が解体され、保健福祉事務所になった
本音と本心が言えたら、次のゴールは家の中で快適に引き込むことです。ひきこもりを苦しくてつらい時間にするのではなく、自分の居場所を持ち、ゆっくりゆったり時間をすごすことが必要なんです。そうすることで、ようやく自分の欲望や希望が見えてみきます。
利用者と話してみると、いかに親と学校にキヅつけられてきた人が多いかわかる
8050問題が解決しない原因には、このような親の見栄の部分も大きい
明石が本人に掛ける言葉、
「ひきこもっている状態をこのまま続けていくにはどうしたらいいか、一緒に考えようよ」
本人の意思を伝え、親がそれを認めただけで、家の中の雰囲気があたたかなものになることを明石は何度も体験してきた
彼らは、「私をみてほしい」と思っている。今、私は寂しいと思っている、悲しいと思っている。そして、寂しい、悲しいと思う自分を見てほしい、と。でも今まで彼らはそうされてこなかった。そして、悲しんでいる場合じゃない、次へ進めというこちら側の常識を押し付けられてきた。今。私達の側に必要なのは、「自分たちの常識を、相手に押し付けない」ということだと思いますね
医師 中村哲
「今、何ができるかではなく、今、何をしてはいけないかを知ることが大切なのだ」
「お母さんは、すぐに彼の世話を焼いてしまいますね。もうずっと長い間にわかって。そしてそれが、芳賀家の母と息子の関係だったわけですよね。だけど、突き放すというか、彼のことは彼に任せるということをしていかないと、彼はいつまでも独り立ちできない。おああさんが先回りしてアドバイスをしてしまうと、「お母さんがこうしたと言うから、しだんだよ」になってしまう。その繰り返して、ここまで来たのではないですか?」
就労のための地域若本サポートステーションは対象が15-39歳だった
2009年からひきこもり地域支援センター 年齢制限をかけなくなる
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ひきこもり、ヤングケアラー、児童虐待、このところ読んだ本だが、どれも社会から見えにくく、見過ごされてしまう問題だ。
そしてどれも親子関係から発生している問題だ。
根っこは同じかもしれない。
世の中の支援があって社会に戻ってこれる人が一人でも多くなることを願う。
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本書に登場する7つの事例をもって、8050問題の全てを包括しているわけでは無い、100の事例があれば全て違った問題を抱えている、というスタンスは評価できる。
しかしながら、7つの事例に関しても表層をなぞっているだけという印象はまぬがれない。それだけ家族の問題というのは奥深く、他者の介入を許さないということもできる。
この手の本では「居場所」づくりなることが盛んに言われる。確かにそれで救われる人も少なくないのだろうが、「徹頭徹尾人とは関わりたくない」人へのアプローチをどうするべきなのか、就労をゴールとするこれまでの支援に意を唱えたのは良いが、やはり他者との交わりを最終ゴールに据えている点ではこれまでと変わりないのではないかと感じてしまった。
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80歳台の親と引きこもりの50歳台のこども。地域から孤立し、社会から忘れられた隠花植物のような生活。
貧困の中で共に老い、やがては精神的に朽ちてゆく。
その中で、奪われた人生を取り戻し、「自分自身」を回復するために孤独で壮絶な闘いを闘うこどもたちがいる。すべて、とは言えないまでも、引きこもりの根っこにあるのは歪んだ家族関係だ。言わば親子という底無し沼。「家庭内の問題」であるがゆえに、社会から隠し、あるいは隠され、支援の手は届きにくい。もしくは当事者である家族から拒否される。あまりにも深刻で悲惨な実態に私は何ができるのだろう。引きこもりからは遠い人生を過ごしてきた自らを省みるとき、深い虚無感に襲われる。しかし、これは過去の問題ではなく、私たちの「家族」が抱えるかもしれない未来の問題なのだ。
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2019年3月に内閣府が発表した調査結果では、15〜39歳の引きこもりが54万1,000人、40〜64歳が61万3,000人いるという。65歳以上の調査報告はないが、間違いなく何万人といるのだろう。愛着なく、又は異常な愛着の元で育てられた人間の末路である。
この100万人を越える人たちを一人でも救うすべはあるのだろうか?
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著者、黒川祥子さん、どのような方かというと、紹介記事には次のように書かれています。
---引用開始
ノンフィクション作家。1959年福島県生まれ。東京女子大学卒業後、弁護士秘書、ヤクルトレディ、業界紙記者などを経てフリーランスとなる。おもに事件や家族の問題を中心に執筆活動を行っている。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
推計61万3千人。深き苦悩を見つめた、
希望と救いのノンフィクション。
「8050問題」とは、80代の親が50代のひきこもりの子を抱えている家庭、そしてそこから派生する問題を指す。
1990年代後半から顕在化してきた若者のひきこもり問題が、解決せぬまま長期化。
親が高齢者になるとともに当事者が中高年に達し、今、深刻な社会問題として浮上してきている。
本書では「8050問題」の根源には「家族の機能不全」があると捉え、当事者や家族、支援者に密着取材。
その現状や心理をリアルに描写する。彼らはどこでつまずき、何によって光を見出したのか。
その格闘の姿を伝える、希望と救いのノンフィクション。
---引用終了
「8050問題」の名付け親が気になるところ。
どうやら、大阪府豊中市社会福祉協議会所属のコミュニティ・ソーシャルワーカー勝部麗子さん?
●2024年2月15日、追記。
林真理子さんの『小説8050』(新潮社)では、本作を主要参考文献として挙げています。