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一応、高校生を意識して書かれている本だが、大学生でももしくはそれ以上の歳でも問題なく楽しめる一冊。
上巻では、力学、熱学の成り立ちについて触れる。物理の諸法則の存在を知るだけでなく、その成立に至るまでの経緯がわかりやすく説明されている。
物理の深い理解にはこうした歴史的な背景を知ることが不可欠である。
まだ、物理学の変遷をたどったことがない人はぜひこの一冊でその一部だけにでも触れてほしいと思う。
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新書とはいえ、決して簡単ではない。古代のアリストテレスから、中世の錬金術、ケプラー、ガリレオ、ニュートン・・・とそうそうたる面々が出てくる。
難しい物理学の理論は分からないが、科学史にわりと興味がある自分としては割りと満足できる内容であった。個人的には、アリストテレスと中世教会の哲学、およびルネッサンスとの関係が興味深い。議論がわかれているようだが、アリストテレスの哲学はルネッサンスに対抗して顕れていたのか、それともむしろルネッサンスのきっかけとなったのか、それが気になった。
増刷もかなりされているようで、良著であろう。
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※上下巻同じレビューです
物理学とは何か、ということをガリレオ、ケプラー、ニュートンあたりから始め、20世紀初頭の物理学あたりまでを科学史的な感じで語っています。
バックグラウンドにある思想や哲学、社会状況にまで言及しているところが面白いです。
ただ、物理学とは何だろうか、と言っておきながら、十全に理解するためには、そもそもある程度物理学を知っている必要があると思いました(笑)
だいたい、大学教養レベルくらいの物理かな?
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日本人二人目のノーベル物理学賞受賞者であり、先に受賞経験のある湯川博士をもって「私がそれまで知っていたどの友人よりも頭が良い」と言わしめる朝永氏が平易な言葉で語りおろした、近代物理学の歴史とその成立について。序章にて物理学を「われわれを取り囲む自然界に生起するもろもろの現象―ただし主として無生物に関するもの―の奥に存在する法則を、観察事実に拠りどころを求めつつ追求すること」と定義しているのだが、万有引力や熱力学の発見の過程が語られていく中で、いかにこの言葉が歴史に裏打ちされたものであるかを教えてくれる。
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学生時代に買った本だが、正月休みの帰省の際にもう一度読み返してみた。著者はノーベル物理学賞を受賞された朝永振一郎先生。本書は二部に分かれており、古代の呪術、占星術、錬金術などがどのような過程を通して、物理学となるに至ったのかが述べられている。
改めて、基礎科学とはどういうものかという事を見直す事が出来た様に思う。序章において述べられる、
「われわれを取り囲む自然界に生起するもろもろの現象-ただし主として無生物に関するもの-の奥に存在する法則を、観測事実に拠り所を求めつつ追求する事」
という文章が、ケプラー、ガリレオ、ニュートンという時代の流れとその時代の考え方を追いかけることで、より明確になってくる。
第一章は主として占星術から天文学、古典力学に変遷する過程、第二章は錬金術から化学、熱学、熱技術が生まれる過程が主として述べられている。
題名通り、「物理学とは何か」という問題に対して一つの解答が得られた書である。
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ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎が、「物理とは?」をテーマに書いた本。
物理学史のような側面もあるが、重視されているのは発想のリレー。すなわち、誰がどんな着想を得、それを引き継いでどう発展させてきたか。
読みやすいし、非常に為になる。
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2013/04/30-2013/05/06
☆3~4?
東大駒場図書館KOMEDコーナーにあった本
タイトルそのまま「物理学とは何か」を物理学の歴史にそって考えていこうとしている本。ただし著者の朝永さんが下巻を書いている途中に逝去されたため未完。
上巻では、ニュートン以前の力学から熱力学のさわりまでの歴史が説明されている。
つまり、物理学がどういう思考方法で今のようになっていったかを解説していこうとしているわけだ。ニュートン以前の力学からニュートン力学という、どこでも統一的に使える公式を持った物理ができるという流れと、技術と科学の兼ね合いをとりながらできていった熱力学の流れ。
物理学を知らない人でも読めるように工夫がしてあって、これなら多分文系の方でも困らずに読めるとは思うが、逆にデメリットとして、あんまり歴史の深い所、すなわち難しい数学が必要な所まではすすめていない。
まあそこまですすめようとしたら上下巻では済まなかった気もするが。
科学史から物理学を見てみたい人にはお勧めするが、現代の物理学観と照らし合わせてどうか、というのは僕にはよく分からない。
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良質な読み物。最初に、物理学とは何か、をケプラー、ガリレオ、ニュートンの力学を通して語り、次に科学と技術の関係を取り上げつつ、熱力学の数式化を図る。どちらも歴史的変遷を踏まえており、教科書的ではないのが、読み物として面白いのだ。熱力学は紙と鉛筆準備して臨んだ方が理解が深まるだろう。
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(2015.11.24読了)(2006.10.29購入)(1984.04.10第13刷)
【ノーベル物理学賞】
著者は、1965年のノーベル物理学賞受賞者です。朝永さんの本を読んでみようと、何冊か買い集めたのですが、二年前に一冊読んで、やっと二冊目です。
1979年7月8日に亡くなっているそうなので、この本が出版されて、間もなく亡くなられたということになりますね。
「物理学とは何だろうか」と題されていますが、物理学史という感じです。物理学は、なにを対象にして、どのようにでき上がってきたのか、ということをわかりやすく説明しようとしているのですが。
ケプラー、ガリレオ、ニュートン、あたりはわりと理解できていると思うのですが、ワットの蒸気機関に始まる熱力学のあたりは、残念ながらお手上げです。
【目次】
序章
第Ⅰ章
1 ケプラーの模索と発見
2 ガリレオの実験と論証
3 ニュートンの打ち立てた記念碑
4 科学と教会
5 錬金術から化学へ
第Ⅱ章
1 技術の進歩と物理学
2 ワットの発明
3 火の動力についての省察
4 熱の科学の確立
引用出典
ケプラー[1571~1630]
ドイツの天文学者。ティコ=ブラーエの学を継ぎ、火星の公転軌道を決定。またケプラーの法則の確立、ケプラー式望遠鏡の考案、天体表「ルドルフ表」の編集を通じて、近代天文学の先駆者となった。主著「宇宙の神秘」「世界の和声」。
(デジタル大辞泉)
ガリレイ(Galileo Galilei)[1564~1642]
イタリアの物理学者・天文学者。振り子の等時性、落体の法則などを発見。自作の望遠鏡で天体を観測し、月の凹凸、木星の4個の衛星、太陽黒点などを発見してコペルニクスの地動説を支持し、教会から異端者として幽閉された。著「天文対話」「新科学対話」など。ガリレオ=ガリレイ。
(デジタル大辞泉)
ニュートン(Isaac Newton)[1642~1727]
英国の物理学者・天文学者・数学者。運動の法則、万有引力の法則の導入、微積分法の発明、光のスペクトル分析などの業績がある。1687年「プリンキピア(自然哲学の数学的原理)」を著して力学体系を建設し、近代科学の範となった。
(デジタル大辞泉)
カルノー【Nicolas Léonard Sadi Carnot】1796‐1832
フランスの技術者,物理学者。熱力学第2法則の原型ともいえるカルノーの定理を見いだしたことで知られる。フランス革命政府軍の政治家であった科学技術者L.N.M.カルノーの長男。1814年エコール・ポリテクニク卒業後軍務に服したが,24年休職を許され,以後科学研究に専念した。彼の関心は医学,道徳,政治,経済など広い範囲に及んだが遺稿の焼失が惜しまれる。最大の業績は,《火の動力についての考察》(1824)にまとめられた熱機関の理論において熱力学の最初の一歩を踏み出したことである。
(世界大百科事典 第2版)
●物理学とは(5頁)
「われわれをとりかこむ自然界に生起するもろもろの現象―ただし主として無生物にかんするもの―の奥に存在する法則を、観察事実に拠りどころを求めつつ追及すること」
●天文学(10頁)
自然現象のなかに一定の法則があるだろうという点にかんして最も早く人目を引いたのは天体の運動でしょう。
●ニュートン(113頁)
かつてガリレオによって実証科学の最も感嘆すべき特徴といわれたものがニュートンに至って最も完全な形で実現されたのです。しかもここで、ケプラーによって発見された天界の法則と、ガリレオによってつきとめられた地上の法則とは、厳密な数学によって一つの法則体系のもとに統合されたのです。
●吸い上げポンプ(141頁)
井戸や河の水を吸い上げるのにポンプを用いるという技術はいつごろ誰が考えついたのか知りませんが、すでに十六世紀ごろ、吸い上げポンプでは約十メートル以上水の吸い上げができないことをポンプ職人たちは知っていました。
(大気圧の発見につながった)
●熱に起因(154頁)
地球上でわれわれが目にする大気の擾乱、雲の上昇、降雨、その他もろもろの大気現象はみな熱に起因するし、地震や火山の原因もみな熱にある、と彼(カルノー)はいい、熱がいかに大きな動力を、今日の言葉でいえば大きなエネルギーを、そのなかに含んでいるかについて述べています。
☆関連図書(既読)
「鏡の中の物理学」朝永振一郎著、講談社学術文庫、1976.06.30
(2015年11月26日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
現代文明を築きあげた基礎科学の一つである物理学という学問は、いつ、だれが、どのようにして考え出したものであろうか。十六世紀から現代まで、すぐれた頭脳の中に芽生えた物理学的思考の原型を探り、その曲折と飛躍のみちすじを明らかにしようとする。本巻では、ケプラーから産業革命期における熱学の完成までを取り上げる。
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ノーベル賞受賞者:朝永振一郎がほとんど数式を使わずに、物理学の基礎を解説してくれる本。上巻の前半は、ケプラーからガリレオそしてニュートンへの流れを通して古典力学の導入を説明し、後半はワットからカルノーそしてクラウジウスへの流れを通して熱力学の発生を説明する。また、科学と宗教、科学と技術といった興味深い内容にも触れる。研究ができることと、このように科学の歴史をひもときながら初学者に向けて平易な解説をするのは異なる作業だと思うが、朝永がどのようにしてその二つを高い次元で達成したのかというのが面白い問だと思う。
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ケプラー、ガリレオ、ニュートンの力学系,および熱力学の成立まで簡潔に述べられている。,ケプラーは晩年は不遇だったのね。
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くりこみ理論でノーベル賞を受賞した故朝永振一郎著。物理学の発展を16世紀のケプラーから述べている。自然の観測とそのデータを元にした推論や実験が占星術や錬金術を物理学や化学へ変身させていく力となった。
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◇序章
◇第I章
・1 ケプラーの模索と発見
・2 ガリレオの実験と論証
・3 ニュートンの打ち立てた記念碑
・4 科学と教会
・5 錬金術から化学へ
◇第II章
・1 技術の進歩と物理学
・2 ワットの発明
・3 火の動力についての省察
・4 熱の科学の確立
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丁寧に紡がれていく、物理学の歴史。
著者の思いが伝わってくるかのようでした。
ただ、問題がひとつ。
物理学が辿ってきた歴史の概要だけではなく、それぞれの発見や理論の中身にまで踏み込んだ内容が、とても丁寧かつ流暢に紡がれていくので、物理学にあまり馴染みのないぼくのような読者は、読み始めると眠気が襲ってきて困りました。
とても面白くてためになる書であることは間違いないのですが、読み始めるとすぐに瞼が重くなってしまうのです。
これは、学生時代に刷り込まれた条件反射に違いないです。(違います)
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物理学とは、「自然界に生起するもろもろの現象の奥に存在する法則を、観察事実に拠りどころを求めつつ追求する」「自然の法則を数学的に表現すること、そして個々の法則をばらばらに発見するだけでなく、そのなかから最も基本的なものをいくつか選び出し、それから他の法則が導き出されるような体系をつくること」すなわち、物理学は実証科学である以外に論証科学である。後半の熱に関する話題は、やや難しい。。再度挑戦要。