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美術愛好家のはしくれとしては、著名な三人がどのように美術鑑賞をしているかは気になるところ。
とはいえ、まったくアカデミックな話は抜き。
「美術は役に立たない」といい意味で開き直り、だからこそ純粋に楽しもうという姿勢が一貫していた。
また心に残ったのが、「知らないことは財産だ」ということ。
もはや見慣れてしまった絵を、初めて見た時の感覚など忘れてしまっているし、もう二度とその感覚は味わえない。
でも考えてみれば世の中は「知らないこと」で満ちている。
「知らない」ままで済ますか、食わず嫌い返上で飛び込んでみるか。
初老と自称しつつ、つねに新しい出会いを貪欲に探す姿はまさに「青春」そのもの!
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最近美術館・博物館に行く機会が増えたので手に取ってみた。美術鑑賞は「好き」「嫌い」でいい、大人は「好き」「嫌い」の基準で物事を判断することに慣れていない、という著書らの指摘には納得。
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斜め上を行く内容。タブーはない初老。『老人力』とは比べられないぐらい良かった。老眼、体力、おしっこの近さが語られている。50歳の私にも思い当たる。これこそ今の私に必要な自己啓発本だ。
序列好きな西洋や近代を評価しない日本の美術行政を的確に批判している。
子どもがなりたい職業を語るようでは終わりだ、今、好きなことは何かと問え、という。なっとく。
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専門分野は異なりますが、長年、美術史家としてご活躍されているお三方の趣味や好みが満載の内容です。良い意味で、忖度がないような美術鑑賞の対談集です。
あるひとつの章の大見出しは、「おっぱいとエロとエロスの話」です。。。
基本的に健康面の心配を軸に(!?)、真面目でかたい内容ではなく、どんどん読み進んでいけます。特に常設展をフューチャーしている部分は納得。私は2020年1月にゴッホ展で見たゴーギャンの作品《水飼い場》を地元の島根県立美術館のコレクション展で再び見たとき、その再会に不思議な感覚をおぼえました。会期末間際で超絶混雑していた上野の森美術館で見た絵が、そこではじっと絵の前で立ち止まっていても誰の邪魔になりません。同じ絵なのに、見る場所や時間や環境でこんなにも向き合い方が変わってしまうものなのかと驚きました。
本書の”はじめに”で、
[美術は「役に立たないもの」と思っている我々が書いたこの本は、当然ながら、役に立たない本です。とにかく、本書を手にとっていただいた方は、この本を役立てようなどとはゆめゆめ思われませんように。]
と書かれています
私は今、40代前半で初老の域に達していないため、どんな美術書を開いても何かしら吸収してやろうと読んでしまっています。本書もなかなかスルーできない文章があちこちにあります。つい、線を引いたり書き込みしたくなります。アカデミックな読み物を期待している人には期待はずれかもしれませんが、居酒屋で隣のテーブルに聞き耳をずっと立ててしまうトークを聞いているみたいです。やはりせっかくなので、大いに美術鑑賞のお役に立てようと思います。
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『#初老耽美派よろめき美術鑑賞術』
ほぼ日書評 Day447
企画展であっても「全部見なくていい」というのは、我意を得たりだ。たとえば、ゴッホ展とか行くと、だいたい最初の方は「農民画家」時代の作品と、同時代の画家の作品が並べてかけてある。あれを列なして一点一点丹念に見て行くことは、90%以上の「一般人」には意味が無いと思う。
終盤の「知らないことは財産」も、言い得て妙だ。食わず嫌いの推奨ではなく、まっさらな気持ちで新鮮な驚きを感じることができることの価値の大きさを意味する。そういう意味では、絵画展で先に解説文を見てしまうことも戒められるべきなのかも。
中盤の常設展巡りの章は、流石にある程度、美術に造詣があるか、作品名の出る都度、画像をググるかしないと、眠くなるパート。権利関係や費用の観点で、書中図版を増やすわけにはいかなかったのかな?
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めちゃくちゃおもしろかった!
美術は難しいこと考えず楽しめばいいと教えてくれる本。ロダンと高村光太郎がボロクソ言われてるのに笑いましたw